マイスターです。
おや、と思うニュースを見かけましたので、ご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「農業高校生を対象に実践教育=農水省」(時事通信出版局)
http://book.jiji.com/kyouin/cgi-bin/edu.cgi?20071010-6
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農水省は2008年度から、文部科学省との連携で農業高校生を対象にした地域農業での実践教育に着手する方針だ。農業者育成教育プログラムを開発し、新規就農や農業大学校などへの進学を促し、将来の担い手となる人材の育成・確保につなげるのが狙い。
農水省によると、全国に353校ある農業高校の生徒数は約9万4000人を数えるが、新卒者の就農率は2.5%、農業大学校への進学率も3%にとどまっているのが現状。一方、現在の基幹的農業従事者は高齢化の進行で65歳以上が57%と6割近くを占め、今後急速な減少が懸念される状況にある。
同省は農業高校生を就農に結び付けていくために、現場での実習や研修などにより動機付けや農業技術の向上を図っていく必要があると判断。都道府県レベルで教育委員会と農政部局が連絡・調整し、農業サイドでは地域の先進農家や生産法人、研究機関などで受け入れる。高校には地域の農業者、技術者が講義や指導に出向き、職業体験型の実践的な教育を行っていく。(上記記事より。強調部分はマイスターによる)
というわけで、農林水産省と文科省が連携してすすめる事業です。
赤字で強調した部分に、最初、ちょっとおどろきました。
農業関係の進路を目指さないのなら、どうして農業高校に進学したのかなぁ……なんて思いました。
でも、よくよく考えてみるとコレ、「農業大学校」への進学率が3%なのであって、この中には、四年制大学の農学部は含まれていないんですよね。
農業大学校に行っていないからと言って、農業に興味がないわけではないのです。
実際、いくつかの農業高校のwebサイトで、進路情報を確認してみましたが、卒業生達は普通に、農業系やバイオ系の四年制大学および短大を始め、農業系の専門学校、園芸の専門学校などに進んでいました。
ですから、別に農業高校の卒業生達が「農離れ」をしているのではなくて、単に生徒達は
「ちゃんと四年制大学で専門的に勉強してみたい」
とか、
「農業大学校よりも、四年制大学や短大、専門学校の方がいい」
とか考えているってだけなんじゃないのかなぁ、なんて気がしないでもありません。
農業高校のミッションが、「農業の現場ですぐに役立つ人材を育成し、現場にどんどん送り込んでいく」ことなんだとしたら、こうした現状は憂うべきかも知れません。
でも、四年制大学に進学してから収納したり、バイオビジネスに関わったりしているのであれば、別にそれでもいいんじゃないかな、なんてマイスターは安易に考えたりするのですが、それじゃダメなんでしょうかね……。
農業を営む家庭の、保護者の方の考え方も、昔とはかなり変わってきているのではないかと想像します。
もはや、「四年生大学=勉強ができる子だけが進学するところ」ではありません。
高等教育は随分前から(良い意味で)大衆化が進み、限られた層にエリート教育を施す場所ではなくなっています。
農業を取り巻く環境も変わりました。
バイオ技術は日々進歩しており、その変化のスピードは日に日に早くなっているように思えます。
その一方で、「一生農業を続けられるとは言い切れない」という時代でもあります。
そんな中、「後々のことを考えると四年制大学に進学させた方が安心」と考える保護者は、以前に比べ増えているのではないかな、なんてマイスターは想像します。
そう考えると、「新規就農」や「農業大学校などへの進学」もいいのですが、そこだけにこだわらなくてもいいんじゃないかと個人的には思えます。
農業系の四年生大学とか、短大とか、専門学校に行ったっていいではないですか。最終的に、農業の発展に関わってくれるのであれば。
個人的には、農林水産省には、普通科の高校や中学と連携して、フツーの中高生達を四年制大学の農業系学部に進学させるためのPRもぜひやっていただきたいと思います。
また、中学や高校の間に必ず全員が農業の現場に一度は入る、「農役」というものも、個人的には面白いように思います。
韓国などのように徴兵制がある国では、(特に男性は)必ず若いうちに一度は兵役について訓練などをこなし、集団生活を通じて社会性を身につけると聞きます。
日本では、その代わりに、農役をやるのです。これは、農林水産省と文科省が連携しないとできません。
農家にとっても、子供にとっても、社会にとってもメリットがあると思うのですが、いかがでしょうか。
「農業に関わったことがない子は、日本にはいない」という状態になったら、それは結構、すごいことだと思いますよ。
以上、マイスターでした。