先日、高校生の理科研究発表を見る機会がありました。
国外の機関から問い合わせを受けているような活動もあり、非常にレベルが高いことに驚きました。
頼もしい未来の科学者達に拍手。
生徒達の努力もさることながら、指導教員の力も大きいのだと思います。
私達も負けていられませんね。
さて、今日は日曜日なので、恒例のニュースクリップです。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「義務教育費国庫負担金の取扱に関する報道について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/10/05102802.htm
■「[義務教育費]『中教審答申に重なる地方の声』」(読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20051029ig90.htm
■「国立大推薦入試で「地元枠」導入拡大 来年度は12大学」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1030/004.html?ref=rss
■「病院経営の人材養成へ専門職大学院 東大など計画」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1028/004.html
■「『魅力ある大学院教育』プログラム、97件採択 文科省」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1025/009.html
・「審査結果」(日本学術振興会)
http://www.jsps.go.jp/j-initiative/data/sinsa/sinsa_kekka.pdf
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文科省と政府が、メディアを巻き込んでのイメージ競争?
28日の記事で、読売と朝日の報道内容の食い違いについてご指摘しましたが、どうやらその28日中に、文科省が両者の報道について抗議を行ったとのこと。
マイスターはこのことを翌29日の産経新聞の記事および「教育ニュース観察日記」さんの記事で知りました。
(文科省の行動、異例の早さです。省益が絡むと広報が迅速かつ饒舌になりますね…)。
読売、朝日ともに、かなり内容を詳細に報道していたので、珍しいこともあるもんだと思っていましたが、どうやらこれらはたんなる誤報の類ではなく、裏に政治的な駆け引きがありそうです。
文科省は、「中央教育審議会の答申を踏まえ、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任をしっかり果たしていけるよう適切に対応していきたいと考えています。」と、政府の動きに明確に反対する姿勢をとっています。
正直、これはちょっと、いち省庁のプレスリリースの範囲を超えている気がしないでもありませんが、どうなんでしょうかね…。
「教育ニュース観察日記」さんは、両紙の記事を「朝日と読売のスクープは、文科省と自民党文教族議員のヤラセ」だと推測しておられます。
マイスターは、記事にある通り「複数の政府筋」、政府側からの情報だと思うのですが、いずれにしても結構なPR(Public Relation)合戦が繰り広げられているようですね。
アメリカなどでは、公共政策のスタッフチームにPRの専門家がいて、戦争に関する世論のイメージ操作などを行っているようですが、日本では、中央政府の機関同士がこうした情報戦を繰り広げているのでしょうか?
「地方」といっても、みんなが国庫負担金廃止ではない?
読売の社説です。
「税源移譲は地方の総意と言えるのだろうか。全国の市町村議会の65%に当たる1429議会が、逆に国庫負担制度の堅持を求める『意見書』を出している。」
「先月、全国の市区町村長を対象に行われた民間アンケートでも、83%の首長が国庫負担制度を『最も確実な財源確保の方法』と答えていた。」
とのこと。これは、なかなか興味深い情報です。
これまで税源移譲を求めていた「地方6団体」とは、全国町村会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会、全国都道府県議会議長会、全国知事会議のことなのですが、これらの地方6団体の代表の主張と、実際の地方自治体の首長達の意見が、食い違っているということになります…よね。
果たしてどっちを信用すればいいのか。
ちなみに読売の社説の最後、「答申後、政府サイドからは8,500億円の地方移譲を前提とした“数合わせ”のような主張が聞かれ始めた。」とありますが、そもそも税源移譲を前提とするよう、首相は中央審議会に指示していたんだという気もします。
また「数合わせ」と読売は批判しますが、この8,500億円という数字は昨年11月の政府・与党合意の結果であり、地方分権の政策の一つとして正式に掲げられたものです。その後、「当面18年度までの三位一体改革の全体像(補助金廃止4兆円、税源移譲3兆円規模、地方交付税見直し)を確実に実現する。」をマニフェストに掲げた自民党は選挙で圧勝していますから、見ようによっては政治が決定し、民意が支持した数字を中央審議会が無視しただけ、という見方だってできると思うのですが…。
なんだかこんがらがってきますね。引き続き、成り行きを見守るしかなさそうです。
教員と医師の育成のため、国立大推薦入試で「地方枠」導入の動きが広がっています。
推薦入試にあたって、定員の一部を地方出身者の獲得に充てるという試みです。
12大学とも、こうした取り組みを行っているのは教師や医師を養成する教育学部と医学部。
「国立」大学ということで、これまでは公平性、平等性の観点から実現が困難でしたが、地元で就職する教師や医師を確保するという目的では、確かに理解を得られやすいでしょうね。
医療経営の専門家、大学院で育てます。
病院や診療所などで医療経営を担う人材を養成する専門職大学院が、東大に誕生します。
「大学経営」と並んで、特殊な知識とスキルを必要とされる領域ですので、大学院で専門人材を育成するニーズはあるのではないでしょうか。
積極的に社会と関わり合う新しいカタチの病院経営、なんてものも今後はいっそう求められてくるでしょうから、そうした取り組みを主導的に担える人材が世に出ることは、個人的には大歓迎です。
一方、大阪大学が開発するのは「医師以外に看護師や放射線技師なども含めた医療現場のリーダー養成を目的としたプログラム」だそうで、これまた今後の社会ニーズに即した、期待できる取り組みだと思います。
大学院も、魅力ある教育を競っています。
「独創的な研究者養成に関する教育取組」に対して重点的に支援を行うというプログラム。
審査結果を見ると、人文系は私立がまだ健闘していますが、理工系および医療系はやはり国立が多いですね。
学部の取り組みに比べて、より専門的な内容を思わせる名称が多く、大学ごとの個性が光っています。
以上、ニュースクリップでした。
最後に。
今週、「大学職員.network」の登録会員数が、100名を突破したようです。
ご興味のある方は、知り合いの中で既に会員になっている方をお捜しください。
もしくは奥の手として、「大学職員.network」の管理人さんに連絡をする、という選択肢もあるようですよ。
では、来週もがんばりましょう。
マイスターでした。