マイスターです。
大晦日ですね。皆様にとって本年はどのようなお年でしたでしょうか。
今日は日曜日ですので、一週間分のニュースクリップをお届けしたいと思います。
(※先日書かせていただいたとおり、31日の時点でマイスターはネットが使えない場所におりますので、実際には水曜日くらいまでのニュースになっております)
芸大ならではの大型受託研究。
■「東京芸術大:芸大冥利に尽きます 日枝神社天井画、4000万円で受注 /東京」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/archive/news/2006/12/19/20061219ddlk13040523000c.html
東京芸術大(台東区)が、国会議事堂近くにある日枝神社(千代田区)から拝殿の天井画を「受注」、講師や助手が描いている。総額4000万円の大型契約。独立法人化した国立の芸術大ならではの受託で、収入の中から研究費用も生み出せる。宮田亮平学長は「経済効果と教育効果を合わせる形で、地域貢献もできる」と話している。
天井画の話が浮上したのは2年前。日枝神社から「天井画を描いてもらえる画家を紹介してほしい」と宮田学長に問い合わせがあった。当時、国立大学は独立法人化した直後。「芸大として請け負えます」と返事をし、受託研究を決めた。
(上記記事より)
東京芸大らしさがあふれる受託研究です。
というより、これは芸大にしかできないかもしれません。
宮田学長は記事の中で
「地域にも喜んでもらえた上、経費を除けば教育研究の費用にまわせる。さらにレベルの高い教員の技術を学生にも見せることができ、芸大としての地域貢献の神髄ではないか」
(上記記事より)
とおっしゃっていますが、確かに教育上も意義深い取り組みだと思います。
日本中に「芸大くらいしか請け負えない」仕事って、結構あるような気がします。
こういった大型受託は、芸大の個性や存在感を世間にアピールするための格好の機会になるのでしょう。
大学が自ら入試問題を解説。
■「大学自ら『傾向と対策』、模試催し解説 ネット配信も」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/1225/010.html
自校の入試について受験生に無料で解説する大学が増えている……というわけで、いくつかの大学の取り組みを紹介する記事です。
↓例えばこちら。
11月中旬の日曜日。東京・神保町の専修大のキャンパスで、大学主催の「プレ入試」が行われた。過去の入試問題をもとに大手予備校に作ってもらった英語と国語、日本史・世界史の予想問題に、高校生ら約800人が挑戦した。
大学の職員が試験監督を務め、「受験生」も多くが制服姿。本番さながらの緊迫感がただよった。試験が終わると予備校の講師が登場、問題の解説に移った。
専大入学センターの伊藤隆敏部長は「『専大の入試は難問・奇問が多くて難しい』という誤った評判が広まっていた。第三者が作る予想問題にトライしてもらえば誤解を解けると考えた」と話す。プレ入試は今年で3回目だが、過去2年はその7割が本番も受験したという。
(上記記事より)
こういった取り組みを大学が行うのは、もちろん第一に受験生の数を確保するためでありましょう。
ただ、やり方によっては、それ以外の意味も持たせられるのではないかと思います。
大学が自ら入試の「傾向と対策」を教えるということに違和感を覚える方もおられるかもしれません。大学入試というのは、大学が「いかに受験生の裏をかき、点数を取らせないか」ということに血道を上げる場である……と思われているからでしょう。確かに学力試験の成績で学生を選抜する以上、大学入試はそういう性格を持っています。
しかしマイスターは、入試問題というのは本来、「私達は、こういった学生を求めています」という、大学からのメッセージとしての役割も持っていると思います。
入試問題にはそれぞれ個性があります。暗記すれば解けてしまうような問題ばかりなのか、それとも論理を自分で組み立てないと解けない問題なのか。そういった出題方針から、大学の想いが受験生に伝わるということもあるはずです。
ただ残念なことに入試のそういった役割は、現在に至るまであまり機能してこなかったかもしれません。受験生をふるい落とすことに重点が置かれるあまり、実質的に形骸化していたかもしれません。
今後、少子化をきっかけにしてこのように入試の解説を丁寧に行う動きが生まれ、結果的に入試問題の役割が見直されるようになったりするのだろうか、なんていうことを、このニュースを読んで思った次第です。
他大学への受験指導。
■「関西科学大:設置申請取り下げで、奈良学園が受験指導--大阪で開催 /奈良」(MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/wadai/archive/news/2006/12/20061217ddlk29040320000c.html
