新入生に関する話題

マイスターです。

入学式の話題をご紹介しました。

今度は、「入学直後」の話題をいくつか取り上げたいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「新入生のゼミに付属高生が参加 名古屋大、イキイキ互いに刺激」(中日新聞)

名古屋大は新年度から、新入生向けのゼミナール形式の授業に、同大教育学部付属高校の生徒を受講させる。大学入試の合格だけを目的にしてきた新入生が増える中、やる気のある高校生を加えることで、双方に刺激を与えようという試み。ゼミへの参加は全国的にも珍しいという。
高校生が受講するのは、名大が新入生に自発的に学ぶ力をつけてもらおうと開いている「基礎セミナー」。学部に関係ない12人程度の少人数ゼミで、設定したテーマを題材にして週1回の授業の際に調査。報告書をまとめたり、討論・発表をしたりして、基本的な研究方法を学ぶ。
今回、名大教育学部付属高2、3年生のうち12人を希望するセミナーに参加させる。高校生には、大学の授業を通じて進路を選ぶ参考に、大学生にも刺激を受けて学んでもらう相乗効果を狙う。今後、受け入れ人数の拡大や、他校からの参加も考えていく。
(略)同付属高校校長で名大大学院教育発達科学研究科の植田健男教授は「大学に入学した学生をどう学問に導くかは大きな課題。偏差値教育に頼らない付属校の生徒が大学に刺激を与え、中等教育、高大接続教育のあり方のモデルになれば」と意欲を見せている。
(上記記事より)

最近では大学に入学した後、初年次に行う「導入教育」に注目が集まっています。
高校までとは違う、大学での学びのあり方を伝え、またそれを実践するための知識・スキルを身につけさせることで、その後の学習をスムーズにするのが主な目的。
プラス、少人数のゼミナール形式によって教員の目が学生達に行き渡るようにする、友人を作りやすい環境にするなどの狙いがあります。

名古屋大学はさらにこの4月から、ここに「高校生」を参加させるというユニークな取り組みを行います。

大学選びを控えた高校生にとっては、非常に刺激的で参考になる時間となるでしょう。
また大学生にとっても、自分達より若い「後輩」達がモチベーション高く授業に参加し、積極的な姿勢で学んでいるとなれば、ダレたり、格好悪い姿を見せるわけにもいきません。
お互いに刺激を与えあう、好ましい環境をつくることができます。

これ、とても素晴らしい取り組みだと思います。
新たな高大連携の事例として、色々な可能性を秘めているのではないでしょうか。

ちなみにこの高校生達は、高校の授業が行われている時間に、大学の方の授業に参加しているのでしょうか。それともゼミ自体を比較的遅めの時間に設定するなど、配慮が成されているのでしょうか。
いずれにしても、付属校だからこそ可能な部分もあるかもしれません。
一般の高校では、なかなか実現が難しい部分もあると思いますが、近くにある大学・高校同士で、双方にとってのメリットが一致するようであれば、来年以降、調整してみる価値はあるかもしれませんよ。

続いて、こんな話題をご紹介。

■「在学生が新入生のための大学紹介ハンドブックを制作しました」(札幌大学)

在学生のプロジェクトチームが、新入生がスムーズに大学生活を始められるよう大学の施設や学生サービスを紹介したハンドブック「新入生のための札幌大学ガイド SUMALL(スモール)」を制作し、このほど完成しました。
(略)制作したプロジェクトチームは、「学生生活向上プロジェクト」という学生チームで、公募によりメンバーを募り、5人の学生が昨年7月からこのハンドブック制作のために活動してきました。メンバーの学生自身が、学生生活を送った上で分からなくて戸惑ったこと、知っていればお得だと思ったこと、快適な学生生活を送るのに必要だと思われることを中心に構成し、学生の視点で新入生に大学生活のポイントを伝えることをコンセプトに制作しました。
4月2日に行う新入生オリエンテーションで配布する他、オープンキャンパスや進学相談会等でも大学を知ってもらうツールとして配布する予定です。
(上記記事より)

学生で大学を活性化させる取り組みが、最近、増えてきているようですね。
本人達がそれを通じて学べることも多く、基本的には良い流れだと思います。

上記は、新入生のためのハンドブックを、在学生が作成するという取り組み。
もしかすると他にも、同様のプロジェクトが行われている大学も、あるかもしれません。

新入生のうちは、「あれはどうなっているんだろう」、「これは、どこでわかるんだろう」と、色々な面で知りたい情報が多いと思います。
でも、新入生が気にするトピックというのは、教職員が公式に用意する資料では、必ずしもカバーされていなかったりするのですよね。

そこで在学生達の視点が、そういった情報のスキマを埋め、新入生の不安を解消してくれるというわけです。
オープンキャンパスや進学相談会等でも活用するとありますが、確かに充実した内容であれば、そうした活用もできますね。

そして、大学の新入生にはつきものの、こんな話題も。

■「『お酒より奉仕』最近の大学新入生歓迎会」(中央日報)

へろへろにさせられる酒の宴に代わり、ボランティアで新しい出発をしよう」--。
毎年入学シーズンになると大学周辺はお酒であふれる。各種サークルコンパなどで在校生と新入生の間で酒を媒介として絆を深めようという風習があるためだ。
しかし、酒を飲めない新入生が不意の事故で命を失う場合もある。今年に入って新入生たちが酒によって死亡したというニュースがあちこちから聞かれる。
このように大学の「非理性的飲酒文化」に対する批判世論が起こる中、一部の大学生サークルが中心になってお酒を飲む代わりにボランティアをする運動が拡散している。
成均館大経営学科EMBA学生会(会長ヤン・ヨンソン)は2月28日と3月1日、京畿道光州にある障害児保育施設であるハンサラン村とサムユク再活院で新入生歓迎会を開いた。
新入生70人と学生会役員10人など総勢80人が参加したこのイベントで学生たちは福祉施設収容者たちを対象に歌などのボランティアを5時間行った後、バイキング形式で夕食をとった。
例年と違い、公式行事では酒を全く飲まなかった。
(上記記事より)

