ニュースクリップ[-2/19] 「文科次官、学習指導要領で『06年度中の改訂目指す』」ほか

あっという間に日曜日が終わったマイスターです。

日が落ちるの、早いなぁ。

情報教育について考えているところですが、日曜日なので、一週間分のニュースクリップをお届けします。
例によって、マイスターが独断と偏見で選んでおりますから、カバーできなかったものもいっぱいあると思いますが、そこはご勘弁を。

えっ、学習指導要領、もう改訂ですか?
■「文科次官、学習指導要領で『06年度中の改訂目指す』」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200602130260.html

大学では、この4月にようやく新学習指導要領の1期生が入学するのですが、そんなことを言っている間に、もう次ですか!?
大学は、いわゆる「ゆとり教育」を受けた学生達の対応を考えつつ、その次の世代の動向を読むという、ちょっと忙しい事態になっております。

-…「指導要領は『言葉』と『体験』をキーワードに、早ければ06年度中に改訂する」と述べた。文科省はこれまで全面改訂のスケジュールについて07年度末までとしてきたが、教育改革の加速を望む声が強いことを踏まえて1年前倒しした。-(上記記事より)

不勉強でよく存じ上げなかったのですが、「言葉」と「体験」というのは、教育改革を「加速」させた結果出てくるのでしょうか?

-国際学力調査などで明らかになった読解力や論述力の弱さを克服するため、すべての教科の基本に言葉の力を据えるよう提言した。-(上記記事より)

学力調査の結果をすぐに受け止めて反映させる姿勢は悪くないと思います。
また、「言葉」と「体験」という点にも異論はありません。
でも、あまりこれまでの路線とつながっていない気がしなくもない今日この頃。
いや、どっかでこれらはつながっているのかも知れませんが、大半の国民は、「なんか突飛だな」という印象を持つのでは…。

ちなみに、様々なところで「ゆとり教育は間違いだった」みたいな発言も耳にしますが、結局のところ成果がどう上がって問題がどう現れたのか、そのあたりの測定をきちんと行って、結果をハッキリさせて欲しいなぁ、と、いち国民としては思います。

義務教育と言えども、明らかな正解はないのだからトライ&エラーを余儀なくされる部分は当然あると思います。
でもその場合、効果測定も必須ですよね。PDCAサイクル、誰か見ているのかな?

ちなみに、これまでの改訂の記録はここ↓にまとめられています。
・「過去の学習指導要領」(教育情報ナショナルセンター)
http://www.nicer.go.jp/guideline/old/

企業の育児支援策、少しずつ新たな段階へ
■「企業の育児支援、『共働き型』加速」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200602140421.html

競争に生き残るため、法律を先取りして、企業の間でこうした優れた取り組みが拡がっていき、それがやがて法律制定につながっていくということもありますよね。

少子化への対策は色々となされていますが、多様なワークスタイルを選べるようにしていくというのは、その中でも最も効果的な対策のひとつではないでしょうか。

大学院時代、SOHOやテレワークがライフデザインをどう変えるか、という研究プロジェクトに関わっていたので、こうした取り組みにはとても興味があります。
ダイバーシティについても、ちゃんと調べて記事を書きたいです。

(学術研究の世界も負けていません。)
■「出産、育児…現場復帰 女性研究者に月36万円の奨励金」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/OSK200602190007.html

こちらは、日本学術振興会の取り組み。
過去5年以内に出産や育児のために3カ月以上研究を中断した博士号取得者らに、月額36万4000円の研究奨励金を最長2年間、支給するという制度です。

「男性も応募できる」というのが、素晴らしい。
基本的には、女性が被っている不利益を軽減させるための制度ですが、育児に時間を使いたい男性研究者だって、いてもいいですもんね。

この金額と支給期間なら、かなりの負担減になるでしょう。
すばらしい制度ですので、一人でも多くの方が恩恵を受けられるといいですね。
効果が上がったら徐々に採用人数を拡大して…なんて、いくといいなぁ。

こちらは、地元に優秀な学生を留めようという試みです。
■「残って、先端大卒業生 能美市が雇用企業に助成金 新年度 月5万円上限に」(北國新聞社)
http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20060215003.htm

