マイスターです。
大学は今、寄付金獲得に力を入れています。
このブログでも、何度かご紹介させていただきました。
大学の財務強化 後に大きな差を生む?
今日は、興味深い事例を見つけましたので、ご紹介させていただきます。
【今日の大学関連ニュース】
■「近畿各地の大学、個人寄付集めに知恵 「特典」にも工夫(1/2)」(Asahi.com)
■「近畿各地の大学、個人寄付集めに知恵 「特典」にも工夫(2/2)」(Asahi.com)
各地の大学が個人からの寄付獲得に知恵を絞っている。国からの補助金が減り、少子化による大学間競争の激化で学費の値上げも難しく、厳しい資金繰りを補おうとの発想からだ。様々な特典を用意して、遺産や退職金を持つ卒業生にも秋波を送る。
(略)企業の寄付は使用目的が限定されている例が多い。比較的自由に使える個人寄付を集めようと、各大学は特典にも工夫を凝らす。
(上記記事より)
企業などの「大口顧客」だけでなく、卒業生を中心に個人からも広く寄付を集めるため、大学があれこれ努力していることを紹介する記事。
個人向けということで、寄付額に対する「特典」にも工夫を凝らしている点がクローズアップされています。
で、紹介されている中に、↓こんな事例が。
龍谷大は500万円以上の寄付をしてくれた人に、浄土真宗の大谷本廟(ほんびょう)(京都市東山区)への納骨の権利を与えている。死後に入れるのは、10階建ての納骨堂「第一無量寿堂」の最上階に大学が所有する「浄華(じょうげ)壇」。隣には歴代の西本願寺総長らの骨を納めた「執行壇」もあり、最も格の高い納骨壇の一つという。
100万円以上の寄付者には桐(きり)箱に入った聖徳太子像の絹製掛け軸、50万円以上は学歌が鳴るオルゴール、30万円以上なら特製名刺入れがもらえる。昨年の寄付総額約5億円のうち約4分の3を個人や同窓会から集めた。
(上記記事より)
大学に大口寄付すると、納骨する権利がもらえる。
ちなみに納骨先は龍谷大学のキャンパス内ではなく、京都にある浄土真宗の大谷本廟。
浄土真宗の宗祖、親鸞の墓所でもあります。
その中でも、大学が所有している「最も格の高い納骨壇の一つ」に入る権利を、大学に500万円以上寄付してくれた方にはプレゼントしますとのことです。
大学のサイトを見てみると確かに、個人で500万円以上の寄付をした方への顕彰として、以下のような記述があります。
1. 寄付者銘板への記載
2. 感謝状の交付
3. 特別記念品の贈呈
4. 名誉称号(学賓)授与
5. 永代法要
(「免税措置/ご寄付をしていただいた方には…」(龍谷大学)より)
最後の「永代法要」は、500万円以上の寄付者にしか与えられません。
これが、先の「納骨」に該当するのでしょう。
何というか、仏教系の大学ならではの取り組みです。
一般の大学では、真似しようと思っても、できません。
例えば、遺産を母校に寄付し、大学所有の納骨壇に納骨したりしたら、ある意味、究極の母校愛(?)と言えるのかもしれません。
ちなみに、浄土真宗の門徒の方でなければならないのかとか、その辺りの記述は大学のサイトにはありません。ただ、宗祖の墓所であり、かつ「最も格の高い納骨壇の一つ」となるとさすがに、宗教的に何の共感も抱いていない人にとっては少々気が引けるというか、門徒の方に失礼なのではないかという気もしそうです。
龍谷大学は「浄土真宗の精神にもとづく大学」だとされていますから、その大学に500万円もの支援をする時点で、少なくとも共感くらいはしているんじゃないかという気もしますが、その辺りは、寄付される方次第かも知れません。
ところで話はかわりますが、マイスターは最近、大学職員の方から、これと似た話を聞いたばかりです。
宗教系の大学では、卒業生がキャンパスで結婚式を挙げることを認めるケースが少なくありません。
卒業生へのサービスという面もありますし、母校やその宗教への一体感を強化するという面もあるでしょう。そうやって結婚式を挙げた卒業生達は、より母校を好きになるはずです。
それをさらに推し進め、卒業生に限って「墓地」を提供する大学が出てきてもいいのではないか、というのです。
もともと大学というのはコミュニティですし、大学の理念に共感している人達が、大学を構成しているはず。特定宗教の教えや精神に基づく大学であれば、なおさらです。
卒業生の中には、大学が提供する墓地に入ることを希望する人も、確かにいるかも知れません。
「墓地公園」というものもあるくらいですから、やり方によっては、美しい癒しの場にすることもできるでしょう。何十年、何百年も前の先輩達に向かって手を合わせるというのも、悪くなさそうです。
有償か無償か、キャンパスの中か外かといった部分は、実際に実現させようとしたら色々あるでしょうが、希望する卒業生に墓地を提供する大学というアイディア自体はけっこういいかも、と思ったのでした。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。