ニュースクリップ[-11/2] 「大学11校など新設認可 大学設置・学校法人審議会答申」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【医療系の新設多数。】
■「大学11校など新設認可 大学設置・学校法人審議会答申」(Asahi.com)

文部科学省の大学設置・学校法人審議会は27日、公私立の大学11校と短大4校、大学院8校、専門職大学院4校の来春の開設を認める答申を出した。一方、京都市での開設を目指していた文化政策・まちづくり大学院大は「不可」と判定された。不可の判定が出るのは05年以来。
京都大名誉教授の池上惇さんらが計画してきた文化政策・まちづくり大学院大は、通信教育の大学院大学として開設予定だった。しかし、教育課程や教員組織の不備が指摘され、「継続的・安定的に大学院教育を提供できるとは認められない」と判定された。
(上記記事より)

平成21年度(2009年度)の、大学、短大、大学院、専門職大学院の開設が認可されました。
詳細は、以下をご覧下さい。

■「平成21年度開設予定大学等一覧」(文部科学省)

「不可」とされた文化政策・まちづくり大学院大学に注目が集まっていますが、個人的には、認可された方の内容も気になります。
ほとんど全部、メディカル系。特に看護系が目立ちます。
諮問の時点で、本ブログでもご紹介いたしました。

■新設諮問大学の3分の2に、看護系の学部学科

制度変更もあり、看護師の需要は高まっていますので、こういった動きも出ているのかと思います。
ただ、そろそろ需要・供給のバランスが気になってくる頃かと思います。

それにしても、毎年思うのですが、これだけ少子化とか大学経営・冬の時代とか言われているのに、毎年大学が増えるのはなぜなのでしょう。
経営難の短大が四年制大学化を進めるために大学の数が増える……という影響も大きいわけですが、こうしてみると短大も新設されているのですよね……。

【地元新聞と大学生がコラボ。】
■「学生が大学祭取材し新聞発行」(中国新聞)

広島大の大学祭が1日、東広島市のキャンパスで開幕し、「ふれあい中国新聞」が開設された。広島大生のキャンパスリポーターたちが、イベントの取材に奔走。祭りの熱気を詰め込んだ特報1000部を発行して配り、交流の輪を広げた。
総合科学部棟近くに設けた中国新聞社の多目的取材車「ちゅーピー号」を拠点に、8人が新聞作りに挑戦した。仮装パレードやけん玉教室の様子をデジタルカメラに収め、事前に執筆した記事にコメントなどを加えた。
(上記記事より)

中国新聞社に協力のもと、広島大学の学生が学園祭特集の新聞を発行した、という話題です。
発行に関わった学生の勉強にもなるでしょうし、取材を受けて記事になった学生も楽しいでしょう。学園祭も盛り上がるし、中国新聞も学生へのPRができます。
これは面白い企画ですね。

ちなみに中国新聞社は、独自の「キャンパスリポーター制度」を持っています。

■「キャンパスリポート」(中国新聞社)

地域貢献や人材育成を目的とした仕組みで、広島大学を始め、県内15大学の学生リポーター(約50名)が活動を展開。中国新聞紙面の大学生ページともリンクしているそうです。
地元と連携した、楽しくて意義のある取り組みだと思います。

【合格率が伸び悩む法科大学院、出願者が減少。】
■「島根大法科大学院の出願者数が過去最低」(山陰中央新報)

法曹人を養成する島根大法科大学院の来年度入試の出願状況が二十七日まとまり、過去最低の四十三人にとどまった。法科大学院の統廃合論を踏まえて、入学金・授業料の特別免除制度を創設しただけに、急激な落ち込みに大学側は危機感を強めている。
出願状況によると、志願者は定員三十人を十三人上回り、競争倍率は一・四三倍。同大学院では開設初年度の二〇〇四年度の三百四人を除くと志願者は八十人前後で推移していたが、本年度の八十四人からほぼ半減する厳しい状況になった。
(略)本年度の新司法試験で、同大学院の合格者は四人で、合格率は全国平均の半分以下の15・4%。三宅科長は「合格者を出すには厳格に選考して優秀な学生に絞る。その結果、定員を充足しないこともある」と話した。
(上記記事より)

