教育コンテンツをネットワークで配信する試み

マイスターです。

大学が、授業用資料をはじめとする教育コンテンツを、インターネットを使って配信する試みが盛んです。

【教育関連ニュース】—————————————-

■「東大の授業、手のひらに iPodに無料配信」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200604110422.html
■「東大だってiPodで」(ポッドキャスト的生活「Bonchicast」(Podcasting,Videocasting))
http://tin.hippy.jp/airbonchi/podcast/archives/2006/04/ipod_3.html
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東大の例は、様々なメディアで散々話題になったので、今さらご説明するまでもないでしょう。ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊特別栄誉教授などの講義を、無料でiPodにダウンロードできるという試みです。

マイスターが所有しているのが「iPod shuffle」であることを知ってのイヤミか! くそう、俺も動画付きで見たいぜっ!と、いつも悔しい思いを味わっているのですが、それはそれとして、このコンテンツ、とても興味深いです。

というのは、大人気なのです、このコンテンツ。

ポッドキャスティングランキング20060505←クリックで拡大します

上記は2006年5月5日深夜にiTunesを使ってPodcastのランキングを見てみた結果ですが、この通り、Podcastingされている全コンテンツの中で、9位にランクされているという人気ぶりです。
しかも第6回講義が43位、第10回講義が59位にランクされているあたり、単なる「野次馬」ではなく、内容に関心を持ってダウンロードしている方々が存在しているのではと推察できます。上位100コンテンツの中で、5つもランクされているので、これはかなりの手応えでしょう。

正直、発表当時は、東大の試みがこんなにうまくいくと思っていなかった方々も多かったのでは。
「東大の講義を一目見てみたい!」という想いプラス、小柴教授の知名度も貢献したのではと思います。

他の大学が同じ取り組みをしても、このようにうまく行くかはわかりませんが、インフラの問題だけなら、↓このようなシステムが売り出されたみたいですので、ご興味のある大学はいかがでしょうか。

【教育関連ニュース】—————————————-

■「iPodで『どこでも授業』、NECが新システム」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060505ur03.htm
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NECは、アップルコンピュータのデジタル携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」に学生が授業の動画などを保存し、時間と場所を選ばずに「受講」できる教育用システムを5月末に発売する。
講義の動画などを学生がダウンロードすれば学校側に通知され、「出欠」状況も管理できる仕組みだ。大学や専門学校、塾、予備校、小中学校などに売り込む。
(略)
システムは470万円(税抜き)で、3年間で計100本の販売を目指すという。
(上記記事より)

出欠まで確認できるというのは、新しい展開ですよね。単なる「講義の無料公開」にとどまらず、大学の授業マネジメントにまで踏み込んだ提案です。

3年間で100本の販売を目指す、とのこと。このシステムが順調に普及した結果、Podcastingの一覧に、様々な大学の講義がズラリと並ぶような事態になったら、楽しそうです。
授業の内容がよければ、ブログなどの口コミで人気になる講義も出てくることでしょう。そんな形で大学の講義が比較、順位付けされるのは、初めてのことではないでしょうか。(予備校のカリスマ講師の講義なんかも、配信したらきっと大人気になるんでしょうね~。)

■「全国高等教育機関 IT 利用実態調査(概要)2004年度」(独立行政法人 メディア教育開発センター)
http://www.nime.ac.jp/~itsurvey/pub/it-use/graph/it-use_2004/10.html

上記の調査結果によると、これまで大学のホームページは、広報系の情報を掲載するメディアとしての使われ方がほとんどで、講義の内容を配信するプラットホームにはなっていませんでした。今後は、Podcastingコンテンツリストなどが掲載され留用になるのかも知れませんね。

なお小中学校向けの取り組みに関しては、NHKが教育用映像をネット無料配信する取り組みを始めることを、既に決定しています。
既にこのことを報じた記事がリンク切れになってしまっているのですが、放送番組を加工した教育用映像を今年9月から、インターネットを使って高画質で小中学校向けに無料配信するのだとか。配信映像は、理科や社会、国語、総合学習などに関する映像を数分間にまとめた約3,000本のビデオクリップや、15分程度の約400本の教育番組を予定しているそうです。生徒だけでなく、教員にとっても、有益なコンテンツになりそうで、こちらも注目です。

ただ、こうした取り組みを、学校教育の本筋にうまく組み込めるかというと話は別です。
■「我が国の大学におけるeラーニング等のITを活用した教育」(独立行政法人 メディア教育開発センター)
http://www.daito-insatsu.co.jp/~naito/nime/10.html

全国公私立大学、短期大学、高等専門学校のうち777機関から得た調査結果によると、ITを活用した教育に関して、「学習効果を把握するための基準がない」と答えた組織が、80.8%を占めるという結果になりました。

Podcastingのような取り組みに関心を持ったとしても、その教育効果をどう測定するかという基準ができていない組織が大多数なのです。この状況のままNECから配信システムだけ購入したとしても、単なる自己満足で終わってしまう可能性大です。
まだまだ課題は山積みですね。

ただ、podcastingの技術によって、これまで学ぶ機会のなかった方々のもとに高度な「学び」の種が届けられていくことには、個人的に強い興味を持っています。
こうした取り組みが普及していくことで、ちょっとずつ学びの間口が拡がっていったり、学びのスタイルが多様化していったりしたら、素晴らしいなと思います。

システムの問題だけでなく、取り組みに対する学内関係者達の姿勢の問題や、著作権の問題などもあり、決して導入は容易ではないでしょうが、関心を持たれた大学は、自分達の戦略にあわせてこうしたツールをうまく位置づけ、活用されてみるのもいいかもしれませんね。

以上、マイスターでした。

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(おまけ)

■「リンク及び著作権」(メディア教育開発センター)
http://www.nime.ac.jp/link/

「リンクを張られる時は、名前、連絡先、URLを下記メールアドレスまでお知らせ下さい。」

って……メディア教育に関する研究を進めている公益組織が、いまどきこんなルールを適用させているのですね。うーん、これで果たして、この組織のサイトの情報が活用されるのかなぁ・・・?
行っている調査の内容が悪くないだけに、なんだか、このリンクに関する記述だけが、浮いているように感じられました。