子供向けのwebサイトを企画したりしていたので、マーケティングも兼ねて読んでいたら、そのままなんとなく読み続ける感じになりました。
また、マイスターは旅行などで海外に出かけたときは必ず現地の本屋に入るのですが、アメリカでもヨーロッパでも、そこそこの大きさの書店にはわりとマンガコーナーがあって、日本のマンガがずらっと並んでいたりするのですね。
そうか、日本が圧倒的な強さで世界に輸出して、現在進行形で世界中の人々に文化的影響を与えまくっている産業はこれかと思うわけです。
日本の映画や小説も、一部の作家は国際的に評価を集めてきていますが、産業全体として見た場合はまだまだでしょう。
ここまで、国際競争力を持っているわけではありませんよね。
↓どれくらいスゴイかということで、以前こんな記事も書きました。
・日本のアニメや漫画が、世界の大学生に与える影響
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50059242.html
ローマ大学日本研究科の若者達が、日本から派遣された研究者と狂言一座を設立したという報道記事をご紹介したのですが、彼らは日本のアニメーションやマンガに興味を持ったことが日本の研究をすることになったキッカケだと言っているのです。
またアイビーリーグを初めとするアメリカの超一流大学に、日本のアニメやマンガを研究する学生グループがあるということもご紹介しました、
そこには日本のアニメ見たさに日本語を身につけたとしか思えない学生達がいるのです。
将来、アメリカの各産業で重要な役割を果たしていくかもしれない若者達が、日本の文化にどっぷり浸かっているというのは、相互理解という面で日本にとっては大きなメリットでしょう。
こうなるともはやマンガやアニメはいち産業としての位置づけを超え、国家の強力な戦略的事業として機能するレベルだと思うのですが、いかがでしょうか。
こうした観点から、マイスターは以前より、日本の大学はマンガやアニメーションを専門に扱う学部や大学院を立ち上げて、世界から留学生を集めるべきだと主張しているのですが、反応は今ひとつです。
「映画専門大学院大学」なんてのが作られるなら、コンテンツ産業的には、マンガやアニメを扱う大学院はもっと数多くできてもよさそうなのに、実際には今のところ、専門機関と呼べそうなのはデジタルハリウッド大学院くらいです。
映画を学びたい若者はきっとハリウッドや、その他映画が学べるアメリカの大学に進学すると思いますが、それは教員が充実しているだけではなく、産業的にもアメリカが中心であるからではないでしょうか。
その点、マンガ、アニメ、ゲームの3分野なら、日本はまだ競争力を発揮できそうなのに、こうした大学院の話を全然聞かないので、マイスターはやきもきしています。
クリエイター養成の美大系に作るのも悪くはありませんが、
経営学部や商学部、法学部を持つ大学が、コンテンツビジネス大学院を併設するという形がもっとできて欲しいなぁと思います。
そんなマイスターなので、このサイトを見つけた時は一瞬、どきっとしました。
その名の通り、「マンガ・ユニバーシティ」という名前のサイトです。
■HOW TO DRAW MANGA — MANGA UNIVERSITY
http://www.howtodrawmanga.com/
なんと!ついにマンガ大学ができてしまったか!
どこの国で設立されたんだ!?
…と、このサイトを見つけた時は焦りました。
(サイトのロゴが、デザイン的に「Manga “Tokyo” University」とも読めてしまうので、東京大学!?と早とちりしたり)
でも実際には大学でも何でもなくて、日本のある企業が開設・運営しているwebサイトなのでした。
■ジャパニメ有限会社
http://www.japanime.com/
このジャパニメ社が、一種のブランドとしてこの名前を展開しているようですね。(書籍を販売する時などに、「Manga University Presents」といった形で使われています)
つまりManga universityは、正規の教育機関等ではなく、ただの一企業の製品・サービスブランドの名前なのでした。
でも、このジャパニメ社、調べてみると、なかなか興味深い活動を行っているみたいです。
■国際的文化交流事業の企画、運営
ジャパニメ社の文化交流は、2002年度より特に力を注いでおり、主に国内外の教育機関(UCLA、UNLV、早稲田大学、沖縄大学等)のプロジェクトに参加しています。独自の企画としては、「Manga university」事業の一部として、ホームステイプログラムなどにより日本文化を体験するコースなどがあります。
(ジャパニメ社 事業内容より)
なんだか、日本の他の教育機関がやれていない部分を、企業の事業としてカバーしてくれている、と言えなくもないように思います。
↓同社が出版している書籍も、大学でテキストとして使用されているみたいですし。
http://www.taf.metro.tokyo.jp/ja/list/129.html
この、マンガを通じて日本語を学んでもらうという事業も、いいと思います。
今のマンガやアニメの世界での位置づけを見るかぎり、かなり良いところに目を付けたんじゃないかなと、マイスターは思います。
同社webサイトのトップページには、社長のメッセージが書かれています。「Educating with Art」の文字も目立ちます(企業のコンセプトでしょうか)。文化交流を兼ねた事業と考えると、個人的には応援したくなる企業です。
社員4人と書いてありますが(この辺も共感できる…)、少人数で、グローバルになかなか面白いことをやっているなと感じました。
こうしたノウハウを持っている組織は、非常に少ないと思います。
上述したコンテンツ大学院などの教育研究機関を開設される際には、海外に向けての情報発信や、留学プログラムなどの提携先としていかがでしょうか?>全国の大学関係者の皆様
そんなわけで、たまたま見つけた「Manga Unibersity」、実際には大学ではなかったわけですが、教育産業的にとても面白いなと思ったので、ご紹介させていただきました。
社長のグレン・カーディさんはどんな方なのだろうと、会ってみたくなったマイスターでした。
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(おまけ)
「オタク・ユニバーシティ」なるサイトも見つけてしまいました。
■Otaku University
http://www.otakuuniversity.com/
こちらは、上記のジャパニメ社とは関係がなくて、コンファレンスの一種(?)みたいですが、よくわかりません。でも一時的な組織ではなく、これからも継続的に活動する組織のように見えますが…どうなんだろう…。
■「アメリカで『オタク大学』設立。」(英語で!アニメ・マンガ)
http://d.hatena.ne.jp/ceena/20060211/1139665964
■「『オタク大学』続報。」(英語で!アニメ・マンガ)
http://d.hatena.ne.jp/ceena/20060315/1142420747
京都精華大学の芸術学部にマンガ学部があり、マンガ文化研究所も併設されています。また、日本マンガ学会もあります。
漫画やアニメなどポピュラーカルチャーの研究は、今の日本では最もアカデミックポジションへの就職率がいい分野のひとつです。
中山さま:
マイスターです。コメントありがとうございます!
京都精華大学の情報、ありがとうございます。マンガにおいては、少なくとも研究者が活躍するアカデミックなフィールドは、既に着々とできあがってきているのですね。
これなら、こうした場で育ったマンガ研究者の皆様が、専門職大学院などで産業に貢献できるプロフェッショナル人材の育成に関わっていく日も、そう遠くなさそうですね。
日本から、プロ人材が世界に羽ばたく日が、楽しみです!
また、こうした情報がありましたら、ぜひ、教えてください。
ありがとうございました!
新しい動きとして、東京工芸大学にマンガ学科が出来る模様。
http://www.t-kougei.ac.jp/about/campus/2005/73.html
ついに博士も誕生したそうです。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006032000191&genre=G1&area=K1D
ご参考まで