プロフィール欄にもあるように、マイスターの履歴書には現在、4つの大学名が入っています。
大学附属高校、大学、大学院、そして現在の職場と、すべて違う系列だからです。
そのため、OB会報は3つ、寄付金のご案内は4つ来ます。
未だ、どこにも寄付したことはありません。
素朴な疑問ですが、アメリカあたりでは、マイスターみたいにいくつもの大学のOBである人が日本以上にいっぱいいると思います。
「本学はノーベル賞受賞者を○人輩出」
といった数字は、絶対、ダブルカウントされてると思うんですが、どうなんでしょうか?
受賞時に在籍していたかどうか、みたいなカウントの基準があるんですかね?
「母校はここ」って、決めるの難しいですよね…。
一つに決める必要も、まるでないと思うんですが。
母校から最近、もうひとつ、届いたものがあります。
それは、
「卒業生評議員選挙 投票ハガキ」。
このハガキで、卒業生評議員という制度がその学園にあるということを、初めて知りました。
ほぉ、卒業生の代表が、学園に意見できるようなシステムなのか。
ないよりは、あったほうが、いいじゃないか。
というわけで、さっそく投票用紙に記入して、投函しました。
立候補者のほとんどは、すでに企業で役員クラスになっている人でした。
平均年齢、60歳。
若い人も一人くらいは入って欲しいところですが、
しかしビジネスでそこまで活躍されていた方が、大学の経営を監視するというのは、いいと思います。
「名誉職」みたいになってしまうと問題ですが、ちゃんと機能しているのなら、それは評価できる取り組みではないでしょうか。
しかしそういった役割以上に、
「あなたは、我が大学の一員ですよ。あなたのこと、忘れてませんよ」
というメッセージが届くことの意味が、大きいと思ったりします。
たまーに、こうした形で大学から送られてくる郵便物が、マイスターに、
「そういえばあの大学も母校だった」
と、思い出させるのです。
大学広報誌や、大学新聞の縮小版、
寄付金のご案内、
大学クレジットカードの勧誘、
このあたりは、まだ、かわいいものです。
一番エグイのは、とある学会に所属していると、母校の一つから送られてくる文書。
「今度、○○学会の理事選挙が行われます。
そのうち、本学の卒業生は以下の方々です。
みなさん、選挙を棄権したりせず、母校のOBに投票しましょう。
今後も、業界で、我々××大学が存在感を維持できるよう、確実に(以下略)」
以上、こんな文章とともに、卒業生の立候補者リストが送られてくるのです。
(現職の教授の名前も)
「株式会社○○ ××部長 □□君 昭和32年◎◎研究室卒」
などと、所属していた研究室までわかっちゃったり。
いやぁ、なんていうか、そこまでされると
「確かに俺、ここ卒業したんだなぁ…」
っていう気分はいやというほど味わえるのですが、エグ過ぎます!
政治力って、こういうふうに蓄えていくものなんだなぁ…
と、世の中の仕組みがわかってしまうのです。
母校よ、まだ俺に学ばせようとするのか。
この他にも、最近では
「キャンパスの建て替えに反対の署名を送ってください」
というハガキが母校から来たという方を、たまに見かけます。
レンガ造りの歴史ある校舎を、近代高層ビルに建て替えるってのが、定番ね。
確かに、卒業生としては学び舎が失われるのもさびしいし、
歴史的な遺産をなくしてしまうことにも、一抹の不安を覚えるのですが、
在学生達や、今後の学園を経営していく教職員達にとっては、
切実な問題であるだけにこちらも複雑な気分です。
マイスターなんかは、
学生の頃、歴史的な建物を保存する運動に関わっていて、
歴史ある4つの大学の関係者であり、
かつ、現在は大学の運営に関わる、現職のいち大学職員ですから、
こうした運動に対して、なんともいえません。
そんな珍しい境遇にあるせいか、
「母校って何だろう?」
と、よく考えます。
ただ単に、「卒業した学校」というだけではなく、
それ以上の意味を持った「母校」という意識が、あるのでしょう。
いや、確実に、あります。
スポーツの活躍などで燃え上がる愛校心とか、
寄付金を払ってあげたい気持ちとか、
出身校がCOE等をとった時の誇らしい気持ちとか、
うまくまとめられませんが、そういったときに感じる気持ちかも知れません。
マイスターは、3つの学園を卒業していて、どこにもそれなりに愛着を抱いています。
それらすべてが「母校」だと思っていますが、
「寄付金を払いたい!」
とまで思えるのは、そのうち1校だけです。
ひょっとすると、本当の「母校」は、その学校だけなのかも知れません。
自分でも、よくわからないのですが…。
大学で働いていたことが、後に何かの形で評価されるのだとすれば、
それは、卒業生が
「ここが母校だ!」
と胸を張って言ってくれるかどうか、にかかっているのではないかと、たまに思います。
自分も、卒業生にそう思われるように仕事をしたい。
そんな風に思いながら、毎日、働いています。
以上、久々に母校の一つから届いた郵便物を見ながら、一日そんな風に考えていたマイスターでした。