例の義務教育費について、国庫負担2分の1を堅持する方針だの、公立「小中一貫校」検討だの、取り上げたいニュースはあるんですが…
やはり、大学職員にとっての一大ニュースということで、
今日のところは、こちらをご紹介したいと思います!
【教育関連ニュース】——————————————–
■「大学職員のSNS『大学職員.network』運用開始」(大学職員.net -Blog/News-)
http://blog.university-staff.net/archives/2005/1020/0010snsnetwork_1.html
○大学職員.network
http://sns.university-staff.net/
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先日から、ちょくちょくご紹介していた「大学職員.network」が、ついに本日、一般公開されました!
「大学職員.network」は、”Social Netowrking System”、通称「SNS」と呼ばれるサービスの一つです。
「mixi」などのサービスを既にご利用の方は、イメージしやすいと思います。
簡単に言うと、
「共通の興味・関心を持つ人たちが、ネット上でコミュニティを作ってコミュニケーションするのを、容易にする仕組み」
ですね。
mixiは、あらゆる人々を対象にしていますが、
「大学職員.network」はその名の通り、「大学職員限定」です。
日本中のあらゆる大学の大学職員が集い、交流するためのネットワーク、
そのインフラが整備されたんだな、と受け取っていただければいいんじゃないかと思います。
世の中には様々な業界があり、職業があり、業務がありますが、
業界単位で独自のSNSを運営できるなんてのは、大学職員しかないんじゃないか?
とマイスターは思います。
これまでも、本ブログで何度かご紹介してきましたが、
元々、大学職員の世界は、非常に横の連携が強いのです。
はっきりいって、相当、独特な文化だと思います。
時としてそうした文化は、大学人の精神的な「弱さ」につながることもあると思います。
特に他業種出身の方からすれば、なんて甘っちょろいんだ、馴れ合いだと見えるかも知れません。
しかし同時に、うまくその連携が活かされたときは、たちまち日本の教育全体に短期間で影響を与える「強さ」にもなるんじゃないか、とマイスターは思います。
* * *
ちなみに話がちょっとずれますが、マイスターが知っている、もっともこれに近い商売のモデルは、
「ナショナルの電器屋さん」
です。
あなたの街にも、あると思います、ナショナルの電器屋さん。
正確には、「ナショナルショップ」なんて呼んだりもします。
(パナソニックの看板がついているお店もあると思いますが)
これらの店は、基本的に個人営業です。
ナショナルの看板を掲げているとはいえ、その多くは、「高橋電器店」だの、「タナカショップ」だのといった、個人商店です。独立採算のお店です。
ナショナルのお店って、エリアごとにある程度の棲み分けはされているでしょうが、とはいっても結構狭い範囲に、複数存在していますよね。
マイスターの家のそばにも、同じ通りに2件あります。
こうしたナショナルショップ同士は、言ってみれば競合他社であり、ライバルな訳ですから、理屈で考えたら仲が悪いのが自然です。
ところが、実際には、そうでもないのですね。
「同じナショナル製品を売っているんだ、力を合わせて不況を乗り切ろうじゃないか!」
みたいな仲間意識があるんです。
んで、製品についての勉強会を共同で行ったり、普段から交流会を行ったりもします。
どこかのお店が困っていれば、助け合いの精神を発揮したりもします。
別に、松下電器産業株式会社が、そうした指導を行っているわけではないのに、です。
これは、ナショナルショップだけにしか見られない特徴だとマイスターは思っています。
また、かつて松下グループは「ナショナル学園」という、ナショナル電器屋さんとしての教育を施す学園組織を持っていたのですが(現在は、松下流通研修所という名前になっています)、どこかの電器屋さんのご子息が、この学園を卒業して戻ってきたりすると、
「おぉ、ついに我が○○地区でも、学園の卒業生が誕生したか!」
「○○地区では、これからは彼を中心にもり立てていこうじゃないか」
