マイスターです。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【情に訴える?】
■「医師不足:250人の県出身・全国の医学生に知事が手紙『就職は古里で』 /富山」(毎日jp)
医師不足の深刻化を受け、県は、全国の大学医学部に在籍する富山出身者約250人に対し、古里の病院に就職するよう求める手紙を送った。石井隆一知事自らが、学生たちの郷土愛に訴える文面を考え、「明日の県医療を担ってほしい」と呼び掛けている。
県内の病院の中には、医師不足のため一部の診療科を休止するところも出ている。県内15病院は07年度、計117人の研修医を募集したが、集まったのは半分以下の50人。募集定員に対する割合を示す「マッチング率」42・7%は、全国ワースト2位だった。
危機感を強めた県は、1人でも多くの研修医を確保しようと、03年以降に全国の医学部に進学した県立高の出身者に手紙で「Uターン」を呼び掛けることにした。文面は、石井知事が自ら筆をとり、それぞれの卒業校を通じて送付した。
手紙では、立山連峰やホタルイカなど富山の魅力を強調して郷愁を誘っている。その上で、「富山の医療が崩壊の危機に直面しかねない。県民はあなたの帰還を切望しています」と、若者たちの「情」に訴えている。
(上記記事より)
打てる手は何でも打つ、という姿勢は良いと思いますし、一人一人に手紙を送るというのも有効でしょう。
ただ、「立山連峰やホタルイカなど富山の魅力を強調して郷愁を誘っ」たり、「県民はあなたの帰還を切望しています」と情に訴えたりしただけでは、事態を変えるほどの効果は得られないのではないでしょうか。
本来なら、どうして医師が集まらないのかを分析し、それを解決するための具体的な提案を行っていくことが重要で、それが政治家の役割だと思います。
【大学のネットワークに不正アクセス。】
■「立命大システムに侵入 学生ID盗んだ男、容疑で逮捕」(京都新聞)
立命館大(京都市中京区)のネットワークシステムに侵入するなどしたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室と北署は14日、不正アクセス禁止法違反などの疑いで、大阪府枚方市招堤南町3丁目、会社員内藤翼容疑者(25)を逮捕した。内藤容疑者は学生のIDなどをフィッシングの手口で盗んでいたという。立命館大は「情報流出やシステム攻撃などはない」としている。
調べでは、内藤容疑者は1月23日、草津市の立命館大びわこ・くさつキャンパスのネットワークに、学生2人のID、パスワードを使って侵入し、2人のメールの転送先アドレスを追加した疑い。
府警によると、内藤容疑者は1月、学生に「ネットワークシステムがウイルスに感染した。セキュリティーチェックをする」と大学からの連絡を装ったメールを送り、IDなどを入力させるサイトに誘導していた。これまでに学生10人のIDなどを盗み、大学などから学生に送られたメールを、自分あてに転送させていた。
(上記記事より)
ネットワーク・システムのセキュリティはそれなりに整備されていたのでしょう。
にも関わらず、大学からのメールを装い学生からIDを聞き出すという簡単な方法で侵入されてしまいました。
情報系のエンジニアは、サーバーを万全にすれば安心だと思いがちですが、実際にはこういった、大学で行われるやりとりすべてを見直す必要があるのですね。
最近では、大学専用のポータルシステムを構築し、大学からの連絡事項はすべてそのポータルを通じて行うという大学も増えてきているようです。このように出所の確かな情報しか学生には届かない仕組みを作ることが、今回のようなケースには有効かも知れません。
【レッズ大人気(就職先として)。】
■「浦和に就職したい!大学生殺到」(Sponichi Annex)
王者・浦和になんと就職志願者が殺到した!浦和の藤口光紀社長(58)が12日、提携を結ぶ埼玉大学で「スポーツマネジメント概論」の講義を開き、約300人の受講生が参加。クラブ経営、アジア王者までの道のりなどを熱く語った。だが、驚きは講義の終了後に待っていた。講師を務めた藤口社長は、浦和へ就職を希望する学生に、瞬く間に囲まれてしまったのだ。
ある女子大生からは「女性スタッフはいますか?どうすればなれますか」と猛アタックされた。残念ながら現在、新卒採用はなく、藤口社長も「今は(社会人)経験者の方が多い。そこで語学とか特別な能力があればね」と説明するにとどまった。女子大生の思いは届かなかったが、思わぬ形でレッズ人気の高さを示した格好となった。
(上記記事より)
■プロスポーツと大学(1) Jリーグと大学の連携
■プロスポーツと大学(2) プロ野球チームと大学の連携
↑以前、プロスポーツチームと大学との連携についての記事で、「意欲のある学生をスタッフとして採用するという点でも、各クラブチームは大学に対して熱い視線を送っている」と書かせていただきました。
今回の記事の出来事は、こうした「意欲のある学生」が潜在的にいるのだということを、チームの経営者側に伝える結果となりました。
