マイスターです。
こんな検定があったんですね。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「『経済学検定』大学が活用」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20071012ur01.htm
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NPO法人「日本経済学教育協会」(本部・東京)が2002年から実施している「経済学検定試験」を活用する大学が増えている。
ゼミで受験を義務づけたり、受験料を負担したりする大学も。学生に目標を与え、経済学を学ぶ意欲を高めようという狙いがある。
「『ここは試験に出るよ』と言えば、目の色を変えて勉強します」
経済学検定試験の効用を、武蔵大(東京)の松川勇・経済学部教授はそう説明する。03年からゼミの学生に受験を義務づけたところ、出席率が向上し、学生たちが集中して授業に臨むようになった。2〜3年の2年間で1回受験すればいいが、何回も挑戦する学生もいるという。
検定試験は、「ミクロ経済学」「マクロ経済学」「金融論」「財政学」など、7分野の基礎的な知識を問うもので、3時間で計100問を解答する。1000点満点で、成績は7段階評価。試験は毎年7月と12月の2回あり、昨年は計1971人が受験した。
日本経済学教育協会を発足させたのは、学力低下に危機感を抱いていた大学の経済学教授たちだ。同協会会長を務める西村和雄・京都大経済研究所長は、「日本の大学は卒業を認める明確な基準がなく、経済学の知識が身についていなくても経済学部を卒業できてしまう。学生にとってやりがいとなるような試験が必要だと考えた」と語る。
同協会事務局によると、武蔵大のようにゼミで試験を活用するケースだけでなく、検定試験で一定以上の成績を収めた学生に単位を認定する大学も増え、現在、少なくとも7大学あるという。成蹊大では昨年から、この制度を導入し、これまで12人に単位を与えた。同大は「大学の授業だけでなく、自主的に学ぶことも大事」と強調する。
検定試験の受験料(5250円)を負担する大学もある。明治大政経学部は「より多くの学生に試験を励みに勉強してもらいたい」と、05年12月の試験から受験料を出している。
(上記記事より)
恥ずかしながらマイスター、この検定の存在を今まで知りませんでした。
この「経済学検定試験」を運営しているのは、特定非営利活動法人 日本経済学教育協会です。
■日本経済学教育協会
http://www.ere.or.jp/
長期的な冬の時代を脱却するためには、各分野でのプロのエコノミストたちの活躍が必要不可欠です。
そのような状況下、大学において経済学を学ぶ意義はますます重要なものとなっています。各方面からも「学習の理解度を客観的に評価すべき」という要望が数多く聞こえてきていました。
そこで、全国各大学の経済学部の諸先生方の協力を得て、特定非営利活動法人 日本経済学教育協会を設立し、2002年3月に「第1回ERE(経済学検定試験)」を実施しました。
EREは、主として経済学部および社会科学系学部の学生を対象に、全国規模で経済学の数理的・理論的な基礎知識の習得程度と実体経済での応用能力のレベルを判定する試験です。
経済学の知識習得の具体的な判定目標として、また、ビジネス社会において必要とされる経済学の基礎知識とその応用力を養成する検定試験として、就職を目指す大学生をはじめ、ビジネスパーソンや企業担当者からも注目を集めています。(「協会案内」(日本経済学教育協会)より。強調部分はマイスターによる)
元々、大学での学習理解度を測ること、および学生のモチベーションを上げることを目的として作り出された検定のようですね。
「検定がないと勉強しないのはいかがなものか」という批判もありそうですが、個人的には、こういった取り組みは悪くないと思います。
検定がなくても自主的に学ぶ人は、それでいいと思います。それでなくても経済学というのは、社会でライブに起きている現象に直結する学問ですから、日々自分で学び取っていく姿勢が欠かせないものだと思いますし。
でも、今の日本の大学の経済学部の現状は、必ずしもそういう学生ばかりではないでしょう。
メディアなどで産業界の方が発信している意見を読むと、「経済学部を卒業した学生は、果たして本当に経済に強いのか?」といった見方が、世間の側にはずっと前からあるように思います。
(もっともこれは経済学部だけではなく、他の学部にも言えることですが)
もし、何もしないで学生を漫然と卒業させ続けるのと、こうした検定等を活用して経済学の知識を身につけさせて社会に送り出すのとの二択があるのだとしたら、後者の方がまだいいのではないかな、なんてマイスターは考えます。
学習のとっかかりとして検定を利用し、大学では、そこからさらに深いところに誘うような教育を展開していくといいんじゃないでしょうか。
それに、学習理解度を客観的に評価してくれる仕組みがあると、自学自習を進める上でも助けになるように思います。
資格試験があると、学内の試験でいい点を取るだけではなく、「世の中全体における、経済学教育が求める最低水準」というものを学生は意識するでしょうし。その上で、全国の学生やビジネスパーソンと比較し、自分の専門知識がどれほどのものなのかを把握することができるのも、いい仕組みなのではないかと、個人的には思います。
なお、日本経済学教育協会のwebサイトには、色々と興味深い情報が掲載されています。
■「受験参加校・企業名一覧」(日本経済学教育協会)
http://www.ere.or.jp/entry/index.html
↑全国の大学および大学院、専門学校、官公庁、金融機関、一般企業から、受験の応募があるようです。
ちなみに冒頭でご紹介した記事では、試験の結果を大学院の入学判定の際に評価するという例も紹介されていました。
■「大学対抗戦」(日本経済学教育協会)
http://www.ere.or.jp/taikousen/taiko_result.html
↑協会webサイトの中でも、ちょっと目を引くのがこれ。
大学のゼミやサークル、有志チームが、大学対抗という形で競い合っています。燃える戦いになりそうです。
優秀な成績を取った個人についても、大学・学部名が出ていますので、大学関係者にとってもちょっと気になるところです。
他、サンプル問題なども掲載されています。ご興味のある方はwebサイトをご覧になってみてください。
以上、マイスターでした。