マイスターです。
エンロールメント・マネジメントのネタを小出し小出しにご紹介しているところですが、他の報道も結構あれこれとたまってきています。ですのでここらで一度、エンロールメント・マネジメント関連の話はやめにして、また今度、機会を見て関連の話題をご紹介することにいたします。
日本の大学の行く末を考える上で、非常に重要なテーマであることは確かですから、皆様もご存じの事例や、ご意見ご感想などがございましたら、どしどしお送りください。ブログのコメント欄の他、画面右のプロフィール欄に記載されているメールアドレスにメールを送っていただいても結構です。
てなわけで、今日の話題です。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「The World’s Most Global Universities」(Newsweek)
http://msnbc.msn.com/id/14320413/
■「The Complete List: The Top 100 Global Universities」(Newsweek)
http://msnbc.msn.com/id/14321230/
————————————————————
アメリカの「ニューズウィーク」誌が、「世界のグローバル大学・ベスト100校」と題した記事を公開しました。
このほかにも、世界の有名メディアが発表する大学ランキングとしては、イギリス「ザ・タイム」紙が発表する「世界200大学」ランキングなどがあります。
今回のニューズウィーク誌は、「グローバル大学」という名称。ううむ、つい見てしまうタイトルですね。我が国には、グローバルに通用する大学があるのでしょうか!?
てなわけで、トップ15位までをちょっと見てみましょう。
The Top 15 Global Universities
1. Harvard University (米)
2. Stanford University (米)
3. Yale University (米)
4. California Institute of Technology (米)
5. University of California at Berkeley (米)
6. University of Cambridge (英)
7. Massachusetts Institute Technology (米)
8. Oxford University (英)
9. University of California at San Francisco (米)
10. Columbia University (米)
11. University of Michigan at Ann Arbor (米)
12. University of California at Los Angeles (米)
13. University of Pennsylvania (米)
14. Duke University (米)
15. Princeton Universitty (米)
「The Complete List: The Top 100 Global Universities」(Newsweek)より
ご覧の通り、
ほとんどアメリカが独占!
イギリスのトップ二校がランクインしている以外は、見事にアメリカの天下ですね。
このランキング、どのような評価に基づいて点数がつけられているかと言いますと…。
○よく論文が引用される研究者の数
○「ネイチャー」と「サイエンス」の掲載論文数
○ISIのデータベース「Social Sciences Citation Index(SSCI)、および「Arts and Humanities Citation Index(A&HCI)」の「論文引用指数」。
○外国人教員の人数
○外国人学生の人数
○教員一人あたりの論文引用数 (using ISI data)
○教員と学生の人数比率
○図書館の保有書籍数
などが基準になっているようです。自然科学だけでなく、人文科学および社会科学領域の研究業績も評価されるようになっているみたいですね。
「英語での発表」が評価の対象になりやすい、という大きなアドバンテージがあるにしても、いちおう客観的な数値に基づいてランク付けした結果には違いありません。アメリカの大学の強さは、やはり際だちます。
さて、気になる日本勢はというと、↓このような感じです。
16.東京大学
29.京都大
57.大阪大
68.東北大
94.名古屋大
「The Complete List: The Top 100 Global Universities」(Newsweek)の結果より
トップ100校のうち、5校がランクイン。経済先進国であり、優れた科学技術を誇りにする国として、この数字が多いのか少ないのかは、意見が分かれるところでありましょう。
ただ、かつては、「(国内では圧倒的な権威である)東京大学ですら、世界のトップグループに入れず」という状態であったことを考えると、確実に成果を上げているんじゃないかな、とマイスターなんかは思います。
特に東大は、アメリカ、イギリス以外の国としては、最上位のランクです。アメリカには及ばないとは言え、これは一定の成果として、誇りにして良いことなんじゃないかと思うのです。
ちなみに中国は、香港の大学を除けば、1校もランクインしていません。国内で圧倒的な威光を誇る北京大学や精華大学も、「グローバル大学」としてはまだまだ認められていないということです。なんだかひと昔前の日本みたいです。
韓国も、やはり、ソウル大学を始め、1校もランクされませんでした。
↓そのことを報道した記事がありましたので、ご紹介します。
■「グローバル大学、韓国はゼロ 日本は5校も」(東亜日報)
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2006081558378
日本と比べた記事になっているのがなんだか印象的ですね。
やはり、隣国のランクは気になってしまうというところでしょうか。
こんなランキングを見て、日本の大学もグローバルになってきたなぁ……としみじみ思いながら、マイスターはふと、あることを考えました。
目標として、「世界のトップ研究大学を目指す」ということを謳っている大学って、ありますよね。
旧7帝国大学をはじめ、伝統のある国・私立大学などが、よくwebサイトなどでこのフレーズを掲げています。
この「世界のトップ研究大学」って、今回のランキングで言えば、いったいどのくらいにランクされた状態を言うんでしょう……?
というのもマイスター、東大や京大が、「本学は、○○のランキングで、世界第29位に選ばれました!」とかアピールしている様子を、あんまり見たことがないような気がするからです。
それは、東大や京大は「もっと上のランクを目指せる大学」だと自認しており、20位とか30位とかをアピールするのは大学として微妙だから、ではないかと、マイスターは勝手に想像しているわけです。
「世界トップ研究大学」って、どのくらいの位置だったら、満足なんでしょうかね?
もちろん、どこで満足というのはなくて、常に上を目指していくべきものだとは思います。ただ、「何位以上なら、大学としておおっぴらに自慢できるのか」ってことが、広報を考える上ではやはり気になるわけです。
例えば名古屋大学は今回、世界94位とされています。名古屋大学はこの数字を、どのように広報でアピールするのかなと、マイスターは興味津々です。
100位以内に入っただけでも十分にすごいことだろうとマイスターなどは思うのですが、「世界トップ研究大学」を目指しているのだとしたら、この位置ではまだまだ物足りないでしょう。
どの程度のレベルに、何年以内で到達するのか。
社会に対して大学がメッセージを投げかける際、このような「目標設定」が必要になるときがあります。具体的に目標を設定することで、説得力を増すのですね。
で、「世界トップレベルの研究大学」の場合、どういう風にそれを設定し、どのように伝えるのかなぁと、ふと思ったわけです。
プライドの高い大学の場合、中途半端なランキングの結果は「へたにアピールしない」という選択肢を選んでいるところもあるんじゃないかなぁ、と、思ったりするわけです。
世界のトップランキングにランクされたとしても、それはそれで色々と複雑な事情があったりするのかな、なんて思ったマイスターでした。