司法試験合格率が平均を割っている、島根大学法科大学院。
その影響が大きいのでしょう、志願者が半減する厳しい見通しとなっています。

「合格者を出すには厳格に選考して優秀な学生に絞る。その結果、定員を充足しないこともある」という科長のコメントは、「合格率」で法科大学院が受験生から評価されるという事情を考えれば、理解はできます。
ただこれは、「司法試験に受かりそうな人しか入れない」という発言なわけですから、教育機関として、色々と物議を醸しそうでもあります。

【大学の教職員がコミュニティFM放送局を開設。】
■「大学教職員がミニFM局準備」(中国新聞)

広島経済大の教職員たちが来年4月、地元の広島市安佐南区を放送エリアとするコミュニティーFM放送局「fmハムスター」の開設準備をしている。運営主体の特定非営利活動法人(NPO法人)を立ち上げ、施設は学内のスタジオや機材を無償で借りる。
(略)NPO法人の理事長にはメディアビジネス学科の古本泊教授が就く予定で、理事会は広島経済大の教職員と地元の小学校長の計5人で構成する。
NPO法人には会費が割安な「学生会員」を設け、番組制作に携わる大学生を積極的に受け入れる。安佐南区役所とも提携し、地域の活性化や災害時の情報伝達に役立てるほか、留学生による外国語放送も企画する。
(上記記事より)

大学によるコミュニティFM放送局の立ち上げ。
教職員がFM局を立ち上げ、学生をそこに巻き込んでいく、という形でのスタートです。

■「興動館プロジェクト」広島経済大学

↑広島経済大学は、実践系のプロジェクトに力を入れているようです。
このFM局も、その舞台の一つとなるのでしょうか。

【サウジアラビアに初の女子専門総合大学。】
■「サウジに初の女子大創設へ 近代化目指し国王が決断」(47NEWS)

イスラム教の中で最も戒律が厳しく保守的なワッハーブ派を国教とし女性の車両の運転も禁止してきたサウジアラビアが、女子専用の初の総合大学を創設することになり、首都リヤド郊外で29日、建設工事の起工式が行われた。女性が学ぶ機会を得ることが難しかった医学、経営学、外国語などを教える。ロイター通信が伝えた。
サウジの宗教指導層は女性の教育、労働の機会拡大に強く抵抗してきたが、近代化に向け女性の雇用拡大は不可欠と考えたアブドラ国王が、女子大の創設に踏み切った。アッサーフ財務相によると完成は2年後の予定。
(上記記事より)

私立の女子単科大学は既に存在するらしいのですが、医学や経営学なども学べる総合大学というのは初だそうで、しかも国王の決断だとのこと。
サウジアラビアの歴史上、ものすごく画期的な出来事なのだと思います。

ただ個人的には、女性の自動車運転すら禁止されている国で、果たして女性が医学や経営学を学んで、卒業後にそれを活かす環境があるのだろうかという点が気になります。

サウジでは、女性は親や夫以外の男性と接するべきでないとされ、不特定多数の男性と接する機会のある外出の際は、目だけを出したアバヤと呼ばれる衣装で頭から足元まで覆う。2002年には西部メッカの女子校で火災が発生、アバヤなしで避難してきた生徒らを宗教警察が校舎内に押し戻し、多数の死傷者を出す事件もあった。
(上記記事より)

……なんていう記述を見ると、色々と心配になるのですが、アバヤを着けてさえいれば女性でも専門職やビジネスパーソンとしてキャリアを積んでいけるのでしょうか。
いや逆に言うと、女性を診る医師や、女性をマネジメントする経営者という立場では、女性の方が戒律に触れにくく、何かとやりやすいのかも知れませんね。
マイスターは実際のサウジアラビアを知らないので、お詳しい方のコメントをお待ちしています。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。