読んでいただくと分かりますが、これは韓国のニュースです。

大学の新入生に対し、サークルなどの先輩達が「お酒での歓迎」をする文化は、日本と韓国で似ているようですね。
急性アルコール中毒などにより命を落とす学生が出るという問題も、日韓共通。

そこで韓国では飲酒の代わりに、新入生と先輩とで一緒に、上記のようなボランティア活動をして絆を深めようという運動が広まっているのだそうです。

考えてみれば、「やっぱりお酒がないと寂しい」とこだわっているのは、新入生ではなく先輩達の方。
新入生の方がお酒を要求しているわけではないのですよね。
そもそも、大学生の身でアルコールの力を借りないと楽しい場を作れないのだとしたら情けないかぎりですが、実際には、その気になれば「お酒抜き」で十分、盛り上がれるはず。

というわけで、その気になればアルコールが無くても新入生の歓迎はできる、という例をご紹介させていただきました。
日本の大学生の皆さんにも、参考になればと思います。

サークルということで、最後にこちらもご紹介したいと思います。

■「新入生、甘い言葉には気をつけて。サークル選びは慎重に。」(Techinsight)

今月の中旬、45大学がカルト宗教の勧誘情報のネットワークを立ち上げる。新入生のカルト宗教の被害を未然に防ぐのが目的だ。カルト宗教と呼ばれる宗教の勧誘は、「偽装サークル」と呼ばれる、スポーツをしたり、映画を作ったりというはっきりとした目的がない、もしくは、表向きに掲げる活動内容とは異なり、別の目的のために活動しているサークルを使って勧誘している。合格発表や健康診断、入学式といった新入生の集まる日に、少人数か一人で行動しているし新入生にアンケートや署名などを行い個人情報を入手したり、少しでも興味を示したら、半ば強引に違う場所に連れて行き勧誘する。それが常套手段だ。
サークルも様々あるが、大学の公認サークルだからといって安心は出来ない。なぜなら、稀にカルト宗教団体の偽装サークルが公認サークルになってしまうこともありえるのだ。
(略)最近では、サークルの仲間からマルチ商法と思われる悪徳商法の儲け話を持ちかけられて、被害に合う例が出てきた。昨今の株ブームなのか未公開株被害も出ている。投資サークルに参加しないかと半ば強引にサークルに参加させて、投資させる。金がなかったら、学生ローンで借金をさせる。当たり前だが、未公開株の企業名は明かさない。そして、サークルに参加した学生は違う学生を勧誘してくるようにマニュアルを渡される。マージンが発生する場合もあるようだ。これはもうねずみ講と言っても良い。このような悪徳商法はサークルだけではなく、中学、高校の同級生、バイト先、合コンでも勧誘される恐れがある。
この春地元を離れ大学に進学する新入生の皆さん、邪な目的で近づいてくる人間の言葉は甘い。知っている人がいない、友達がほしいという弱みにつけこんでくる。彼らは人間関係というものを武器にすることもある。それがサークルというものを使っていることか察しはつく。だんだんと親密になっていき、断れない状況を作っていく。被害者にならないためには、自分の態度をはっきり示すことだ。本当の友人関係を築いているのだったら、カルト宗教、左翼思想、悪徳商法に入らなくても疎遠にはならない。
(上記記事より)

大学キャンパスを活動拠点にする宗教団体や政治団体は、色々あると言われています。
サークルに偽装して活動しており、最初はあまり、それとわかりません。新入生が人間関係に馴染んできたところで、段々、宗教活動が絡んだり、お金がかかるイベントに参加するようになってくることが多いのだそうです。
つまり、まだまだ新しい環境で友人などの知り合いも少なく、心情的に断りにくい、離れにくいという弱みにつけ込んで活動を拡げていくのですね。

宗教団体イコール問題ということはありませんが、中には社会的に問題のある集団もあるかもしれません。外部の人間には、そのあたりの判断はなかなかできません。
ただ、悪質な団体が着々とキャンパスに根を張ってしまうケースもあるため、大学側も警戒しています。
有名大学を狙って「活動」する団体が多いのも特徴。ゆくゆくは社会に影響力のある層になっていく学生達に信者を増やそう、という狙いもあるのでしょう。

最近ではこうした組織への問題意識が強まったこともあって、大学側の対策も進んできました。
チラシやビラによる呼びかけの他、入学式やガイダンスなどで注意を喚起するところもあります。

さらに大阪大学では、勧誘の標的になりやすい1年生を対象に、必修の特別講義を行っています。
あれだけ大きな総合大学で「必修」なのですから、それだけ大学側が危機意識を持っているということなのでしょう。

大学に入ったばかりの皆さん、どうかお気をつけ下さい。

以上、新入生に関する様々な話題の中から、いくつかを選んでご紹介しました。

最近では、退学者を減らすという上でも、この時期の過ごし方が重要だと考えられています。
その後の学びも変わってきますし、大学側からのガイドの仕方は、非常に大切。
各大学、色々とユニークな取り組みを打ち出してきているようですね。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。