マイスターです。
以前、企業の広報に関わっていたことがあるため、大学の広報活動に興味を持っています。
今は、大学として「公式キャラクター」を用意しているところが少なくないようで、色々な大学のキャラクターを拝見しています。
最近では、周年事業でよくキャラクターが活用されています。
早稲田大学の「ワセダベアー」は、同大OBで、漫画家の弘兼憲史さんのデザイン。
東京理科大学が125周年事業で使った「坊ちゃん」は、夏目漱石『坊ちゃん』の主人公が、東京理科大学の前身である東京物理学校の卒業生だという設定に因んだものです。
■「WASEDA BEAR(ワセダベアー)」(早稲田大学)
■「東京理科大学創立125周年記念イメージキャラクター 『坊っちゃん』人気投票の結果発表」 (東京理科大学)
オリジナルのキャラクターをゼロからデザインする大学もあれば、既存のキャラクターを活用する例もありますが、いずれにしても大学広報にキャラクターをとりいれようという動きが年々、強まっているのは確かなようです。
というわけで今回は、何回かに分けて、大学のキャラクター活用についてご紹介していきたいと思います。
広報関係の方のご参考に……なる保証はありませんが、アイディアのひとつくらいにつながったら幸いです。
その前に、まず考えてみたいのですが、大学や企業は、どうして広報やPRにキャラクターを活用するのでしょうか。
ちょっと前の本ですが、↓こんな本が話題になったことがありました。
上記は、バンダイ・キャラクター研究所が、精神科医の香山リカ氏と協同で進めたプロジェクトを、書籍にまとめたものです。
■「87%の日本人がキャラクターを好きな理由: キャラクターと日本人の奇妙な関係」(バンダイ・キャラクター研究所)
書籍の内容は、「なぜ好きなのか?」という原因の分析に関する部分が多いので、ご興味のある方だけご一読ください。
ここで訴えたいのは、「87%」の部分! なんだかすごい数字です。
(マンガ&アニメ大国だから、キャラクター好きな人が多いのか、それともキャラクター好きな国民性が、マンガやアニメの文化を育てたのかは、ここではおいておきましょう)
そんなわけで日本では、キャラクターを受け入れることに抵抗感があまりない人が多いようです。
だから銀行や官公庁、自治体のようなお堅い組織も、積極的にキャラクターを使っているのでしょう。
大学も、「大学がこんなちゃらちゃらしたイラストを使うなんて!」と怒られるお国柄のところだってありそうですが、日本ではそんなに批判の声を聞きません。
さて、そのようにキャラクター好きが多い我が国では、企業も、キャラクターを活用して消費者の心をゲットする試みに余念がありません。
「消費の対象としてのキャラクター」は、今や、産業の重要なファクターとして位置づけられています。
マンガなどの原作からキャラクターが生まれた場合もあれば、キャラクターだけが個別につくられた場合もあるでしょう。
コンテンツとしてキャラクターを売る場合は、それこそマンガからアニメ、ゲーム、映画、グッズ等々色々なメディアでの展開ができますが、それはここで語り尽くせる内容ではないので、ここでは、(原作とは直接関係がない)企業の広報やPRにキャラクターを活用する場合のことだけを考えます。
キャラクターを広報に使うメリットとして、まず思いつくのは、
■親しみを持ってもらう
■目立たせる
■キャラクターの背負っているイメージ(原作のストーリーや設定)を、別の商品に引き継がせる
……などです。
大抵の大学の場合、主として前の2つをキャラクターに期待していると思います。
大学が作成する広報物だと、どうしても情報量が多くなりがち。そんなときに、ビジュアルでキャラクターが入っていると、目立つし、親しみが持てるのは確かです。
3番目のメリットの例としては、例えば東洋大学のムーミン、東京電機大学の鉄腕アトムなどがあるように思います。
■「入試情報」(東洋大学)
PROJECT:ATOM 「未来との共生」を目指して。 TDU 100 NEXT YEARS
哲学から始まった東洋大学。
ムーミン物事を哲学的に考えていそうなムーミン達なので、あっているなぁ……と個人的には思っていたのですが(ほら、スナフキンなんて、哲学者っぽくないですか?)、実際には、家族や友人も含めた、「社会」を単位としたキャラクターであるという点で、採用されたようです。
いずれにしても、東洋大学の元々の個性とずれていません。それどころか最近では、ムーミンによって大学のイメージが補完されているような気すらします。
理工系単科大学である東京電機大学の「鉄腕アトム」は、説明も不要でしょう。
同大は近年、「未来科学部」という学部を新設しましたが、その打ち出しでアトムが大々的に使われており、印象的でした。
日本にはロボットものの人気キャラクターが多いので、理工系大学にとっては選択肢が多そう。マイスターはこの他にも以前、芝浦工業大学が「サイボーグ009」を使っているのを見たことがあります。
元々のキャラクターが背負っているイメージと、大学がアピールしたいイメージとがぴったり合えば、より効果的に印象を強め、また補完することができるというわけです。
そして、個人的には、もうひとつ、
■統一したイメージを簡単に作れる
という点が、キャラクターを広報に使うメリットとしてとても大きいと思うのですが、これについては次回にご説明します。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。
芝浦工大のサイトを見ていたらキャラクター人形の写真がありました。