大学のキャラクター活用(2):「あらゆる場面で使える」キャラクターをつくろう

マイスターです。

■大学のキャラクター活用(1):キャラクターを使う理由って?

↑前回の記事では、キャラクターを広報に使うと、

■親しみを持ってもらう
■目立たせる
■キャラクターの背負っているイメージ(原作のストーリーや設定)を、別の商品に引き継がせる

……というメリットがある、ということを、実例を交えてご紹介しました。
今日はその続きです。

前回ご紹介した3つに加えて、キャラクターを活用することで、

■統一したイメージを簡単に作れる

……という利点も出てくるように思います。

つまりこういうことです。

企業や大学が、何かキャンペーンを行うとしましょう。
キャンペーンを成功させる上で大事なのは、とにかくあらゆる場面で、統一されたキャンペーンのイメージを打ち出す、ということです。

キャンペーンである以上、多くは短期決戦の企画であり、「成功」か「失敗」かが明確に結果として出てしまいます。絶対にコケられません。
ですから、キャンペーンの成果(イベントへの動員や、特定商品の販売など)めがけて、「これでもか!」というくらい、主催者側は情報やイメージを熱心に打ち出します。

「熱心に」というのはイコール、「徹底して」ということです。
具体的に言うと、あらゆるメディアに、同じキャンペーンの情報を打ち出すわけです。

テレビCM、雑誌の広告、電車の中吊り広告、駅や街頭のポスター、ラジオCM、野球場などの看板広告、メールマガジンへのテキスト広告、自社のwebサイトおよびYahoo!JAPANやmixiなどに出すバナー広告などなど、思いつく限り、自社が使えるメディアを使って、同じように統一されたイメージを出すわけです。
キャンペーンにかける本気度が高ければ高いほど、この徹底度も上がります。企業などではしばしば、自社ビルの壁面に巨大な広告を描いたり、メディアが食いつくようなド派手なイベントを企画して情報の告知を図ったりします。

しかし考えてみると、メディアによって、出せる情報の質や量には違いがあります。
テレビCMは映像を流せますが、わずか15秒しか伝えられません。
雑誌の広告は詳細の情報を文字で載せられますが、それを多くの読者に読ませるのは至難の業です。
街中のポスターも同様で、多くの情報があふれている中、自社のキャンペーンを認識してもらうというは大変です。
バナー広告は、クリックしてくれると直接ユーザーをキャンペーンサイトに導けますが、バナー自体に掲載できる情報はあまりないので、クリックさせるのは大変です。

プロデューサーは相乗効果を狙って、これらのメディアすべてで「統一されたイメージ」を出そうと考えるわけです。
が、メディアによって打ち出せる情報の質・量は違うのですから、レベルの高いコピーライターや、凄腕のアートディレクターをもってしても、統一された強力なイメージを作り出すというのは、大変なことなのです。

このときに重宝されるのが、キャラクター。

同じキャンペーン・キャラクターが出ていれば、同じキャンペーンの情報だということはわかります。お手軽ですね。ビジュアル情報ですからある程度目を惹きますし、キャラクターの個性が強烈であればあるほど、印象にも残りやすいでしょう。
キャラクターは、個性というイメージの力によって、上記のような多様なメディアの壁を軽々と超え、すべてを容易にカバーしてしまう力があるのです。

キャラクターを使わずにこうしたメディア展開を行うのは、とても大変。
したがって広報の視点で見ると、キャラクターは、非常に重要で、便利な要素なのです。
皆さんの周りを見渡してみれば、企業などのキャラクターは、そのように使われているはずです。

わかりやすいのでキャンペーンを例に出しましたが、企業自体のPRだって同じです。
「CI(Corporate Identity)」という言葉がありますが、キャラクターは企業の個性そのものを表す記号としてもよく使われています。
プロ野球チームや、プロサッカーチームには、必ず公式キャラクターが設定されていますし、そのキャラクターがあらゆる広報活動・広報メディアで徹底的に登場しています。

ということは。

逆に言えば、キャラクターを使うと決めたら、徹底して使わないとあまり意味がないのです。

大学にも、公式キャラクターを持っているところは多いです。
「本学のキャラクターが決まりました! みんなよろしくね!」といったwebページが公開されていて、イラストが載っていたりします。

しかし、その大学の公式サイトTOPページを見てみると、そのキャラクターがどこにもいなかったりするケースが少なくありません。
これでは、せっかくキャラクターをつくった意味が半減されてしまいます。

キャラクターは、複数のメディアをつなぐ存在なのですから、「大学パンフで使ってwebサイトでは使わない」とか、「気分が向いたときしか使わない」とかいうのでは、キャラクターの力はあんまり発揮されないのです。
わざわざ大学の公式キャラクターを設定するのであれば、ちょっとくどいと思うくらいに活用したほうがいいと、マイスターは思うのです。

その意味で言うと、「あまりにかわいすぎるキャラクターデザイン」は、使えない場面が多いので、なるべく避けた方が賢明だと思います。
企業の一時キャンペーンと違って、大学のキャラクターはある程度長い期間、ずっと広報で使われるのですから、どんな場合でも使えるキャラクターこそ理想なのです。

昨日の記事で言う、

■親しみを持ってもらう
■目立たせる

……に気が行き過ぎて、大学のトップページに表示したり、学内で使う封筒などに印刷したりするのがためらわれるような、過度にキャピキャピしたキャラクターを作ってしまうと、使いにくいでしょう。
おそらく少なからぬ大学が、この失敗をしていると思います。
大学として、あらゆる場面で使い倒しても恥ずかしくないキャラクターをつくりましょう。

もっとも、一時的なキャンペーンや記念事業のためのキャラクターは、インパクトのあるデザインの方がいいかもしれません。一時的なキャンペーンのためのキャラクターだと開き直ってしまえば、使うのにも抵抗がないでしょうし。

ちなみに東京理科大学は125周年の際、神楽坂にある校舎の外壁に、昨日ご紹介したキャラクター「坊っちゃん」の巨大なイラストを入れていました。
きっと学内から反対もあったと思うのですが、つくったキャラクターを徹底して使ったことに、マイスターは感心させられました。

次回、徹底的にキャラクターを使い倒している大学の例を、ご紹介したいと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。