地元の能美市に就職する学生はゼロ、とのこと。
月額5万円の支給はわかるのですが、そもそも学生が魅力を感じる企業があるなら、就職希望者は出ると思います。残念ながら、ここの卒業生の受け皿になる企業があまりない、というだけの話ではないでしょうか…。
したがって、この補助制度が、どこまで効果を発揮するか、個人的にはちょっと疑問です。

この大学の教育・研究内容を考えれば、学生ベンチャーを設立・運営しやすい街にする施策を打ち出して、既存の地元企業と大学を巻き込んだ相乗効果を狙う方がまだ、リアリティがある気がします。
いずれにしても、こんな研究志向の国立大学を抱えながら、人材が地元に残らないというのは確かにもったいない話。地元自治体の気持ちもわかります。
がんばれ能美市。

幼児教育がタダになる…かもしれません。
■幼児教育無償化検討へ 通園料、直接補助など浮上
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060215ur01.htm

幼稚園が義務教育化されるという報道もありましたが、今度はまたちょっと違った案。

-幼児教育を義務化すれば公立での幼児教育は無償となる。保護者には、就学前児童に教育を受けさせる義務が課せられる一方で、市町村にも幼稚園など施設の設置義務が生じる。しかし、全国の幼稚園数の6割が私立で、公立幼稚園がない自治体もあるといった現状では、一挙に自治体が設置義務を果たすことは財政上も困難を伴う。

 また文部科学省所管の幼稚園と厚生労働省所管の保育園の関係が整理されていない中で、両施設をどう義務教育に組み込んでいくかといった制度面での課題も多い。このため当面の目標として、保護者側に通園させるかどうかの選択の余地を残す現行制度の枠内で幼児教育の無償化を検討することとした。-(上記記事より)

あくまでまだ、「案が浮上した」という段階なのですが、なるほど、こういうのもアリかも知れません。
「幼稚園・保育園児がいる家庭に一定額の通園料を直接補助する制度」という記述があります。いわゆる、教育バウチャー制度に近いものですね。

こうなると、公立幼稚園は私立と同じ土俵で競争しなければなりません。
都心の公立幼稚園の中には、施設規模に対して子供の数が少ないため、子供一人あたりの支出がふくれあがっているところもあるようです。
もしかすると、公立が淘汰されて、私立が拡大するなんてことが起きるのかも…?

さて、最終的にはどんな案に落ち着くのでしょうか。

保護者がつくったNPOが、保育園を運営です。
■保育園の運営、保護者がNPO設立し受託 東京・練馬区
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200602090105.html

こちらは保育園の話題。
保護者らが設立したNPOが区立保育園の運営を担うという、前代未聞の取り組みです。

民営化され、外部組織に運営を委託されることになった区立保育園でしたが、「結果的に」、このNPOがその運営を勝ち取ったということになるのでしょう。
他には企業や社会福祉法人などの7団体が公募に応募していたそうですから、なかなかの快挙です。

米国の「チャータースクール」(公立学校を、保護者などが設立・運営できる制度)を連想させるものがあり、個人的にびびっと来ました。

ムハンマドの風刺漫画、アメリカの大学キャンパスでも。
■米学生新聞に風刺漫画掲載の動き 編集長「職務停止」も
http://www.asahi.com/international/update/0218/010.html?ref=rss

世界各国で抗議運動や論争を巻き起こしているムハンマドの風刺漫画を、イリノイ大学の大学新聞が掲載したとの報道です。

-ニューヨーク・タイムズ紙によると、ほかにもウィスコンシン大、ハーバード大、ノーザンイリノイ大、イリノイ州立大の学生紙が問題の漫画の一部を掲載した。表現の自由と、他文化への理解をめぐり、キャンパスで対立が起きている。-(上記記事より)

とのこと。
(もちろん大学は、学生新聞に関してはノータッチでしょう)

今回の出来事に関しては、「表現・報道の自由」と、「他者の文化への配慮」という、いずれももっともな考えが対立しているようで、確かに判断が難しいですよね。
高校生レベルでの、ディベートの議題等にいいかも知れません。

