ニュースクリップ[-8/20] 「就職OB訪問ピンチ、企業が名簿出し渋る」ほか

マイスターです。

・生涯現役学生主義! 日本初、カレッジリンク型シニア住宅が誕生
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50222030.html

以前ご紹介した↑関西大学の「カレッジリンク型シニア住宅」に関するシンポジウムが、9月11日(月)13:30~17:00に、関西大学(千里山キャンパス)で開催されるようです。

■【「カレッジリンク型シニア住宅」創設記念シンポジウム】(関西大学文学部)
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_let/topics/college-link/college-link.htm
↑こちらから詳細がダウンロードできます。

日本初の取り組みであり、今後は他の大学でも実施されていくと思われます。この事業に関してご興味のある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。

さて、そんなわけで今週のニュースクリップです。

個人情報保護法の施行により、就職活動に変化が?
■「就職OB訪問ピンチ、企業が名簿出し渋る」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060817it06.htm

個人情報保護法の影響で、企業が大学に対し、各大学OBの社員の名簿提供を拒み、学生による志望企業のOB訪問に支障が出るケースが続出している。
提供を断った企業は個人情報流出の危険性を指摘、一方で大学側からは「柔軟に対応を」との声が上がっている。
東京大は昨年、約800社に「OB訪問に限って利用する」としたうえで、OB名簿の提供を要請した。しかし、最終的に応じたのは約240社にとどまった。個人情報保護法が、個人情報の外部提供は「原則として本人の同意が必要」と定めているため、これを理由に断ってくる企業が多いという。
東大は昨年4月の法施行後、所有していたOB名簿をすべて廃棄処分しており、現時点で学生が閲覧できるのはこの240社分だけ。今秋に再度、各社に名簿提供を要請する予定だが、「趣旨を理解してもらえるよう、お願いするしかない」(学生部)と話す。
横浜市立大は今年、例年の10分の1以下の約20社の名簿しか集まらなかった。このためホームページなどを通じ、OB訪問を受け入れてくれる卒業生を募集する「キャリアサポーター制度」を導入、約150人が登録した。今後もサポーターの拡充を続ける予定だ。
横浜市立大キャリア支援センターの菊地達昭教授は「OB訪問では社員の本音を聞けるため、入社後に『こんな会社とは知らなかった』と早期離職するケースも防げる」と話す。
立命館大は法施行後、学生に閲覧させていた約1万社分のOBリストの公開をやめた。代わりに、就職が決まった学生に対し、連絡先を後輩に自主的に「公開」してもらうよう要望している。立命館大キャリアオフィスの担当者は「企業側はもう少し柔軟に対応してもいいのではないか」と、困惑を隠さない。
これに対し、OB名簿の提供をやめた首都圏の私鉄の担当者は「数千人に上る社員一人ひとりの同意を得るのは大変。個人情報の管理が厳しく求められる中、どうしても尻込みしてしまう」と打ち明ける。
(上記記事より)

このように大学が企業側にOB情報の提供を求めても、企業側が「出せない」という状況が起きているようです。
この状況、大学も困っているでしょうが、おそらくそれ以上に企業の人事部が困っていると思います。彼らにとっても本当は、大学にOB情報を提供した方が、確実に人材を集める上でメリットがあるのです。
しかし記事中にもあるように、個人情報保護法では「本人の同意」があるかどうかが重要。社員全員の同意を得るのはなかなか大変ですから、企業側もどのようにすればいいか、悩んでいるのではないでしょうか。

さしあたって大学側にできることは、記事の横浜市立大学や立命館大学の事例のように、企業の対応に頼らず、大学側で情報を集める工夫をすることでしょうか。

大阪市が、大学誘致のための助成金を創設。
■「大学誘致へ助成──大阪市、投資に最大3億円」(NIKKEINET)
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/34994.html