など、その地区の電器屋さん達はみな、我がことのようによろこび、いっそう結束したのだそうです。
もちろん、そうはいってもみなさん個人営業主ですから、最終的には自分のお店の存続をかけて、他のナショナルショップとも戦わなければなりません。
普段だって、顧客の取り合いなどはしているはずです。
でも、同時にソニーや東芝、日立などといった共通のライバルに立ち向かうためには、共同戦線を張って共闘するという、強力な「同胞意識」も兼ね備えているのです。
(まるで、古代ギリシャの都市国家群「ポリス」みたいです)
松下電器がV字回復を果たした背景には、プラズマテレビ販売の大成功がありますが、このプラズマテレビの実に半分以上を、街のナショナルショップが売ったのです。
安売り量販店より、定価で売るナショナルショップの方が、成果を上げたのですね。
これは、協力しあうことで発揮される「強さ」と言えるのではないでしょうか。
* * *
話が長くなりそうなので、大学職員の話題に戻ります。
マイスターは、こうした「競合だけど、連携して戦える強さ」を、大学職員という業種は持っていると思うのです。
で、そうした強さの元が、文科省の指導や、学長同士のトップ会談ではなくて、職員達のネットワークであったとしたら、すばらしいことだと思うのですよ。
北海道で行われた優れた実践ノウハウが、九州まであっというまに伝わり、少しずつ大学全体のサービスレベルを向上させる結果になったとしたら、それはそれで、ユーザーにとってはメリットが大きいことですよね。
競争する一方で、日本の高等教育のレベル向上のために、お互いを磨きあう。
そのためのインフラとして今後、常設されることになるのが、「大学職員.network」なのです。
ね、なんだか、夢のあるシステムだと思いませんか?
こんなシステムがある業種は、幸せですよ。
地方公共団体で働く公務員の方々も、先進事例の視察や勉強などをよく行われているようですが、大学職員達はそれを上回る、ボランタリーな全国ネットワークを構築しようとしているわけです。
ぜひ、公務員や大学教員が、
「これは優れた取り組みだ!」
と評価し、思わず真似したくなるようなネットワークになって欲しいです。
さて。
冒頭で「一般公開」と書きましたが、この「大学職員.network」、実は「mixi」と同じ「招待制」を採用しています。
このネットワークに参加したい人は、既にネットワークの一員である人から、招待されなければなりません。
(なお、招待される際のメールアドレスは、「○○.ac.jp」に限定されています)
閉鎖的という声があがるかも知れませんが、これは、ネットワークの信頼性を高めるためでもあるんです。
全国から集まって、身のある交流をするために、少しずつ、私達大学職員の手で育てていきたいと思います。
マイスターも、今日の間に、面識のある何人かの方をご招待させて頂きました。
この何人かの方が、また「この人にも参加して欲しい!」という方を誘えば、全国に広がるのはあっという間です。
参加したいけど招待されていない、という方は、周りの方に
「ねぇ、『大学職員.network』って知ってる?」
と、聞いてまわってみてください。
きっと、すぐに招待されることになると思いますよ。
そんなわけで、
「大学職員.network」の中でもお会いできることを祈っています。マイスターでした。
本題から外れますが,
ナショナルショップの強みは連携意識だけではなく,
販売後の保障と修理だと聞いたことがあります.
しかし,修理より買い替えの方がお得感があるような現状は
ナショナルショップさんには厳しいようです.
なんとも悲しい話です.
てるぞうさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
プラズマテレビがナショナルショップで売れた理由の一つは、
「高価で、かつ巨大な精密機器だから、何かあったときにすぐ店員さんが家に来てくれるお店が安心」
ということだと聞いたことがあります。
普段から地域密着でやっているナショナルショップの面目躍如、といったところですね。「連帯意識+アフターサービスのよさ」が、うまく組み合わさって働いたと言えそうですね。
しかし、こんな商品でなければ、私も電化製品は安売り量販店で買ってしまいそうです。松下電器の歴史を支えてきたショップさんたちにとっては、確かに厳しい時代ですね。