大学間協定の相手国 アメリカを抜いて中国が一位に

マイスターです。

「大学生のときにやっておけば良かった」と思うのは、ズバリ、留学です。
大学間協定で、交換留学をしているところもあったはずです。学生のときには、まったくそういうものを使おうという発想がなかったのですが、今思えば、もったいないことをしました。

今日は、そんな大学間協定についての話題です。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「中国との大学間協定急増、米国抜き1位に」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/gakko/070929/gkk070929000.htm
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日本の大学などの教育機関が、学生や研究者の交流などを目的に海外の教育機関との間で結んだ協定の件数が、平成18年度は過去最高の計1万3484件だったことが文部科学省のまとめで分かった。国・地域別では中国が急増しており、データが残っている4年度以来、初めて米国を抜いて1位となった。

文科省は「経済台頭に伴う中国の大学整備の進展が背景にあるのでは」と分析。慶応大も「政治や経済などあらゆる分野で中国との関係が大事になっている中、若い世代で培ったきずなは日中双方にとって将来の大きな財産になると考えている」と協定の重要性を強調、今後も中国との協定が増えると予想している。

(上記記事より)

大学間協定の相手国として最も多いのが、中国なのだそうです。
ずっとトップだったアメリカを抜いて、堂々の一位です。

中国メディアでも、さっそく紹介されていました。

■「中国の大学、日本の大学の最初の交流ターゲットに」(新華通信ネットジャパン)
http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100013876&cate_id=310

「最初の交流ターゲット」というのは、何か訳が適切でない気もしますが、とりあえず注目されているようです。

もともと距離も近く、歴史的にも関わりがあり、現在は経済成長が著しい中国。
日本企業が進出したり、中国系企業が世界展開したりという機会も増えています。
大学間の交流が増えるのも、自然ではありますよね。

さて、↓その詳細をまとめたページが、文科省サイトにありました。

■「1 大学等間交流協定締結状況調査」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/09/07090416/002.htm

上記リンク先では「協定の締結時期」や「協定締結に至った経緯」などのデータが、表やグラフでわかりやすく提供されています。

例えば、【〔表3〕締結相手国(地域)の上位5カ国の件数と占める割合(設置形態別)】なんてデータを見てみますと、国公立大学では確かに中国が一位ですが、私立大学ではまだアメリカが首位の座を守っていることがわかります。

二位以下の顔ぶれも面白いです。

国立大学の協定締結国は

1:中国
2:アメリカ
3:韓国
4:タイ
5:ドイツ

の順番ですが、それに対し私立大学では

1:アメリカ
2:中国
3:韓国
4:イギリス
5:オーストラリア

というラインナップになります。

この違いはどこから来るのでしょう。

例えば、同じページに掲載されている、【〔表8〕協定締結に至った経緯(設置形態別)】を見てみると、興味深いことがわかります。

2005年1月1日~12月31日の間に締結された協定の数がもとになっているのですが、国立大学の場合、協定締結の経緯は以下のようになります。

日本側機関から要請:9.6%
外国側機関からの要請:19.5%
日本側機関の戦略実現目的:19.5%
既存の共同研究等の交流から発展:30.9%
研究者の個人的関係から発展:49.1%

コンソーシアムへの加入:0.9%

これに対し、私立大学の場合は、

日本側機関から要請:35.0%
外国側機関からの要請:31.1%
日本側機関の戦略実現目的:31.7%

既存の共同研究等の交流から発展:14.8%
研究者の個人的関係から発展:11.1%
コンソーシアムへの加入:0.7%

このように、国立大学では既存の研究活動から発展する形で協定を結ぶケースが多いのに対して、私立大学では大学からの要請や、戦略的な方針に基づくものが多いようです。まったく逆なんですね。

そして、【〔表6〕交流内容別派遣・受入人数(設置形態別)】を見てみますと、「学生交流」の人数では派遣、受入ともに私立大学が圧倒的に多いのに対し、「教員・研究者交流」では国立大学の方の人数が大きく上回っています。

何となく、このあたりの違いが、締結相手国のラインナップ構成に影響を及ぼしているのではないかな、なんて想像します。
なかなか興味深い資料が多いです。

なお、日本の大学が海外に設置している拠点についても、調査結果が公開されていますので、ご興味のある方はどうぞ。

■「2 海外拠点の設置に関する状況調査」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/09/07090416/003.htm

以上、マイスターでした。