マイスターです。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【成績表の通知に賛否両論。】
■「成績表:親に通知当然!? 国立・有名私大で増えてます 『留年防止、説明責任』」(毎日jp)
学生の成績表を父母らに送る大学が増えている。一部の私大では慣例化していたが、近年、早稲田大などの有名私大や国立大にも広がり、北海道大は今春入学の学生から通知を始めることにした。「成績を知ってもらうことで留年が防げる」「学資を出す人への説明責任がある」などが主な理由だが、大学内部には「学生を子ども扱いしていいのか」との懐疑的な意見もある。
(略)ある私立大職員は「親に言われないと勉強しない学生もいる。履修科目の相談など学生がすべき問い合わせを親がしてくるケースもある。学生も保護者も以前とは変わった」と漏らした。
(上記記事より)
しばしば話題に上る、保護者への成績通知。
実施している大学は多いと思います。
「子供扱いではないか」という意見がある一方で、「これもサービス」とか、「学費を出している保護者には知らせる必要がある」とかいった意見もあります。
留年が決定して初めて、「どうして今まで成績不振を知らせてくれなかったのか」と驚く保護者もいるでしょう。
大学全入時代と言われる昨今。
大学入学時の成績はあまり良くない学生に、ちゃんと自ら学び考える習慣を付け、高等教育を行って社会に送り出す、そんなミッションを背負う大学は少なくないでしょう。
すべての大学がこうした通知を行う必要はないかも知れませんが、そういった教育ミッションを掲げる大学では、成績通知も教育手段の一つとして、検討されてもいいのではないかと個人的には思います。
【東京ゲームショウに出展する大学。】
■「東京工科大学メディア学部が、昨年に引き続き『東京ゲームショウ2008』に出展」(学校法人片柳学園)
東京工科大学では他大学に先駆けて、「ゲーム制作」の総合的な教育に取り組んできた。その教育・研究の成果の一環として、今年も昨年に引き続き、学生作品と研究デモを世界最大級のゲームイベントである「東京ゲームショウ2008」に出展する。
(上記記事より)
企業から一般の方々まで、多くの方が訪れる東京ゲームショウ。
ゲーム開発を学ぶ大学にとっては、絶好のPR機会になるでしょう。
↑東京ゲームショウのサイトを見てみたところ、出展社リストに「ゲームスクールコーナー」が。
東京工科大学の他、大阪電気通信大学デジタルゲーム学科も出展されていました。
専門学校が多い中で、四年制大学としての出展は注目を集めたのではないでしょうか。
【学生の屋台、文科省から認められる。】
■「福島大の学生屋台、活動に弾み 文科省が支援」(河北新報)
福島県南会津町伊南地区(旧伊南村)を盛り上げようと、福島大の学生らが地元の特産品にこだわった屋台「いなGO!!」を福島市中心部で運営してきた試みが認められ、事業拡大を文部科学省が財政支援することになった。支援額は今後3年間で数千万円に上る見通し。福島大は連携の輪を南会津町全域と南相馬市に広げ、農村の過疎と都市部の空洞化を一体的に解決する取り組みを加速させる。
支援を受けるのは、福島大経済経営学類の小山良太准教授が申請した「産直屋台いなGO・街と農村をつなぐ地域企業」。小山准教授と学生は「伊南まちづくり連絡協議会」(解散)の依頼を受けてまちづくりの方策を提案し、学生が昨年から屋台を運営してきた。
(略)11月下旬には支援額も含めて正式決定する。本年度は福島大を含め120校の148件が採択された。
(上記記事より)
学生による屋台事業が、文科省の「質の高い大学教育推進プログラム」に採択されました。
↓屋台オープン時のレポートが、大学のサイトに掲載されています。
■「7月20日(金)『いなGO』オープン!」(福島大学)
