日本語未修でも受験可能 早稲田大学理工3学部

マイスターです。

■「留学生30万人計画」に向け、就職支援を強化

↑先日の記事で、留学生を増加させるための、国の取り組みについてご紹介しました。

今日は、大学が独自に始める取り組みの中で、興味深いものがありましたので、ご紹介したいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「早稲田大:理工学部、日本語ダメでも受験OK 優秀な留学生確保へ--09年度から」(毎日jp)

早稲田大理工学部(東京都新宿区)は09年度の留学生向け入試から、英語で出題する筆記試験や、大学入試センター試験に相当する各国のテストの点数で合否を決める新制度を導入することを決めた。
(略)早大によると、これまでは日本語による筆記試験(英語、数学、物理など)を実施。入学希望者は高校卒業後、日本語を1年間勉強した後に受験するケースが大半で、留学生からは「時間と費用が惜しい」との声も多かった。
このため09年度入試から、英語による筆記試験(数学、物理など)▽大学入試センター試験と同様な各国のテストの点数と面接試験で合否を決めるAO入試--も実施する。新制度の受験者には日本語試験は課さない。現在理工学部に在籍する留学生は85人で、合格者数は毎年20~30人前後だが、新制度導入で倍増を目指す。
新制度による合格者は入学後も1、2年生の教養・基礎科目は、日本人学生とは別に英語で授業を受ける。しかし、3年生から本格的に始まる専門科目は日本人学生と同じ教室で受講するため、1年生から「日本語」を必修化して習得させるという。
(上記記事より)

昨年、「5年以内をめどに8000人の外国人留学生を受け入れる」と発表した早稲田大学。
中野に、大規模な学生寮を建設するなどの計画もこれまでに発表してきました。

上記は理工学部に関するニュースですが、入試を英語で行うということで、また「留学生大幅増」にリアリティが出てきたように思います。

例えば日本人がアメリカの大学を受験する際には当然、SATの勉強を受けたり、大学で講義を受けられるまでの英語力を身につけて、TOEFLなどで証明したりしなければなりません。
日本で高い学力を身につけていても、それを英語で行えなければ、当然、アメリカの大学には入れません。

例えばそれを、

「日本語で入試をやるから、とりあえず最初は英語が使えなくてもいいよ。入学後も2年間は日本語で授業を受けられるから、その間、日本で暮らしながら、日本語の授業を取ってスキルを身につけてね」

「日本のセンター試験の点数で合否を決めてあげるよ」

……と言ってしまうようなものです。
海外在住の学生にとっては、相当、出願までのハードルは下がるでしょう。

ちなみに、↓こんなページもできていました。

■「Spring 2009 Entrance Examination Guidelines for the “International Student Program without Japanese Language Entrance Requirement”」(Faculty of Science and Engineering, Waseda University)

We have prepared a new system in order to promote the acceptance of foreign students who wish to enter the science and engineering schools of Waseda University at the undergraduate level. The current system for accepting foreign students into the three science and engineering schools requires that they have Japanese language ability prior to entering the university. However, in order to further promote the acceptance of foreign students, this entrance system has been newly introduced in order to allow the acceptance of students who have a sufficient level of academic ability but lack any Japanese language ability to take classes in English. Students can acquire Japanese studying science and engineering.
(上記記事より)

出願要項もありましたので、ご興味のある方はどうぞ。

まだ、早稲田大学が実施する「英語による筆記試験」の実施情報だけで、「大学入試センター試験に相当する各国のテストの点数で合否を決める新制度」のことは説明されていないようです。
そちらは国ごとにどの試験の点数をどう評価するのかが複雑でしょうから、その辺りを詰めるのに時間がかかっているのかも知れませんね。

立命館アジア太平洋大学もそうですが、入学時に日本語能力を求めないというのは、かなり大胆な施策です。

日本語を身につけるまでの間、英語で授業ができるようにカリキュラムを整備しなければなりません。
大学の各窓口にも、必ず英語ができるスタッフを設置しなければなりません。
掲示や配布物も、必要最低限のものは日本語・英語の両方を用意しなければならなくなります。

つまり、学内の共通語が、日本語と英語の2言語になるようなもの。
これは、大変です。

大学側が「本気」になっていないと実現できない施策です。
しかし確かにそこまでやれば、留学生は格段に受け入れやすくなるでしょう。
「日本人学生を国際的な環境に浸す」というミッションも含めて考えれば、やっただけのメリットもあるのだと思います。

留学生の積極的な受け入れを謳う大学は少なくありません。
そういった大学にとっては今後、こういったブレイクスルーを迎えられるかどうか、そのための体力があるかどうかが、問われることになるのでしょう。

以上、そんなことを思いながら冒頭の記事を読んでいた、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。