阪大の論文データねつ造事件、その後もこじれてます。
■「2教授を停職処分、学生は厳重注意 阪大論文データ捏造」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/OSK200602150058.html
■「学生が2教授を名誉棄損で提訴へ 阪大論文捏造問題」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0216/OSK200602160061.html?ref=rss

大抵の学生論文には、共著ということで、指導教員の名前が載ります。
名前が載っている以上、ねつ造を見抜けなかったら、教員にも当然責任があるわけで、そこまではわかりやすいです。

今度は、
「学生以外、誰もねつ造には気づかなかった、というのは事実と異なる」
と、主執筆者の学生が教員達を訴えまして、これはなかなか立証が難しそうです。

いずれにしても、あとは裁判しかありません。こうなったら教員も学生もありませんから、互いに法廷で納得いくまで主張をぶつけあってください。

アニメ業界、生産拠点とともに、教育拠点も移動です。
■「ソランとデジハリ、中国でアニメ人材育成」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20060213AT1D1001S11022006.html

日本が誇る文化であり産業でもある、アニメーション。
制作拠点が、人件費の安い中国などに移っているというのは聞いておりましたが、その教育プログラムを、日本の学校法人である「デジタルハリウッド」が、現地の大学に提供するとのこと。
で、育った人材が、日本のアニメの制作を受注するのですね。

これはなかなか優れた、産学のコンビネーションだと思います。
確かにデジタルコンテンツの実際の制作を担っているのは、今やアジアです。
日本のアニメ制作技術に関する教育は、現地ではニーズがあるでしょう。
ことによると今後、アジア各国の大学から引っ張りだこになるプログラムになるかも。
デジタルハリウッド、なかなかうまいです。

以上、今週のニュースクリップでした。

そう言えば今週は、バレンタインデーなんてイベントもありましたね。
学園モノストーリーの王道イベントですが、実際の学校での状況がどうなのかはよく知りません。

今時の小中学校では、チョコを持ってくることはやはり禁止なのでしょうか?
それとも、この日ばかりは大目に見るのでしょうか?

あと、生徒さんからチョコをもらった先生はどこの学校にも少なからずいそうですが、生徒さんからチョコをもらった事務職員の方っていうのは、全国に何人くらい存在しているのでしょうか?

その辺の事情がまったくわからないので想像だけしかできません。

ちなみにマイスターも、学生さんから「いつもお世話になってます」みたいな感じで義理チョコの一つもいただけたりしたら、(受け取って良いかどうかはともかくとして)さぞうれしいだろうと思いますが、

マイスターの場合、履修登録やらなんやらを担当しているので、
この時期にそんなことをされたら、それは卒業がかかったワイロである可能性が高いです!

…あらゆる意味で、受け取れません!

(っていうか実際のところマイスターが応対する学生さん達は、ほぼ全員、男子学生!Oh,イエー!)

というわけで、あんまり2/14も、いわゆる学園モノっぽさはなかったマイスターでした…。

一週間、記事を読んでいただき、ありがとうございました。
来週も、どうぞよろしくお願い致します。

2 件のコメント

  • >NPOが、保育園を運営
    ついに出たかというのが私の感想です。NPOというのは現代の型のような気がします。私の子ども時分などは、共同保育所などを公設にし、運営を安定化しようとしてきた運動が当たり前にあったものです。しかし、時代は公立が自治体の思惑のツマにされ、予算などは削られながら苦しい運営をしているところばかり。

  • 民営化しようにも、質を保障できる民間は少ないのです。この件の裏には、泣く泣く人員削減という案で公立継続が決着したところや、質の保障はできても、民営化のために保育士の首を切られるなどの現実に困惑する保護者会など、様々な問題が含まれているのです。私の自治体でも、たった10分に一本の電車しか通らない線路に立体橋をかける数十億の予算は第一義でも、1億の保育園立て替えはやらず、民営化が前提のため、2億の仮設園を建てる暴挙が行われています。保育の話題は渋く、注目を集めずづらいのです。同じ保育でも学童保育はこの状況が顕著です。でも、「子育て」の視点からは大問題だと思います。