マイスターです。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【東京理科大学が新キャンパス開設?】
■「東京理科大が応募 葛飾区の大学誘致 4000人規模のキャンパス計画」(東京新聞)
葛飾区のJR金町駅近くの工場跡地に誘致する大学を公募していた同区は十七日の区議会総務委員会で、東京理科大学(新宿区)から応募があったことを明らかにした。公募は既に締め切られており、十九日の大学誘致選定委員会で同大の提案内容を審査した上、来月、誘致が正式決定する見通し。
同大の構想では、区が所有する工場跡地約十一ヘクタールのうち三ヘクタールを取得、二〇一二年四月に学生数四千人規模のキャンパスをオープンさせる計画だ。総事業費は約三百五十億円(うち土地取得費百三十八億円)を見込む。区民も自由に散策できるよう一ヘクタール分は遊歩道や緑地とするほか、図書館やホールなどが入る建物を整備し、区民にも開放するという。
同大は、こうした地域貢献策を実施するため、区に二十年間で総額五十三億二千万円の補助を求めている。
理科大は、本部のある神楽坂キャンパスで校舎の高層化などを計画中だが、十分な増床が見込めないという。このため、金町で土地を追加取得して校舎を整備することも検討している。具体的なことは正式決定後に区と協議する。同大広報課は「地域に密着した市民型のキャンパスを目指したい。移転する学科などは本年度中に決定する」としている。
(上記記事より)
以前、順天堂大学が獲得目指して調整していると報じられた、葛飾区の工場跡地。
その後、順天堂大学は辞退し、東京理科大学が取得を申し入れたとのことです。
■「東京理科大学新キャンパス構想について — 葛飾区大学誘致事業への応募」(東京理科大学)
↑東京理科大学のサイトを見る限り、新学部などの構想はまだ特に出ていません。
神楽坂地区再開発計画とあわせ、大学全体の環境をより充実させるための布石というところでしょうか。
【そういう季節です。】
■「センター試験リスニングに備え予行演習 阪大」(MSN産経ニュース)
来年1月の平成21年度大学入試センター試験で行われる英語リスニングテストに備え、試験監督にあたる大学の入試担当職員を対象にした予行演習が21日、大阪府吹田市の大阪大学で行われ、約40人の職員らが念入りに手順を確認した。
英語リスニングテストは4回目。前回は、機械の不具合などによる再テスト対象者が過去2回に比べ大幅に減少。予行演習の徹底や機器の改良のほか、回を重ねて受験生や監督者が対応に慣れたためとみられる。
予行演習では実際にICプレーヤー(小型音声再生機)が配られ、電源や音量調整などの操作をしたほか、トラブルがあった場合の対応方法などもマニュアルを元に確認された。
(上記記事より)
大阪大学に限らず、センター試験の会場となる全国の大学や短大、高校などで、こうした準備が進められていることと思います。
全国、津々浦々の会場で一斉に実施されるセンター試験。会場によって不公平が出ないよう、分刻みのスケジュールが引かれ、トラブル時の対応も徹底的にマニュアル化されています。
英語のリスニング試験が導入されてからは、機械の動作不良や受験生の操作ミス、会場周辺での騒音など、想定されるトラブルの種類も増え、運営側は大変になりました。
当日、受験生が全力を尽くせるのは、国を挙げての一大プロジェクトを成功させるべく準備を進めてくださっている関係者の皆様のおかげです。
【大学が漫画の商業誌を創刊。】
■「大学生ら漫画雑誌を創刊 カフカの原作も 全国で発売」(神戸新聞)
神戸芸術工科大メディア表現学科(神戸市西区)の学生らの漫画を掲載した雑誌「TOBIO(トビオ)」が二十日、創刊された。約九割が同学科生の作品で、企画した漫画原作者の大塚英志教授(漫画表現論)は「学生作品が中心の商業雑誌は珍しい」と話し、若い感性が光る漫画雑誌に仕上がった。
同大学と太田出版(東京都)が提携し発刊。三年生ら十二人の作品を載せ、校正などの編集実務も学生が担った。新しい才能を発掘しようと、デビューが決まっている学生らの作品は避けた。