関西科学大(奈良市)の設置申請取り下げ問題で、母体の学校法人「奈良学園」(大和高田市)は16日、指定校推薦にエントリー(応募)していた生徒を対象に、小論文や面接など大学受験に向けた指導を行う「受験対策セミナー」を大阪市天王寺区の関西看護医療予備校で開催した。
この日開かれたのは関西科学大の看護学部を志望していた生徒向けで、県内のほか大阪府、三重県からも生徒が参加した。(略)セミナーでは生徒から「自分の志望校が新設大学で過去問題がないが、どうやって勉強すればいいか」などの質問が出たという。
(上記記事より)
大学による受験指導という点は先述したニュースと似ていますが、こちらは意味合いがかなり異なります。
奈良学園も可能な限りのケアに努めておられるようですが、しかしそれでも、全員が希望の進路につけるかどうかは最後までわかりません。
個人的には、全員が4月から望んだ学びを行えることを祈っております。
ただ現時点で、受け入れを表明してくれた他大学に進学することを決めている高校生もいると思いますが、その中には「本当は、勉強したかったこととちょっと違うんだけどな」と感じながら進学される方もいるのではないか、とも思うのです。
そういった方々が新たな進学先で学生生活を謳歌できることを願ってやみません。
センター試験と選挙がバッティング。
■「山梨県知事選最終日にセンター試験、大学側ピリピリ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061226i507.htm?from=main5
選挙運動最終日の1月20日は大学入試センター試験があり、夕方には前回、全国でトラブルが相次いだ英語のリスニング(聞き取り)が行われるためだ。同知事選は自民が分裂し、激戦必至の情勢。県選管は立候補予定の陣営に、会場付近での運動について配慮を呼びかけた。
(上記記事より)
重なってしまったんですね……。これはもう、出馬している各陣営に対応していただくしかありません。実際、各陣営とも配慮してくださると記事にはありますので、大丈夫だろうとは思います。
ところで選挙期間中、各陣営は選挙カーをどういうルートで走らせるといった戦略を立てているかと思うのですが、今年はセンター試験が、そのルート選択に影響を与えるというわけですね。センター試験って、国全体のご協力をいただいて実施されているイベントなんだなぁとつくづく思います。
大学と共同研究する高校生達。
■「全国の高校と共同研究 小津高と工科大」(高知新聞)
http://www.kochinews.co.jp/0612/061226headline04.htm#shimen4
文部科学省が理数系教育強化のため「SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)校」に指定している小津高校(高知市城北町)が25日、長野県から鹿児島県まで13のSSH校と共同研究体を結成した。高知工科大学(香美市土佐山田町)も研究体に参加し、来年2月ごろまで雷雲上の発光現象「スプライト」を共同観測する。
科学技術振興機構(本部・東京と埼玉)が、SSH校と大学が連携して研究を進める「全国SSHコンソーシアム」を推進しており、今回はその2例目。
(上記記事より)
高校生達が、高度な研究に取り組んでいるようです。
日本の将来を憂えてしまうようなニュースも多い中、こういった報道を見ると勇気付けられます。私が高校生だった頃の「高校生ってこんなもの」という常識を、良い意味でぶっ壊してくれるようです。マイスター、「SSHってこういう意味合いの制度だったんだなぁ」と再認識しました。
大学と複数のSSH校によるコンソーシアム。どんな研究成果が生まれるのか楽しみです。
なお記事にもあるように、小津高校はこういったSSHコンソーシアムの2例目。1例目は↓こういった取り組みです。
■「長崎西高等学校 – 全国SSHコンソーシアム」(長崎西高等学校)
http://www.nagasaki-nishi.ed.jp/modules/intro1/index.php?id=12
特定の遺伝子を全国規模で調べ、弥生人の移動経路等を明らかにする研究だそうです。こちらも「超高校生級」ですね。
以上、今週のニュースクリップでした。
2006年は、本ブログを応援してくださいまして、誠にありがとうございました。
このブログを通じて様々な方々と知り合うことができました。自分にとっても大きな転機となる年であったと思います。
来年は、今年以上に色々な出来事が待っていると思いますが、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。
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マイスター