【サイバー大学(1)】 学びの場としての魅力はどう?

マイスターです。

いやあ、盛り上がってますねサーバー大学、じゃなかった、サイバー大学。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「『サイバー大学』が正式に認可、入学願書受付は12月11日から」(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/30/14090.html
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日本サイバー教育研究所は30日、すべての授業をインターネットで行なう通信制の4年制大学「サイバー大学」について、文部科学省から正式に認可を受けたと発表した。サイバー大学は2007年4月に開学する。

サイバー大学は、テキストや画像、音声、映像を組み合わせた授業を、インターネット経由でオンデマンド方式により受講でき、卒業に必要な単位のすべてをオンラインで取得できる通信制大学。福岡県福岡市における構造改革特区を活用し、ソフトバンクが福岡の企業と共同で設立した日本サイバー教育研究所が運営にあたる。学長は、エジプト考古学者の吉村作治氏が務める。

サイバー大学が設置する学部は、IT総合学部と世界遺産学部の2学部。定員は各学部とも600人。入学試験については、入学願書、志望動機などによる書類選考となり、学力試験は行なわない。第一期の願書提出は12月11日から2007年1月26日までで、2007年2月2日に第一期の合格発表を行なう。
(上記記事より)

正規に認可も下り、4月からの開学に向けていよいよ願書の受付を開始するそうです。

あの孫正義氏のソフトバンクが大学を、
インターネット上の教育プログラムとして、
株式会社立大学として設立する!
そして不思議な学部構成!

しかも名前が、「サイバー大学」!

……と、つっこまれやすい条件がたくさんそろってしまったせいで、どちらかというと大学業界には批判的な意見を持っている方が多い気がします、サイバー大学。

ただマイスターは、「人生において自分が学びたいと思ったタイミングで、自分が可能な方法を選んで学べる」……そんな高等教育を実現したいという想いを持っておりますので、個人的には通信制大学には可能性を感じています。
学費も従量課金制で、ゆっくり何年もかけて卒業したり、逆に短期間で一気に学ぶ人もいたり、そんな「自分の学び」を進められる大学があればいいのにと思っていますので、それを実現させてくれるのであれば、応援したいです。
「どんな仕組みであろうと、いいものはいい、悪いものは悪い」
という視点で、温かく見守っていきたいと思っている所存です。
(※注:別に孫正義氏とも吉村作治氏とも面識はありません(^_^;))

で、サイバー大学について、なのですが。

既存の大学と異なり「株式会社立」である点など、制度上の比較を試みる方、
放送大学やアメリカの「フェニックス大学」と比較して問題点を指摘する方、
「儲けのためにやっているんだろう?」「儲からなくなったらつぶすんだろ」みたいな推測(憶測?)を語る方、

そんな大学業界関係者の方々の意見は、ネットで山ほど見かけました。

でも、

「一人の客としてこの大学のことを見たら、どう思うんだろう?」

という、商売をする上で最も重要な視点からのご意見は、意外にあんまりないのです。不思議です。

  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

というわけでマイスター、

サイバー大学は、

世の中の人々に「学びたい!」と思わせる魅力を

持っているのか?

ということを、数回にわたって、「出願を考えている人の視点」で見ていきたいと思います!

想定する出願者のキャラ設定はこちら!↓

【増田 学(仮名)】

・好奇心いっぱいのビジネスマン(独身)。

・理工系学部を出たのでコンピューターには弱くはない。でも今後のスキルアップを考え、もうちょっとシステムの知識を体系的に学びたいかな、なんて考えたりもする今日この頃。
・その一方で世界史、特に古代史が大好き。本を読み博物館を巡り、あれこれ仮説を立てたりすることに喜びを感じるタイプ。大学では理系に行ったので、歴史に関することをほとんど学べなかったのが未だに心残り。

