おバカコンテンツで、インパクトあるメッセージを送る大学!

以前は、子供向けのおもしろコンテンツ企画をしていたマイスターです。

「いかに興味を引き、言いたいことを伝え、
 かつ、企業の広報としても効果的であるか」

を追求していました。

FLASHもばりばり使い、ゲームにしたり、ストーリー仕立てにしたり。
日本のお金を印刷している某銀行のサイトコンペでは、粘土製のキャラ(クレイモデルなどと呼ばれる)を使ったストーリーなんかも提案したなぁ…。
(そのコンペ、負けましたけど)

広報といっても、目的やターゲットは様々ですから、企画の方針は毎回異なるわけですが、

時には、「インパクト」で勝負しなければならないときもあるのです。

たとえば、ちょっと「おバカ」な演出した遊び心いっぱいのサイトを作ると、
ユーザーは喜ぶし、広報効果も非常に高まったりします。

でも、そうした企画は、通りにくいです。
なぜなら、その企業のエライ人達が、難色を示すから。

現場の人たちはたいてい、

「おもしろいですね!ぜひやりましょう!」

なんて、乗り気になってくださるのですが、その現場の人が社内に上げて、
大体は部長か、その上あたりで立ち消えることが多いです。

「こんな不真面目なコンテンツは、企業としてどうか」
「もっと真剣に考えたまえ!」

とか言われてしまったり。
で、エライ人たちが自己満足で作った、格式ある無難な広告コンテンツができたりします。

広報というのはある意味、読ませるまでが勝負なのですが、
エライ人は、「自分と同じくらい自分の会社に興味がある人」を想定していたりします。
これでは、いけません。

カタいイメージのある組織ほど、ユーモアを感じさせるコンテンツをうまくスパイスとして使われてみたらいかがでしょうか。
そのギャップが、大変なインパクトを与えると思います。
もちろん、ただおバカなだけではだめで、緻密なデザインと、戦略的な見せ方が大事です。確信犯であることが大事です。

さて、最近ヘビーなトピックが続きましたので、
遊び心があって、広報効果も高い試みを今日はご紹介しましょう。

~初級~

■「芝浦工業大学 受験生情報:特別企画 豊洲キャンパス」
https://office.shibaura-it.ac.jp/nyushi/toyosu/toyosu.html

まずはこれ。
芝浦工業大学の、アドミッションズオフィスが作っているサイト。

大学の若手女性職員が、新しくできるキャンパスの紹介をするというコンテンツですね。
写真も文章も、非常に楽しくできています。
最後まで、つい読んでしまいます。(まだ制作途中のようですが)

入試部門が作ったサイトとは思えません。いい意味で。
「宣伝されている」という圧迫感を与えず、
それでいて新校舎のワクワク感はしっかり伝えている。

ついでに、「こんな面白い職員さんがいる大学なんだ」という楽しい印象も、与えてます。
ユーザーは、この職員さんを通じて、大学そのもののキャラクターを見ているのです。

このコンテンツを見る前と見た後で、芝浦工業大学の印象は変わっているはずです。
入試部門の広報戦略としては、たいへん有効だと思います。

ちなみにエライ人視点で判断すると、このコンテンツは無駄な情報だらけということになると思います。また学者さんの感覚でいったら、こんなのを大学の公式コンテンツとして発信するのは許されない、という感じではないでしょうか。

でも、広報効果はこの通り。
エライ人や、学者さんは、広報の会議に入れてはいけません

~中級~

■「亜細亜大学 図書館ツアービデオ」
http://www.asia-u.ac.jp/mml/html/tour200x/tour.htm

つづいては、これ。
亜細亜大学の、図書館の利用法を紹介するビデオです。

4つの学内サークルと、図書館、それに2つの部署が関わっている力作。
なんていうか、不必要なくらいに力が入っています!

B級映画のようで妙に存在感のあるDVDパッケージ。
意味もなく公開されている脚本。
この無駄に凝ってるおバカっぷりが、非常に楽しいのですよ。

完全に、確信犯による仕事ですね。

サイトを見ると、2003年度版という旧いバージョンもあるのですが、こちらはわりと普通の映像。

はじめて学生主導で作った映像が好評だったのに気をよくし、
ついはっちゃけてしまった2作目、という感じでしょうか。
ぜひ、さらにぶっ飛んだ新作を作ってください。
コンピュータ関係など、きっと説明映像を求めている場所は、まだ学内にあるはずですから。

