アイビー・リーグの猛攻 苦戦する公立大学

マイスターです。

・アメリカ 「MBAの学費、公立大学が次々に値上げ」(2007年12月20日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50411184.html

今日の話題は、↑昨日の記事と関連していますので、あわせてご覧ください。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「アイビー・リーグ、独り勝ちの罪 超エリート私立大学は栄華の極み、公立校は困窮」(NBonline )
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071219/143467/?P=1
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アイビー・プラス各校は、学術研究という本来の役割を拡充するためにも莫大な額を投資している。ハーバード、コロンビア、ペンシルベニアの各校は、自然科学に重点を置いたキャンパスを新設中だ。イエールは製薬大手の独バイエル(BAY)から30棟の建物で構成される複合研究施設を買い上げた。さらに、一流の教授陣を増やし、1クラスの学生数を減らし、低所得層の家庭の学生に対しては学資援助も増額している。

(略)豪華さを競い合うアイビー・プラスと対照的に、米国の大学生の75%が学ぶ公立大学は困窮に瀕している。学生数では全体の1%に満たないアイビー・プラスが支出を膨らませている一方で、大部分の州では高等教育向け予算が削減されている。その中で、多くの公立大学は増え続ける入学志望者を受け入れるのに四苦八苦している。

「各州は、公立大学に対する予算はこれ以上増やさないという方針を固めているようだ」と、コーネル大学高等教育研究所の所長を務める経済学者のロナルド・G・エレンバーグ氏は言う。

(略)公立大学の経済的苦境にあることをアイビー・プラスのせいにはできない。だが、その弱みにつけ込んでいるのは確かだ。アイビー・プラスはその財力に物を言わせて、公立大学の著名な教授や彼らの研究助成金を奪い取ろうとしているのだ。

最高ランクの公立大学でさえ、アイビー・プラスからの攻撃をかわすのは至難の業だ。カリフォルニア大学バークレー校の学長ロバート・バージュノ氏は、アイビー・プラスなど超エリート校が発展する代わりに、公立大学が消耗させられていると言う。「将来について考えれば考えるほど恐ろしくなる」(バージュノ氏)。

ごく少数の人間の教育のために、ますます多くの大金が注ぎ込まれている。アイビー・プラスでは予算が急激に膨張しているが、定員はほとんど増えていない。1997-98年から2006-07年の学年度の間に、アイビー・プラス10校の大学院入学者は緩やかに上昇して10%増の5万5708人になったが、学部入学者数は6万8492人で1.4%減少した。

アイビー・プラスとそれ以外の大学との“富の格差”は、かつてないほど広がっている。2007年会計年度(6月30日期)にハーバード大学基金の投資収益は57億ドルに上った。これは、全米の大学基金の総額から6つの大学(うち5つはアイビー・プラスのイエール、スタンフォード、プリンストン、 MIT、コロンビア)の分を差し引いたものより多い。

アイビー・プラスの突出ぶりは、寄付金の調達にも表れている。昨年度の全米の大学への寄付金増加額のうち、半分を上位10校で占めた。上位5校はアイビー・プラスだ。トップはスタンフォード大学で、2006年に9億1100万ドルの寄付を集めた。これは大学としては過去最高である。

(上記記事より)

非常に興味深い記事ですので、よろしければリンク元もぜひご覧ください。

昨日の記事で、「私立大学に対抗して学費を値上げせざるを得ない公立大学MBA」の話をご紹介しましたが、その裏にあるのは、こういった私立大学の活動です。

アイビー・リーグと言えば、アメリカを代表する超エリート私立大学群。それにスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学を加えた10大学を、「アイビー・プラス」と呼ぶのですね。
この10大学は、世界的にも名を馳せている、名門中の名門です。

そのアイビー・プラスが、多額の資金や優秀な教員を他校からガンガン引き抜き、そしてその結果、優秀な学生をも独占している、といった内容の記事です。

どこから教員を引き抜いてくるかというと、公立大学です。

多くの州で、公立大学への予算が削減される傾向にある中、こういった私大の猛攻とも渡り合わなければならないわけですから、公立大学関係者は大変です。

州民の教育レベルを向上させるのが目的というような州立大学は、まだ棲み分けができている分、やりやすいかも知れません。
上記のような問題が直撃して大変なのは、公立大学の中でも、研究重視型の大学なんだろうなと想像します。

いずれにしてもこのままでは、研究型公立大学は徐々に力を失っていくでしょう。
これは各大学のレベルで解決できる問題なのか、それとも州政府など、大きな政策レベルで方針を見直さなければ食い止められない問題なのか、どうなのでしょう。

日本にも、先端的な研究に力を入れているようなタイプの公立大学はいくつかあるように思います。
国の財政状況や、地方分権などの動きをにらみつつ、ちょっと考えておきたい問題ですね。

以上、マイスターでした。