センター試験の出願がスタート

マイスターです。

現在、AO入試が、本番真っ最中。既に結果が発表されている大学もあります。

ちなみにAO入試は、受験生が大学を知るための入試でもあるわけです。
AOはそもそも、入試というよりもマッチングの場。お互いに「この相手がベストなのかな?」と知り合っていくプロセスです。この時期、大学も実は審査されているのですね。
受験生も大学も、色々と忙しい時期です。

さて、そんな中、一般入試の方も粛々と近づいています。

【今日の大学関連ニュース】
■「大学入試センター試験の願書受け付け始まる」(読売オンライン)

年1月17、18日に行われる大学入試センター試験の願書の受け付けが1日、東京都目黒区の大学入試センターで始まった。出願期間は今月14日(消印有効)まで。
20回目となる今回のセンター試験は、国立82校、公立73校、私立484校の計639の大学が利用。短大も164校が利用し、ともに過去最多となる。ただ、志願者数は、18歳人口の減少により、約60万人が受験した2003年以降は減少傾向にあり、前回の約54万3000人を下回る見通し。
(上記記事より)

センター試験の出願受付がスタートしました。14日(消印有効)です。
(高校生の皆さんは、高校の方で一括出願になることが多いと思いますので、担任の先生に確認しておくように)

毎年、利用する大学の数は増え続けるのに、志願者の数は減り続けている……という辺りが、少子化をリアルに感じさせます。
2003年が約60万人で、2008年が54万3,000人。このたった5年の間に、5万人ほど志願者が減っているのですね。日本全体で、定員100名の学科500個分の受験生が減ったと考えると、大学関係者にとっては、より現実感が増すかと思います。
(ちなみに、平成の始め頃に200万人ほどだった18歳人口は、現在120万人ちょいです)

このセンター試験、今では国公立大学に限らず、私大の多くでも採用されています。
センター試験の点数だけで合否を決める「センター利用入試」は、遠方の大学でも受験しやすいということで、受験者が増えているようです。

ちなみに、少数の生徒に膨大な数の学部を受験させ、高校の合格実績の水増しを測っていた高校が問題になりましたが、そのときに活用されていたのも、このセンター利用入試でした。
(その後、社会の目が厳しくなり、各高校は合格件数だけでなく、実際に合格した人数や、進学した人数を合わせて公表するようになってきたのですが、突然人数が減った高校がぽつぽつあるような気がするのはマイスターだけでしょうか)

ちなみにセンター試験はいつも、平均得点率がだいたい60%程度になるように作成されています。実際にはなかなかそうキレイに6割とはいきませんが、それでも前提としては「平均が60%程度になる試験」を目指して作られています。

そしてセンター試験には原則として、基礎的・基本的な知識で解ける問題しかありません。しかし、ただ簡単なだけでは、皆が全問正解してしまいます。学力を判定する試験である以上は、受験者の得点の分布がある程度はひろがらなければなりませんよね。そこで、基礎的なレベルだけど問題数はそれなりにあったり、正確にこなしていかないと引っかかる内容になっていたり、色々と工夫されているわけです。
逆に「全問解けなくても、基礎的な知識をちゃんと持っていればそれなりの得点は取れる試験」という言い方をされることも多いようです。

ですから、私立を含めた多くの大学の入試で、センター試験の得点が利用されるわけです。センター試験である程度の点が取れていれば、基本的な学力は一応身に付いていると判断できるわけで、大学にとってはとても便利なのです。

しかしそんな状況が、最近では少し変わってきているようなのです。
以下は、昨年5月の記事ですが、興味深い内容が含まれているのでご紹介します。

■「<4> センター試験新たな役割」(読売オンライン)

ほとんどの私立大がセンター試験で合否を判定する定員枠を設ける。センター試験を受ければ複数の大学を併願できるので、大学側にとっては出願してもらいやすい。
(略)しかし、参加校の増加に伴い、「今の問題では難しすぎる受験生も多くなってきた」という声が一部の私立大にある。受験生の自己採点の集計をもとにした1月末時点での代々木ゼミナールの予想では、今春入試で「センター枠」があった私立大のうち、62大学計171の募集枠で合格ボーダーラインが得点率40%以下だった。
大阪府内の私立大の入試担当者は「学力が下位層の受験者の間では得点に差がつかない。もっと易しい試験が必要では」と言う。
(上記記事より)

基礎的な問題しか出ないセンター試験。そのセンター試験の内容を30数パーセントしか理解していなくても、入れる大学が山ほどあるのです。

「大学全入時代」
「選り好みさえしなければ、今や全員がどこかの大学に入れる」

……ということは、情報としては広く知られていますが、センター試験の点数で表現されると、また違ったインパクトがあります。

マイスターが思うに、20点代の点数でも入学させている大学なんてのも、世の中には多分存在すると思います。4択の問題なら、適当にマークしていっても確率的には25%正解するはずですから、こうなるともう学力診断としては使えません。
(センター試験に変わる学力試験の構想は、色々なところから出てきてはおりますが、今のところまだ決定打はありません)

こういうことが起きているのが現実であり、こういった学生をどう教育するかを、これから大学は考えていかなければならないわけです。

進学率が50%を超えると、大学は「ユニバーサルアクセス型」に移行し、大学の役割は変わる。
それまでとは違った考え方やシステムが必要になる……と唱えたのは、マーティン・トロウ氏ですが、日本の高等教育は今や、このユニバーサルアクセス型に移行する時期を迎えているわけです。
センター試験のあり方も、変えていく必要が出てくるかもしれません。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。