大学卒業後は故郷に 「Uターン者は返済一部免除」の奨学金

マイスターです。

今日は、こんなニュースをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大学卒業後は故郷に 飯田市、Uターン者に奨学金の1/3免除」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20071121/CK2007112102065883.html
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大学卒業後は故郷に帰ってきてもらおうと、飯田市は本年度から、Uターン者に市奨学金の三分の一を免除する特例措置を始めている。全国でも珍しい取り組みといい、来年度からは大学院卒業生にも枠を広げる。

市の奨学金は松村育英会、龍峡育英会、長志育英会で、いずれも民間から寄付された基金。大学生は月三万円を貸与され、卒業して十三カ月目から返還が始まる。自治体による育英会自体も珍しく、利子や所得制限がないのが利点だ。

市には四年制大学がなく、高校卒業後に八割が飯田を出て、うち六割が帰ってこない。持続可能な地域を目指してU、Iターンに力を入れており、Uターン者の返還一部免除に乗り出した。

対象は大学、大学院卒業後に飯田にUターンした人で、三分の一を上限に免除される。四年間で百四十四万円を貸与された場合、最大で四十八万円が免除される。免除分は市が補てんする。

(上記記事より)

飯田市は、いわゆる「Uターン」、「Iターン」というものに、ものすごく力を入れている街、のようです。

市の公式でも、一番目立っているのは「飯田市に住もう!」と題した↓このコンテンツ。飯田市では、UとIを合わせて「結いターン」と呼んでいるみたいです。

■「長野県飯田市のUターン・Iターンプロジェクト – 結い(UI)ターン」(飯田市)
http://www.yuiturn.net/

「結いターンキャリアデザイン室」という専門の部署があるんですね。
なかなか良くできたコンテンツで、かなり気合いが入っています。

冒頭でご紹介したニュースも、おそらくそんな結いターンプロジェクトの一環なのでしょう。

「市には四年制大学がなく、高校卒業後に八割が飯田を出て、うち六割が帰ってこない。」

という現実があるのであれば、確かに、新社会人に戻ってきてもらうための施策は急務です。

で、奨学金の返済免除です。発想としては(良い意味で)非常にオーソドックスなようにマイスターには思えます。「全国でも珍しい取り組み」という記述の方がちょっと意外でした。

対象は大学、大学院卒業後に飯田にUターンした人で、三分の一を上限に免除される。四年間で百四十四万円を貸与された場合、最大で四十八万円が免除される。免除分は市が補てんする。

とのこと。

「卒業後にUターンした人」ということですが、一体どのくらいの期間、飯田市にいればいいのか、規程はあるのでしょうか。
つまり、卒業後、飯田市で就業したけれど、結局1〜2年で辞めて他のところに行ってしまった、なんていう場合はどうなんでしょうか。

また逆に、「1〜2年、他の土地で働いたけれど、辞めて飯田市に戻ってきた」なんてケースはどうでしょうか。こっちは、結構ありそうな気もします。
その辺りが、この記事だけだと分かりません。いずれにしても昨今、「一生同じところに勤める」というケースの方がレアです。それはつまり、「一生同じところに住むという保証もあんまりない」ということです。
ですからその辺、ちゃんと考えておかないと、せっかくの奨学金の効果が十分に発揮されないかも知れません。

さらに言うと、「高校卒業後に八割が飯田を出て、うち六割が帰ってこない」理由は、何なのでしょうか。
もし、経済的な面が大きいのだとしたら、奨学金の1/3、最大四十八万円という免除幅で飯田市に留まってくれるのかは、ちょっと怪しいかも知れません。

とは言え、飯田市も、この制度だけでUターンを進めているわけではありません。
上述したとおり、他にも様々な取り組みを行っているわけです。総合的な施策の一環としてであれば、実施の意味が無いわけではないと思います。

ただ、奨学金制度を実施したあとは、やはり追跡調査と、それにもとづく「効果測定」も徹底されることをお勧めします。
こういった政策を打ち出しておきながら、効果測定に全然力を入れていない行政機関って、結構あるような気がします。一体何のためにやったのか、本末転倒です。

もちろん、奨学金の整備それ自体、意義のあることなのですが、だからといって何でもやっていれば良いというわけではありません。
教育や福祉の政策となると、なぜか「どれだけ効果が出ているかわからないけれど、まぁ、良いことだから続けよう」と、惰性で実施・継続されることが世の中、少なくありません。
でも教育や福祉という大事な事業だからこそ、綿密な効果測定が必要だとマイスターは思うのです。それでこそ、(単発の思いつきではなく)継続的な取り組みを行っていけるというものです。

飯田市の取り組み、さて、どのくらいの成果が出るでしょうか。
うまくいくといいですね。

以上、マイスターでした。