残念ながら今回は学生達のアタックは届かなかったようですが、この出来事を受け、今後の新卒採用が検討されたりするといいですね。
せっかくチーム経営の取り組みについて講義するのですから、そのまま採用のPRの場にしてしまうというのは、チーム側にとっても悪い話ではないと思います。
【あの人気大会に異変が?】
■「鳥人間コンテスト、あの日大不出場 TV局の条件のめず」(Asahi.com)
30年以上続く民放人気番組「鳥人間コンテスト選手権大会」の今夏の大会に、何度も優勝している日本大チームが参加せず、常連の早稲田大チームが希望と違う部門に出ることになった。応募締め切り後、主催者が急に新たな条件を出したことが理由だ。大会は開かれるが、学生側からは不満が聞かれる。
(略)飛距離で歴代最高の約34.6キロの記録を持ち、2回目から毎年のように参加する日本大学理工学部航空研究会は、今年も飛距離部門で申し込んだが、4月にあった書類審査に合格しなかった。
大会事務局は、日大側に様々な条件を出したが、受けてもらえなかったと説明。「日大の機体が悪いわけではない」とも話す。航空研究会の安部建一顧問は「結果的に出場できなかった。来年も飛距離部門の出場を目指す」とコメントした。
飛距離部門に応募した早稲田大チームには4月末、時間部門で合格したと通知があった。事前に変更の打診はなかった。事務局に尋ねると、時間部門に出るより選択肢はないと説明された。より長距離を飛べる機体作りに昨夏から取り組んでおり、対応を学生同士で話し合ったが、活動実績を示すことが大切だと、妥協する形で参加を決めた。
チーム代表の岩間大輝さん(21)は「1年かけて準備している。主催者からもう少し早い段階で打診があれば、対応しやすいのに」と話す。
大会事務局は「飛距離部門と、06年に出来た時間部門の両方を盛り上げたいというのが方針だ。番組なのでチーム背景や応援内容といった点も配慮する」と説明している。
(上記記事より)
鳥人間コンテストと言えば、琵琶湖を舞台に毎年行われる、人気番組。
工科系を中心に日本中の大学のチームも参加しています。
工学部を持つ大学には、この鳥人間コンテストに毎年挑戦することを目的としたサークルや研究会があったりしますね。
参加チーム全体の技術力が年々向上している様子が、飛距離などの記録更新から見て取れ、教育的にもなかなか意義のあるコンテストだと思います。
ただ番組が続くにつれ、最近では、琵琶湖の対岸(それも琵琶湖大橋など「これより遠い部分はない」というところ)まで辿り着くような機体が現れ始めており、そろそろルール、もしくは会場の見直しも必要なのかと思われていたところでした。
「時間部門」というのは、おそらくそのような現状を受けて開設されたものだと思います。
そんな中で起きた、上記のトラブル。
テレビ番組なので視聴率を気にするのはある程度仕方のないことではありますし、運営上の都合も分からなくはありません。ただ、それなら1年前に通知すべきでした。
専門のサークルをつくって、1年かけて準備している学生達が全国に大勢いるということは、番組側は十分承知していたはずです。
違うルールに対応する機体をつくるためには、設計から違ってくるということもあるでしょう。番組側の急な方針変更に振り回されてしまった学生達が気の毒です。
ちなみに「鳥人間コンテスト」で学生が出した成果は、特に工科系大学においては大学の格好のPR材料になっており、パンフレットなどにも大きく掲載されます。
今回の運営トラブルで自校のチームが活躍できなくなると、大学の広報にも影響が出ます。
【10代の大学生市長。】
■「19歳の大学生を市長に選出 オクラホマ州」(CNN.co.jp)
オクラホマ州マスコギー(AP) オクラホマ州北東部のマスコギー市で13日、オクラホマ大学1年生のジョン・タイラー・ハモンズさん(19)が市長に選出された。
マスコギー市は人口3万8000人。郡選挙管理委員会によると、ハモンズさんはハーシェル・レイ・マクブライド元市長を破り、70%の得票で市長に選出された。
(略)ハモンズさんは20日に新市長に就任予定。「開かれた市政の公約が市民に支持された」と話している。大学にも通い続ける予定だが、ムスコギー市に近い学校に移る見通しだという。「予定をうまく配分して市長と学業を兼任したい」と抱負を語った。
(上記記事より)
日本でも現役学生が選挙に出て、政治家になることはあります。
ただ日本の場合、市長の被選挙権として「満25歳以上」という条件がありますから、大抵は政策系の大学院生などです。
オクラホマ州では、19歳でも大丈夫なようです。
(この州では19歳は未成年ではないのかな?)
卒業するのが大変と言われるアメリカの大学。
両立は相当大変だと思いますが、日本のように「○年間で卒業しなきゃダメ!」みたいな社会的なプレッシャーはないと聞きますから、うまく配分して、ゆっくり卒業されてもいいかもしれません。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。