学部数がけっこう多い大学を卒業したマイスターです。
学部も大学院も、いわゆる総合大学で学生生活を送りました。
ただ、どちらもキャンパスが他の学部と離れておりましたので、その頃はあまり総合大学に所属している実感は持てませんでした。
むしろ卒業してからの方が、何かにつけて総合大学の卒業生であることを意識する機会を得ているような気がします。
離れた場所で過ごしていたとしても、「同門」という意識は案外強く働くもの。同じ大学の卒業生だとわかると、互いにちょっと嬉しいですよね。総合大学の場合、卒業生の数も多くなりますから、そういった出来事も多めになります。
単科大学には単科大学のよさがあるでしょうし、どちらが良いとは言えませんが、たまに思わぬところで同門の方にお会いできたりすると、「あれだけ学部があったんだし、やっぱりいろんなところに卒業生がいるんだよなぁ」と改めて感じたりします。
ところで、「日本最大の規模」を誇る総合大学はどこでしょうか?
この問いに、少なからぬ方が「日本大学」と答えるのではないでしょうか。
学部・学科の数、学生の人数、キャンパスの数、どれをとっても確かに最大級です。
ただ、総合大学の象徴たる「学部数」においては、どうやらついにトップの座を明け渡してしまったようです。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「東海大の関連3大学統合へ 国内最多の20学部体制」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007030101000757.html
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学校法人東海大学は1日、東海大(神奈川県平塚市)と北海道東海大(札幌市)、九州東海大(熊本市)を来年4月に東海大として統合すると発表した。近く文部科学省に申請、国内最多の20学部体制(定員計約3万人)に移行する方針。
統合に伴い東海大短大高輪校舎(東京都港区)には東海大の情報通信学部が設置される。
東海大学は「少子化時代の到来を見据えながら、各地域の特性を生かした大学経営をしていきたい」としている。
(上記記事より)
というわけで、もともと大規模な総合大学と知られている東海大学がグループ内の関連大学を統合し、さらなるメガ大学として生まれ変わります。
なんと20学部!
20って……。
学部長会議をやるたびに全国津々浦々から20人が集まるのかぁ……などと、思わず大学職員っぽい想像をしてしまうマイスターです。
ではいったいどんな学部で構成されているのか、実際にその内訳を見てみましょう。
■「東海大学 2008年度からの学部 -20学部87学科・専攻・課程-」(東海大学)
http://www.pr.tokai.ac.jp/new_tokai/gakubu.html
【東海大学の新しい学部構成】※( )内は、その学部にある学科・専攻・課程の数
<旭川校舎>
芸術工学部(2)<札幌校舎>
国際文化学部(2)
生物理工学部(3)<代々木校舎>
情報デザイン工学部(2)<高輪校舎>
情報通信学部(4)<伊勢原校舎>
医学部(1)
健康科学部(2)<湘南校舎>
文学部(14)
政治経済学部(3)
法学部(1)
教養学部(6)
体育学部(5)
理学部(4)
情報理工学部(2)
工学部(13)<沼津校舎>
開発工学部(5)<清水校舎>
海洋学部(10)<阿蘇校舎>
農学部(3)<熊本校舎>
総合経営学部(1)
産業工学部(4)以上、10校舎20学部87学科。
北にある校舎から順番に並べてみました。
学科や専攻の詳細は、上記の東海大学webサイトをご覧ください。
もともと航空学校だったこともあってか、理工学系が多い印象ですね。
(逆に言うと、理工系の学科がそれぞれその学部にあるのか判別しにくいという面もあります。例えば「情報通信工学科」は情報通信学部ではなく開発工学部にあるのですが、東海大学の学生さんや教職員の皆様はこのあたりを瞬時に思い出せるのでしょうか……)
とにかく、日本大学が16学部(通信教育部、短期大学部含む)ですから、これで学部の数に関しては東海大学がトップに躍り出たわけです。
もちろん、学部が多ければいいというわけではありません。また今回の20学部は元々あったものを再編したものですから、何かが劇的に変化したわけではないのかも知れません。また学生数に関しては依然として日大がトップですし、校舎の数も日大(19校舎)の方が多いです。
しかしながらやはり、「国内最多の20学部を持つ総合大学」というのは、その事実だけでとても大きなインパクトがあります。
それに統合後は、校舎が旭川から熊本まで、文字通りほぼ全国にわたるんですよね。
付属校も全国にありますし、色々とスケールメリットが出てきそうな気がします。
ちなみに東海大学のサイトを見てみると、↓こんなことが書かれています。
東海大学の校名は、「ユーラシア大陸の東の海」に由来しております。そこに点在する海洋国家群の中でも、独特の文化をいち早く実らせた国、日本を示す言葉として「東海大学」という名称が誕生しました。現在学園には、東海大学、九州東海大学、北海道東海大学の三大学があります。創立者は本来、九州東海大学、北海道東海大学をそれぞれ東海大学工学部熊本校、あるいは札幌校として設置することを望んでおりましたが、その設置形態は当時の設置基準には適わず、やむなくそれぞれ独立した大学として開学したという経緯がありました。しかしながら、1991年の大学設置基準の大綱化以降、設置基準の規制緩和に加え情報通信技術の発達により、現在では当初の計画のような設置形態が可能となったわけであります。この度、やむなく分散した形態であった三つの大学を一つの「東海大学」として力を結集することにより、名実ともに「東の海」の由来に相応しい大学となります。
(「2008年4月 新しい東海大学へ」(東海大学)より)
つまり、これまで認められていなかったが、最初から東海大学は北海道から九州までにまたがる一つの大学として計画されていたのだそうです。
東海地方にあるから「東海大学」なんだと思っていた人が世の中には多いと思うのですが、違ったんですね。これで、ようやく当初のコンセプトが実現できるということになります。なんという壮大な計画でしょうか。
これから、東海大学がこの20学部をどのように社会に打ち出していくのか、興味深いです。
個人的には、webサイトをどうするのか、知りたいです。様々な事業を抱える巨大な組織の場合、全体としてのブランドイメージを維持しつつ、各事業の魅力をアピールするのがなかなか大変なのです。
企業では、そのために「コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)」という技術を導入するなどして、広報の方法論をそれぞれで確立させています。大学もここまでくると、企業並みの広報チームが必要になりそうです。
東海大学の3大学は、これまでも同じデザインテンプレートをwebサイトに使い、ブランドイメージの統一をはかっています。今後は、これを一つまとめつつ、大学で起こる様々な動きをアピールしていかないといけません。がんばってください。
■東海大学
http://www.u-tokai.ac.jp/
■九州東海大学
http://www.ktokai-u.ac.jp/index.html
■北海道東海大学
http://www.htokai.jp/index.html
というわけで、東海大学の話題でした。
我が国には他にも帝京大学や東京理科大学など、複数の大学を持つグループがあるのですが、今後の展開によっては、東海大学に続くところが出てきたりするのでしょうか。
でも、大きくなるとかえって難しくなる面もあると思いますので、それぞれにあった組織規模を模索してみてくださいね。
以上、マイスターでした。