気づいたら、本ブログの「毎日更新」が、もうすぐ1周年を迎えます。
アホみたいに長い文章のときもあります。書き手より、毎日読んでくださっている皆様の方が大変なのではと思います。
毎日読んでくださって、しかも人気ブログランキングのボタンをクリックまでしてくれるみなさま、誠にありがとうございます。
さて、1周年を迎えるその前に、一度、おことわりしておきたかったことがあります。
マイスターはかつて、広報プロダクションでプロデューサーとして働いておりました。webメディアを中心に、企業の広報コンテンツや広報プランを企画提案するのが仕事です。組織と生活者とがメディアを通じて行うコミュニケーション活動を考えることで、ご飯を食べさせていただいておりました。
大学院生の頃から教育事業に興味を持っておりましたので、ささやかながらこのスキルがお役に立つかと思って、その後、大学に転職したわけですが、今でも、広報や宣伝、広告などを始めとしたコーポレートコミュニケーション活動(大学の場合は違う呼び名になるのかな)には、浅からぬ関心を持っています。
本ブログにそういう領域の話題が多いのは、そんな事情によるものです。
だから誤解をされていることがあるようなのですが、
マイスターは現在、勤め先の大学で、
広報にもwebサイトにも、一切関わっておりません。
マイスターの現在の所属は、教務部門です。
ブログを読んでくださっている方々、特に大学職員の方は、
「あれ、なんか、履修登録とか時間割とか、教務っぽい話題がでてきたぞ」と感じられたことがあるかもしれません。実は、そっちが現在の本業なんです(汗)。
マイスターが大学に転職したとき、まっさきに気になったのが、大学と社会との間で行われているコミュニケーション活動の未成熟さでした。
なんだこれは、全然工夫もされていないし、ユーザー(ステークホルダー)のことをまったく考えていないじゃないか。なんて不親切で一方的なんだろう。これではコミュニケーションとは言えない・・・。
それが、大学業界に入って最初に感じたことです。
今でもその認識はあまり変わっておりません。企業はかつて、マーケティングや広報、広告を、「モノをより多く売る」ためだけのものとして位置づけていました。現在、企業の広報は、より広範なコミュニケーション活動として生まれ変わっています。それと比較すると、大学の活動はまだまだ未成熟です。
そこで、自分が考えてきたこと、自分が経験してきたことが、日本の大学業界全体のコミュニケーション活動に少しでも役立つかもしれないと考えて、ブログを書き始め、現在に至るわけです。
マイスターの大学では、「何も知らない若い社員はなるべく最初は教務部門に配属する」という伝統(?)があるみたいです。
(もっとも、入社一週間前までは企画部門に配属と聞いていたので、実際には、教務が一番人手不足だったというだけかもしれませんけど)
何も知らない若者と思われたのかどうかはわかりませんが、実際とりあえず若いよね、という理由で、
マイスターは、プロデューサーから、
「元」プロデューサーである教務事務職員になることになりました。
教務に配属されたことは、感謝しています。
大学のコアの部分を知ることができましたし、教員の仕事に関わる部分も、比較的多い部署ですからね。大学に関連する仕事で食っていこうとするなら、若いうちに経験しておいて損はない業務だと思います。
ただ、それと引き替えに無くしたものも、正直、惜しいです。
マイスターが持っていた知識のうち、コーポレート・コミュニケーションに関する最も大事な原理原則は、この先もしばらくは通用すると思います。
また、webメディアに関する知識も、コアの部分は、まだしばらくはイケます。
でも、webメディアの最も先端的な部分、
市販の参考書やマニュアルには絶対に載っていない、
一級の顧客とのコラボレーションを通じてしか得られない知識やスキルは、ほとんど死んでしまったんじゃないかと思います。
大企業が取り組むweb広報のコンセプトや、そこで編み出される技術の栄枯衰退は、ドッグイヤーどころの話ではありません。日進月歩ではなく、秒進分歩。
マイスターはSEOのコンサルテーションも行っていましたので、Google検索エンジンの挙動はかなり詳しく知っているつもりですが、今の日本で主流なのはYST(Yahoo Search Technology)というエンジンで、これについてあまり詳しく知りません。第一線にい続けたなら、知る機会もあったでしょうが、現在では知らない、というより、「知れない」という状態です。
3ヶ月…いや一ヵ月半も業界から離れたら、この分野ではもう現役ではないでしょう。
ですから、マイスターがこの先、今の勤め先でwebに関わることがあるかどうかわかりませんが、そのときは、これまでに身につけた知識は全部入れ替えるくらいの気持ちで勉強しなおそうと思っています。
前年のやり方を踏襲するだけで、工夫をしないようなやり方の仕事を進めるのなら、たぶんすぐに慣れるのでしょう。でも、どうせやるなら、大学業界のwebコミュニケーションの水準を、企業並み、いや、企業以上のレベルに引き上げたいです。
他の大学の人達に刺激を与えつつ、