「国際化時代の地域づくりと実態調査」や「地域社会と地方財政」を研究する皆さんは、昨年4月より伊南の地域振興計画の作成に携わるなど、これまでも街づくりの活動を後押ししてきました。地域振興をさらに模索する中、福島の中心市街地にある「ふくしま屋台村こらんしょ横丁」から伊南の魅力を発信することを思いつき、屋台村を運営する福島商工会議所青年部と協議の上、南会津の産直屋台をプロデュースすることにしました。
(略)単に飲食店で料理を提供するだけではなく、メニュー作りに始まり、商品の注文から仕入れ、原価計算、調理、販売、接客、経理など、実社会に即した経営全般にかかわります。「大学在学中にこのような体験ができるのは、大変貴重な経験」と語る皆さん。出店に合わせて来客者に対するアンケートや屋台村の経済効果なども調査する予定です。
南会津町伊南と福島市の交流促進や地産地消の促進などが期待される大学初のこの企画。みなさんぜひ応援してください。
(上記記事より)
屋台の運営を通じて実践的な学びを行うとともに、地域振興も達成するこのプロジェクト。
手作りで始められたものだと思いますが、興味深い取り組みです。
大きな補助を得て、これまでとはまた違った経営手腕が問われることになるでしょう。
この事業がどのような広がりを見せるか。学生の皆さんに期待です。
【うまく使いこなせるか。大学のホール。】
■「東北の音楽シーン一変?/東北大に新ホール」(Asahi.com)
東北大講堂(仙台市青葉区)が、開学100周年を記念して優れた音響と1千席を超える客席を備えた音楽ホール「川内萩ホール」に生まれ変わり、10日、オープンする。アクセス面などに課題も残るが、東北のクラシック音楽環境を一変させる可能性を秘めており、運営する同大は「芸術文化の拠点に」と意気込む。
(略)音響や立地をアピールすることで、東北を素通りしてきた海外オケの誘致も現実味を増す。07年度に仙台であった海外オケによる演奏会は、室内オケを含めても5回程度。西欧や北米の著名オケはゼロに近い。大学側は「これまでがっかりしていた東北のクラシックファンの期待に応えたい」と力が入る。
ただ、大手音楽マネジメント会社は「自治体や公の財団から資金が出にくくなっており、大学が招請にどれほど金をかけられるか」(東北地区の担当者)と推移を見守る構えだ。
音楽系学部のない国立大学が運営する音楽ホールは例がない。平井さんは「学内行事と折り合いを付ける必要はあるだろうが、どれだけ使う側の視点に立って運営できるかが鍵だ」と指摘する。
(上記記事より)
かなり本格的な音楽ホールになるようです。
ただ、東北大学には音楽系の学部がありません。
こういった大ホールは、何かの際には便利ですが、普段は持てあまされることもありそうです。
本格的な施設であるだけに、うまく活用できないと、大学経営の足を引っ張ることにもなりかねません。
全国に存在する公立ホールが、稼働率の低迷で批判を浴びている中、どこまでソフトを充実させ、住民や音楽ファンに愛される施設に出来るのかが問われるところです。
【注目を集めています。】
■「科学分野でノーベル賞13人の日本、その秘訣とは(上)」(朝鮮日報)
■「科学分野でノーベル賞13人の日本、その秘訣とは(中)」(朝鮮日報)
■「科学分野でノーベル賞13人の日本、その秘訣とは(下)」(朝鮮日報)
■「ノーベル賞受賞に沸く日本、理工系復興なるか」(朝鮮日報)
■「ノーベル賞受賞者3人を輩出、地方の名門・名古屋大学」(中央日報)
韓国のメディアが報じた、日本のノーベル賞の話題です。
韓国のメディアは日本の大学改革のことを、私達が思う以上に気にかけています。
日本の大学関係者がアメリカの動きを気にしているのと似ているかも知れません。
日本を過大評価しているように感じられる部分もありますが、頭脳流出に対する日本国内での反省意見も紹介するなど、客観的な報道だと思います。
ちょっと新鮮な気分になりますので、よろしければどうぞ。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。