大阪市は都市再生策の一環で、国内外の大学が同市内に新校舎やサテライト教室を新設する場合に、賃料か設備投資額の一部を助成する制度を設けた。大学誘致に特定した助成制度は全国でも珍しい。IT(情報技術)、ロボットなど先端産業振興やアジアとのビジネス交流に結びつける狙いで、特色ある社会人大学や海外の大学の誘致を目指す。
賃料を助成する場合は、500平方メートル以内の面積を対象に、3.3平方メートルあたり月額1万5000円を上限とする賃料2年分につき、2分の1を限度に助成する。助成額は最大2700万円となる。設備投資に助成する場合は、既存ビルの購入や区分所有権の取得などの設備投資額の5%、最大3億円を助成する。
(上記記事より)

かつては都市の中心部から、郊外に移転することが良しとされていた大学ですが、今では状況が変わりました。なるべく都市部に大学または大学院を誘致し、周囲の活性化に貢献してほしいと考える首長さんは結構おられるのではないかと思います。
そんなわけで大阪市は大学の誘致のために、最大3億円を助成するという助成金を創設したようです。大きな自治体であるとは言え、決して小さくない額ですね。

こういった助成を受けるのなら、ただ都市部のビルに居を構えるだけではなくて、その地域で働く方々や、その地域の住民の皆様に何かしらの影響を与えるような存在となることが期待されると思います。大阪市は単にお金を出すだけではなく、「この大学がこの場所に来るということは、市にとってどのような意味を持つのか?」ということを見極めた上で助成してほしいと思います。

海外からの修学旅行を我が街に。
■「訪日教育旅行誘致へ ツーリズムおおいた 事業委を設置」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/ooita/ooita/20060811/20060811_002.shtml

(大分)県内市町村の観光協会や観光業者でつくる「ツーリズムおおいた」(桑野和泉会長)は10日、中韓など海外からの修学旅行(訪日教育旅行)受け入れを本格化させるため、組織内に誘致推進機関「インバウンド事業委員会」を立ち上げた。
近く、小中高などの学校や宿泊施設の受け入れ態勢のあり方を考えるワーキンググループを設置し、具体的な議論を進めた上で来年度から正式に事業展開する予定。
別府市内であった会合には、観光施設や旅行代理店、行政などから約20人が参加。訪日教育旅行の受け入れが特定自治体に偏っている現状について、「ほかの自治体とも情報を共有し、紹介し合うことで受け入れ数を増やしていく」との認識で一致した。さらに「修学旅行の実施数や内容の実態把握に努めるべきだ」「九州の他県とも協力し誘致活動を」などの意見も出た。
(上記記事より)

「海外からの修学旅行を何とか大分に」ということで、大分で観光業に従事する皆様が動き始めているようです。新たな市場の開拓に乗り出したというわけですね。普通の観光客を呼ぶのとは、いろいろな点で違うと思いますが、ノウハウを蓄積しながら少しずつ取り組んでいただければと思います。
ところで、

訪日教育旅行の受け入れが特定自治体に偏っている現状について、「ほかの自治体とも情報を共有し、紹介し合うことで受け入れ数を増やしていく」との認識で一致した。

…っていうくだりは、なんだかとっても日本っぽいですね。

旅行業界の最大手企業も、教育分野に参入。
■「JTB、カリフォルニア大学と提携、交流文化産業として教育分野にも注力へ」(トラベルビジョン)
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=25432

ジェイティービーはカリフォルニア大学と業務提携し、教育分野での交流文化事業に着手する。これはカリフォルニア大学(UC)の学生、および社会人に対する教育プログラムを日本において展開するもの。この第1弾として、UCのデイビス校、アーバイン校、ロサンゼルス校、リバーサイド校が加盟するコンソーシアム・アカデミック・プログラム(CAP)について日本事務局の業務委託契約をJTB地球倶楽部が締結。UCが今後、日本の大学と単位互換制度などについて提携を結ぶ協定大学の学生に対する旅行手配、カウンセラー等のサポートを行う。
JTBとしては事業創造本部内に教育交流事業推進室を置き、UCとの提携をJTBグループとしてサポートする。具体的には、社会人教育においては企業向け、シニア向けの2本立てとなっていることに対応。企業向けではUCでの講座「スパ&ホスピタリティマネジメントプログラム」を旅館などに紹介、旅館経営者らをUCでの留学を促すほか、UCの講師を日本に招き講座を開設することも検討。また、シニア向けではUCアーバイン校で約800名が受講しており、JTBでも国内長期滞在向けに大学との連携講座を開設しており、この海外版として提供するほか、JTBカルチャーサロンのコンテンツとして幅を広げる位置づけもある。
(略)
UCとJTB地球倶楽部では2010年までに200人規模の4年生大学生の留学を想定、協定大学は20校ほどとしており、既に話し合いを進めている大学もあるようだ。
(上記記事より)