「非営利組織のコミュニケーション活動の方が、営利企業より先を行っている」
という状態を作り出したいと思っています。
そのために、今は、教務部門で、大学のコア業務を仕込んでいます。
ただ、気がかりなのは、
そもそもこの先、この大学で、広報という業務に関われる日が果たしてくるのか、それがまったくわからないということです。
仮に関われる日が来たとして、それが10年以上先の話だったら…
やっぱり、今ほどの情熱を捧げられるかどうか、わかりません。
広報とは特殊な領域で、常に、世の中の最先端のケースと理論を追い続けていなければならないのです。なぜなら、ユーザーは、その最先端のさらに先にいるからです。
知力・体力・時の運、プラス実践経験と好奇心。全部必要です。
他の仕事をしていた人が、年をとってからローテーション人事でまわされて、いきなり業界をひっくり返すような仕事ができる領域ではないんじゃなかなぁ~と、個人的には思います。
加えて今後、大学という組織は、企業が提供している他のサービスや製品と競合することになるんじゃないかと思います。
既に、株式会社立学校と競合している、というご意見があるかと思いますが、そうではなく、「学校以外のサービス」と様々なところで顧客を奪い合うことになるという意味です。例えば「高齢者の余暇時間の使い方」をめぐって大学とエンターテイメント産業が競合する、とかね。
そのときに、今の大学広報のように数年で異動するようなスタッフで、果たして企業に勝てるのかと思うのです。
マイスターが、そういう争いにも負けない、企業の先端ケースと学術事業の特質双方に通じた大学広報プロフェッショナルになりたいと考えても、キャリア設計を職場に任せていたのでは、プロフェッショナルになるどころか、へたすりゃこの先一生、広報業務にかかわらずに終わる可能性だってあるわけです。
自分でキャリアを積み上げていけるよう、働きかけていきたいところですが、有用な制度があるわけでもなく、現状は厳しいです。何度か、頼まれてもない企画書を勝手に書いてみるなど色々しましたが、そもそも事務職員がそういうものを書くとか、職員の意見を上がとりあげるとかいった文化がない職場だったので、残念ながらムダでした。
日本の大学の、伝統的な人事ローテーションシステムについて、マイスターがちょっと批判的な見方をしてしまいがちなのは、このように、自分自身のキャリアプランが全然立たないというところにも起因しているかと思います。
(学生のためにキャリアセンターを開設するのも良いけど、職員の相談にものってくれ~、とつい考えてしまいます)
日本人は、欠点を減らしていくことには熱心でも、いいところを伸ばしていくことには消極的だ、などとよく言いますが、大学の職員人事の考え方がまさにそれなのではっ。
冗談ではなく、本当にこの先、一生広報の仕事に就けないんだろうか…
なんて、不安と戦いながら日々過ごしています。
教務の仕事ももちろん楽しいし、やりがいはあるけれど、ここはここで、一生いるというわけでもなし。何を目指すにも、方針が立ちません。「ずっとこの大学に養ってもらう」という前提で考えているなら、こうした不確実な人生プランもありでしょうが、そんな考えが成り立たない時代であることは、いまさらいうまでもないことですよね。
広報や教務に限らず、また大学のことに限らず、勉強だけは常にしているつもりなのですが、自分の明日が見えません。
友人には、そんな業界にいると成長できないから、今すぐに転職しろといわれる始末。
昔広報、今教務。
さて、明日はどっち?なマイスターでした。
国立大学事務職員です。転任という制度で文部科学省(高等教育局)にも何年かいました。
同じ大学職員(といっても、国立、公立と私立でも全く違うのかもしれませんが。)でこんな人がいるんだ、といつもこちらのブログに刺激を受けています。
今日は「自分自身のキャリアプランが全然立たない」人事へのお怒りに、目が覚めた思いです。
国立大学の事務職員は、公務員時代から毎年5月に人事異動に関する調書を書いてますが、キャリアパスを考えた異動希望を書く事務職員の方には、ついぞお目にかかりません。
子供が生まれるのでラクなところにしてくれとか、家を建てたので近い方の職場にしてくれとかいう希望は聞いたことがあります。
私もそうです。前向きな人生設計に基づく異動希望を出したことはありません。
こんな職員ばかりじゃ、なるほど、大学は活性化しませんね・・・
あまりに社会人として未熟な自分が恥ずかしいですが、奉職して8年めになる今年度に、改めてこの業界で自分がどういう位置を目指すのか、どういう仕事をしたいのか考え直したいと思います。本来はこの辺をハッキリさせて、就職するべきなのでしょうが、順序が逆になってしまいました。
ですが、あまり悲観もしていません。大学という職場は、教員と学生のエネルギーに触発される環境にあり、好きだからです。
今日は、とにかく、5年、10年後、さらにその先の未来に、自分が目指すものを考えるきっかけを与えてくれたマイスターさんにお礼が言いたくてコメントを書きました。
それでは。
焦らず、もう少し待っててください。
お声をおかけいたします。