~参考:企業のおバカコンテンツ~

■「前田建設 ファンタジー営業部」(前田建設工業株式会社)
http://www.maeda.co.jp/fantasy/index.html

企業も、「真面目におバカなことをアピールする」では、負けていません。
参考としてこちらをご紹介。結構有名なので、既にご存知の方もいると思います。

前田建設は、中堅~大手に位置するゼネコンです。
そのゼネコンが総力を結集し、

「マジンガーZがせりあがってくる例のプール」
「銀河鉄道999の、空に向かって延びる例の線路」を、

実際に作ってみたらどうなるだろう?というコンテンツが、この「ファンタジー営業部」。

実際に社内の関連部署が、大真面目に詳細な技術検証をし、
時にはパートナー企業も巻き込み、
最終的に、見積もり額まで出すという壮大なコンテンツ。

非常にシンプルなデザインのコンテンツですが、
アイディアと素材、それに文章の面白さで、飽きさせません。

取引先の相手や就職希望の学生なら大多数が知っているアニメを素材にして、
自社の技術力や提案力を、巧みに宣伝しているのですね。

ふざけているようで、実は自信に満ちている前田技術陣の姿勢。
読んでいるうちに「前田すげえ!」という印象がわき出てくると思います。

元は、一人の社員の思い付きだったとのことですが、会社も全面バックアップ。
書籍にもなってます。
(日本語版のほかに、韓国語版も出版されたそうです)

前田建設ファンタジー営業部

実際、就職希望でやってくる学生の過半数が、このコンテンツを以前から知っていたそうです。

大学も、ユーモアを認める上司さえいれば、こうした試みはできるはずです。

そして、今日一番の掘り出し物は、こちら!

~特級~

■「経済大学ギフレンジャー」(岐阜経済大学)
http://shingakunet.com/scl/sas/SC000196/1/

※注意:音が出ます。職場で見る場合は、気をつけましょう。

………。

公式サイトでここまでのことをしでかす大学があるとは、正直言ってマイスターも思っていませんでした。
なんというか、大学業界をあなどってました。

もうふっきれたよ!
見る人に、そんな印象も与える気もするこのサイト。

しかも、リーダーであるギフレッドは、広報課の職員の方です。

ちなみに、「レンジャープロフィール」の”File2″をクリックすると、各レンジャーの能力ダイヤグラムが出ます(笑)。

ギフレッドは、「アンケート記入」のポイントが1と、極端に低いです。
広報課で何かあったのでしょうか…。

っていうか、

「ヒップレンジャー」

「マッチョレンジャー」

って何ですか。

確かにヒップレンジャーの能力ダイヤグラム、「ケツ圧=5」ってのがありますが…。

各レンジャーごとに説明文が異なり、凝ってます。
学生や大学関係者達、デザイナーまでが、楽しんで作っているのがわかります。

このレンジャー紹介から、「資料請求」を押してしまうというのも、オツなもの。

ちなみに、各レンジャーの紹介からリンクされているキャンパスレポートなどは、極めて普通です(笑)。

なおこの岐阜経済大学、もともとこういうのが大好きな学風なのか、
こんなコンテンツもありました。もちろん、大学公式コンテンツです。

 ↓

http://shingakunet.com/scl/sas/SC000196/2/
(※注意:またしても音が出ます。仕事中の方は気をつけましょう)

この調子で行くと、岐阜経済大学、次なるおもしろコンテンツを制作中かもしれません。
期待しましょう。

「生協の白石さん」に続いて、ギフレッドが大学から感謝状を授与される日が来ることを願ってやみません。

っていうか、このコンテンツの企画者、他人とは思えません

以上、大学の、ちょっとおバカで面白く、

しかし実は大変、広報インパクトが高い(…んじゃないかなぁ~と、マイスターは思った)コンテンツでした。

大学にかかわらず、教育機関にお勤めのみなさん、

たまには、アタマをやわらかくして、こんなお茶目なコンテンツを学生さん達と作ってみるのも、わるくないですよ、

と、東京から真面目にメッセージを送ってみるマイスターでした。

※おバカだけど素敵!なコンテンツを見かけた方は、マイスターまでご連絡ください
 みなさんに代わって、ブログでご紹介させていただきます。


広報といっても、目的やターゲットは様々ですから、企画の方針は毎回異なるわけですが、

時には、「インパクト」で勝負しなければならないときもあるのです。

4 件のコメント

  • いつも拝読させていただいております。マイスターさんブログは、大学人として本当に勉強になります。ありがとうございます。さて、岐阜経済大学のようなインパクトはないですが、それに情報通のマイスターさんはご存知かとは思いますが、私も同じ岐阜県の朝日大学さんにおもしろいコンテンツも見つけましたので、ご報告いたします。

  • マイスターです。
    さっそくのご連絡、ありがとうございます!
    朝日大学さんのこれも、面白いですね。
    最後までクイズに挑戦してみましたが、「資格って大事なのかも…」と思わせる仕掛けがよくできていると思いました。
    ギフレンジャーといい、リクルートさんはやはり、こうしたコンテンツの制作がうまいですね。

  • 森塚さとりさま
    マイスターです。
    情報、ありがとうございます。
    企画・脚本をご担当されているご本人から教えていただけて、このコンテンツのいちファンとして光栄です。
    https://unipro-note.net/wpc/archives/50332744.html
    ↑さっそく、ブログで紹介させていただきました。
    ところで森塚さまは、入試広報課の職員の方でいらっしゃるのでしょうか?
    こういった企画が生まれた経緯など、ぜひ「ギケイダーブログ」で、そのあたりを教えてください!