アメリカの大学 学費値上がり中

マイスターです。

「アメリカの大学の学費は高い」
この事実については、なんどか本ブログでもご紹介してきましたが、現在、さらに値上がりしている模様です。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「米大学の学費が上昇 学生の4分の3が資金援助受ける」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200710230019.html
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米国の4年制私立大学における2007─08年度の学費が前年から6.3%上昇し、平均で2万3712ドル(約272万円)に達したことが、米大学関連団体のまとめで判明した。

米国の大学や短期大学、各種学校などが加盟する非営利団体カレッジ・ボードが22日に、各大学の授業料や寮費などをまとめた報告書を発表した。

4年制私立大学では、学費2万3712ドルのほか、その他の必要経費を含めると、前年から5.9%高い3万2307ドル(約370万円)が必要となる。

4年制公立大学の場合、学費は前年比6.6%高の平均6185ドル(約71万円)で、寮費など必要な総額費用は前年から5.9%高い1万3589ドル(約155万5000円)。2年制公立大学の学費は前年比4.2%高の2361ドル(約27万円)だった。

(上記記事より)

記事の元になっているのは、↓こちらです。さらに詳しい情報が掲載されておりますので、よろしければご覧ください。

■「Federal Student Aid to Undergraduates Shows Slow Growth, While Published Tuition Prices Continue to Increase(英語)」(College Board)
http://www.collegeboard.com/press/releases/189547.html

値上がり幅よりも、まず「約272万円」という学費にびっくりします。
ただ、これは4年制私立大学のケースですね。公立大学はもっと安いです。

カレッジ・ボードによると、2005年の大学生のうち、4年制公立に通学する割合は47%だった。4年制私立には23%が通い、2年制公立には22%が在学している。
(「米大学の学費が上昇 学生の4分の3が資金援助受ける」(CNN)より)

……と記事にあるように、アメリカは日本と逆で、大学生の多くは公立大学に通っています。(そして、国を代表するエリート大学の多くは私立大学です。これも、日本と逆ですね)

しかし、公立大学が安いと言うのも、ちょっと説明が必要です。
公立、というのは主に州立大学のことを指すのだろうと思いますが、州立大学の場合、「Residents」か、「Nonresidents」かで学費の額が変わってきます。

世界的に有名な研究大学である、州立の「UC Berkeley」の場合、Residentsの学費はおよそ4,200ドルですが、Nonresidentsだとこれが14,000ドルにまで跳ね上がります。
なんと3倍以上の差。日本の私立大学より高いです。

(参考:[2007-2008 Registration Fees](UC Berkeley)
http://registrar.berkeley.edu/Registration/feesched.html#undergrad

州立大学は、その州の州民のためにあるわけですから、ある意味正しいと言えば正しいあり方なのですが、それにしても高いですよね。

さて、こんなに高かったら、学生およびその家族がデモの一つも起こしそうですが、そうなっていないのは、ひとえに奨学金のおかげです。

4年制大学の学生のうち、約4分の3が奨学金や税制優遇策などを受けていることがわかった。学生の40%が政府による学生ローン、21%が大学の奨学金を受けている。

4年制大学に在学する学生が受けている奨学金などの平均援助資金額は、私立大生が9300ドル(約106万円)、公立大生が3600ドル(約41万円)。これらの援助資金により、実質の学費が私立大で約1万4400ドル(約165万円)、公立大で約2600ドル(約30万円)に抑えられている。

(「米大学の学費が上昇 学生の4分の3が資金援助受ける」(CNN)より)

異様に高いと感じた私大の学費も、日本と同じくらいになりました。エリート大学で165万円だとしたら、卒業後の給与ですぐに取り返せそうではないですか。
公立の30万円も、ずいぶんと安くなりました。家計にあまり余裕がなくても、これに学費の借り入れなどを組み合わせれば、なんとかなりそうな範囲です。

このように大学の学費一つとっても、アメリカは日本とは、社会システムの発想が大きく異なります。
「日本でも、アメリカ並みの奨学金制度を用意しよう!」という意見を良く聞きますが(マイスターも何度か書いたように思いますが)、そもそもの基盤が違っているのだとしたら、単純な比較はあまり意味が無いのかも知れません。

……と、記事を読みながらそんなことを考えた、マイスターでした。

2 件のコメント

  • 初めまして。
    アメリカの大学に勤めている方に聞いたところ、
    2010年現在、州立大学の場合、
    2セメスター(1年間)の学費はresident(州立市民)で大体$14,000(教材などを含めない)だそうです。
    ものすごく高いです。留学生のご両親は堪らないですね・・。