・それなりに仕事は忙しく、毎日大学に通学するのはちょっと厳しい。でも自分への投資という意味合いも含め、学位を取るくらいの勉強をこつこつと進めていきたいなぁと、漠然と思っているところ。教養を高めても良いし、実益に結びつく勉強でもいいという考え。勉強自体はわりと嫌いではない。

・貯金はあまりない。

うーん、他人の気がしない! まぁ細かいことは置いておきましょう。

ちなみに、こうやって具体的な人物像を設定し、「彼ならこう思うでしょう」と説明をするやり方は、企画書を書くときなどでもしばしば使われる手法です。うまく使えば漠然とした企画に説得力を持たせることができます。
(普通は、タイプが異なる数パターンのキャラクターを用意することが多いのですが、ここは1パターンで行きたいと思います。)

さて、ニュースでサイバー大学のことを知った増田君、さっそくwebサイトを見てみることにしました!
なにしろ今日から10日後には願書の受付が始まるのです。まだ入学するかどうかも決めていない増田君ですが、とにかく情報だけは集めておいた方がいいだろうという考えです。

■「サイバー大学」
http://www.cyber-u.ac.jp/index.html

【1:どんなことが学べるの?】

どうやらサイバー大学は、「IT総合学部」「世界遺産学部」があるとのこと。
なんということでしょう。増田君の興味関心を見事にカバーしているじゃあありませんか。

どらどら……と思ってカリキュラムを見てみることにした増田君ですが……。

■「学部・学科」(サイバー大学)
http://www.cyber-u.ac.jp/faculty/index.html

あれ、情報これだけ?

いちおう、各学部の「カリキュラム」も掲載されていますが、カリキュラムと言うよりは授業リスト。どういう風に体系立てられているのかが今ひとつわかりません。いきなり出鼻をくじかれた増田君です。
例えば世界遺産学部。「進路別のカリキュラム体系(一例)」というページがありますが、「一例」ということは、自由度が結構高いということかな? でもそれが、どれくらいの自由度なのか今ひとつ不明です。

世界遺産学部の科目は、想定される将来の進路にふさわしい履修パターンが組めるように配慮されています。それぞれの受講生は授業サポートセンターへ相談した上で、選択・設定してください。カリキュラムの一例は下記です。
(上記リンクより)

とありますが、授業サポートセンターの連絡先が見つかりません。もしかして入学まで相談できないのかな?

今時、「シラバス」を公開しているところも多いのですが、サイバー大学のサイトにはありません。まだ学生がいないのだから、授業の評判を誰かに聞くわけにも行かないし……。「サイバー大学の思い」なんていう文章はたくさんあるのに、肝心の学習内容がいまひとつ不明確。問い合わせようと思っても然るべき連絡先が掲載されていないし、直接聞きに行こうにもキャンパスは存在しません。うーん、困ってしまった増田君です。
教員についても、名前以外の情報はありません。プロフィールや研究業績は謎(!)です。ここで自らググるくらいの機転が利かないと、サイバー大学で学ぶ資格はないと言うことか、うむむ。

ちなみに大学案内のPDFもダウンロードできますが、パンフを見るだけなのに何故か氏名、年齢、職業もろもろの個人情報入力を求められ、挙げ句、肝心な学問内容についての記述はやっぱりほとんどゼロです。

増田君、別にサイバー大学だから入学しようと思ったのではなく、ITや世界遺産について勉強したいからサイトを訪れたわけなのですが、どんな勉強ができるかがわからないので、面食らってしまいました。大学側は「サイバー」の部分に思い入れが強いせいか、学びの本体についてあまり教えてくれていないような……。

出願のスタートは10日後。さて、どうする増田!

(あれ、褒めるつもりが、なんか問題指摘になっちゃいました……(汗)でも、これけっこう大切なポイントだと思います。
せっかく開校のリリースを打ったわけですし、各メディアの注目も浴びているときですから、学習内容についての情報は早急に充実させておいた方がいいですよ。それでなくても10日後には出願開始ですし……>サイバー大学さま)

続きは明日以降にお送りします。

以上、マイスターでした。