(略)大塚教授は「荒削りな部分もあるが、十年後には業界のトップを率いる学生もいると信じています」と話していた。
(上記記事より)
神戸芸術工科大学先端芸術学部。
ここの「メディア表現学科」の学生が中心になった漫画雑誌が創刊されました。
同学科には「まんが・アニメーション専攻」もありますし、クリエイターを目指す学生にとっては、こうした作品発表の場があるのは良いことだと思います。
商業誌として発行するというのがポイントでしょうか。
読者をしっかり満足させなければ、本は売れませんから、大学教育の一環だとしても、これはなかなか厳しい体験です。
逆に、見事に壁を乗り越えて読者の心を掴むことができれば、本格デビューの前に自信をつけることにもなると思います。
大阪芸術大学も、「大学漫画」という雑誌を出していますね。
↓先日ご紹介したように、京都精華大学も独自の取り組みを行っています。大学発マンガが今、熱いです。
■「京都大学×京都精華大学 マンガによる京大の研究紹介がウェブで読める?」
【南アジアの星となるか。】
■「インド初の国際大学”南アジア大学”の設立が確定」(インド新聞)
インド政府は20日、南アジア地域協力連合(SAARC)の管轄の下、インドに南アジア大学を設立する”本部協定”に調印することを承認した。
プリトビラージ・チャバン首相府担当相は同日、内閣閣議後の記者会見の席で、「同協定は、南アジア大学がスムーズにそして滞りなく運営されるため、また大学とその拠点であるインドの関係を規定するための包括的な枠組みとなるだろう」と語った。
南アジア大学の設立は、SAARCへの責任を公約しているインドにとって、”画期的な偉業”といえる。このプロジェクトは、優れた教育及び研究成果を示す格好の場となることが期待されている。
同大学の活動範囲はインド全域、そしてSAARC各国の大学及び研究施設に及ぶ見通し。講義は2010年8月から開講予定だという。
(略)インド初の国際的な大学となる同大学は、政府間協定に基づいた条件の下、全面的に裁量が与えられ運営されることになる。
(上記記事より)
世界的な評価を集める「インド工科大学」を持つインドに、新たな大学が誕生します。
インド初の国際大学になるとのこと。
現在のところはまだ計画段階ですが、インドの高等教育戦略というよりも、南アジア地域協力連合(SAARC)との関係の中で構想されている大学という方が近いのでしょうか。
(参考)
■「麻生外務大臣の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議出席(概要及びとりあえずの評価)」(外務省)
【政治に翻弄された博士号。】
■「ベルリンの大学、65年遅れで博士号を授与」(ロイター)
ドイツのベルリンに住む88歳のディミトリー・シュタインさんが、65年遅れで大学から博士号の学位を受け取った。シュタインさんは1943年、ユダヤ系だという理由で、最終試験直前にナチスによって大学を退学させられていた。
ベルリン工科大学の学長が、今月に入って口答試験に合格していたシュタインさんに対し、個人的に電気工学の博士号を授与したという。
同大学のスポークスマンは「戦後、シュタイン氏は工科大学に再試験が可能か聞いていたが、断られていた」とした上で、「(ことし)8月にこの恥ずべき出来事を聞いた後、学部の管理部門は、今受験を許可することが、この不当な処置を埋め合わせる唯一の方法だと決定した」と述べた。
(上記記事より)
ナチスによって退学させられた当時の学生が、65年の時を経て試験を受けることになり、晴れて学位を取得しました。こんなところにも大戦時の傷跡が残っているのですね。
ところで、「個人的に電気工学の博士号を授与した」の「個人的に」という部分が、個人的には気になるのですが、これってどういう意味なのでしょう。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。