そして旅行業界の大手企業であるJTBは、カリフォルニア大学と業務提携し、あらたな事業領域を生みだそうとしているようです。こちらはすでに、具体的な事業の形になっていますね。JTBの従来の事業とうまく結びつくような事業モデルにしようという姿勢が伺えます。
しかも、さらなる協定大学拡大のための交渉も進めている模様。これは本気ですね。現時点ではまだ、そんなに大きな市場のサービスにはならないかも知れませんが、なかなか興味深い領域だと思います。

自治体が、高校生の受験をバックアップ。
■「難関大学目指し高校生が集中合宿」(東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20060809182424.asp

大学医学部や難関大学を目指す県内の高校二年生を対象に、三泊四日で行う県教委の集中学習合宿「夢実現チャレンジプラン実力養成セミナー」が九日から、青森市で始まった。
大学進学率向上を目指し、県教委が二〇〇五年度から始めた事業。参加者は募集人員の約百人を大幅に上回り、十七校から百六十二人が集まった。講師陣には、大手予備校講師や県立高校の教諭六人が招かれた。指導力向上を狙いに、三十五人の高校教諭も、授業を参観している。
(上記記事より)

大学進学率を向上させるために、市でこのような事業を行っているのですね。税金を使って受験生を鍛え、大学に進学してもらうことが、自治体にとってもメリットになるという判断をしたということでしょう。
市民の反応や、高校の現場からの評判、この事業に関する議会での議論の内容、そして気になる具体的な成果(数字)など、興味深い点が多いです。

農村インターンシップ。
■「都会の大学生小松・西尾に2週間 農村体験は きっと役立つ 地域づくりインターン」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/00/ikw/20060809/lcl_____ikw_____002.shtml

都会の大学生が農村体験をする国土交通省の地域づくりインターン事業が、小松市の山間地・西尾地区で繰り広げられている。
参加しているのは、早稲田大法学部三年の河原哲夫さん(22)=東京都杉並区出身=と立命館大理工学部三年の大目淳一さん(20)=広島県福山市出身。二人は「将来の目標を定めるきっかけになれば」とインターン事業に応募した。
河原さんと大目さんは一日から十四日までの二週間、小松市観音下町公民館で宿泊し、地域おこしに取り組む「西尾グリーン・ツーリズム研究会」の支援を受けて農作業などに取り組んでいる。
(略)
河原さんは「田舎の人の温かさに触れ、毎日充実している。インターンシップについて大学で学んでおり、貴重な体験ができている」と笑顔を見せる。
大目さんは「地域環境を専攻している。今回の経験は社会人になったときに生かされると思っている」と目を輝かせていた。
(上記記事より)

国土交通省が行っている農村インターンシップを紹介する記事です。こういった報道を見て、「自分も行ってみたい」と思う学生さん、結構いるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

■「地域づくりインターンのページ」(国土交通省 都市・地域整備局 地方整備課)
http://www.ujiturn.net/intern/

上記から体験レポートなども閲覧できます。全国津々浦々、様々な地域に行ったインターン学生さん達のレポートが読めて、結構おもしろいです。
国土交通省としては、若者に農村の良さや意義を知ってもらおうという意図でしょう。一方、地域の本音としては、Iターン就職などの期待もあるかもしれませんね。そのあたりは、一般企業へのインターンと同じなんじゃないかなと想像します。

以上、今週のニュースクリップでした。

この週末、東京は、いかにも夏休み!という感じの天気でした。
きっと夏休みの宿題のために、全国の保護者のみなさんが子供の虫取りにつきあったり、夏休みの工作を手伝ったりしていたんじゃないかな、と思います。
宿題が早めに終わった子も、そうでない子も、夏の終わりを楽しんでくださいね。同じ夏はもう二度と来ません。

今週も一週間、本ブログを読んでくださって、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。