マイスターです。
■大学発の食品が再び新宿に集合 研究者の講義も聞ける一大イベントに
↑以前、ご紹介した、紀伊國屋書店「学市学座」と小学館『大学は美味しい!!』のコラボ企画、小学館『美味サライ』第2回「『大学は美味しい!!』フェア」が、現在、新宿にて開催中。
テレビなど、多くのメディアで紹介されていますね。
マイスターも行ってきました。
以前の記事でもご紹介しましたが、今回の特徴の一つは、大学の「食」に対する多面的なアプローチ。
例えば、大学発食品を食べて楽しむだけではなく、その研究・開発に携わった研究者の方々から直接学べる、特別公開講座が企画されています。
というわけで、マイスターもさっそく、講座の一つを受講してみました。
近畿大学水産研究所・村田修所長による、「クロマグロ完全養殖への挑戦」。
近畿大学が世界で初めて成功した、クロマグロの完全養殖。
様々なところで噂を聞いていましたので、とても気になっていたのです。
新宿でお話を聞けるなんて。
以前「学市学座」の会場になった、紀伊國屋書店新宿南店の3階が講座の会場。
(高島屋方面から、ブリッジを渡ってすぐの入口のところです)
↑様々なテーマの講義が、ここで行われています……。
↑受講中。
1970年に開始されたクロマグロ養殖のプロジェクトが、37年後に初出荷を迎えるまでの軌跡から開設してくださり、マイスターのように「水産」にあまり縁のない人間にもよくわかる講座でした。
全長3m、400Kgにもなる巨大なクロマグロですが、実は「肌を触られただけでも死んでしまう」という弱さも。
網や壁に激突して死ぬことを防ぐために、光や音の刺激をなくしたり、生け簀のサイズを改善したり。
初期の共食いを防ぐため、体のサイズのバラツキをなくすよう稚魚を選別したり。
ひとつひとつ問題を解決していく過程は、まさに実践研究そのものです。
釣り上げた天然のマグロを長く活かして飼育する技術、産卵させる技術、稚魚を育てる技術、それを商業サイズまで育成する技術などなど、様々な技術の集合によって「完全養殖」が成り立っています。
その裏には、生け簀の研究からはじめ、多種多様な魚の養殖に成功してきた過去の研究成果があることもわかります。
先の長い研究をあきらめずに続けた研究者達と、数十年かかるプロジェクトを支えてきた大学の姿勢を、村田所長は強調されていました。
「水産」と言われても、マイスターのような一般生活者にはなかなかイメージできない部分もあります。最新の研究成果なら、なおさらでしょう。
でも、「養殖のクロマグロが出荷されるまで」というプロジェクトに即し、その過程で行われた研究を説明していただくと、イメージもしやすいです。
「食」というひとつのテーマを通じて研究を伝え、研究者達の取り組みを伝え、大学を伝える。
「学市学座」の取り組みには、大学と社会をつなぐ、重要な要素が含まれているように思います。
村田所長から、早稲田塾生の皆さんにメッセージをいただきました。
すべてにおいて忍耐が大事、あきらめずに続けること。
ものや人に対し、愛情を持って接することが大事。
それが、いずれ大きな成果につながる。
数十年かかる養殖研究に携わる研究者の言葉だけに、とても説得力があります。
ありがとうございました。
紀伊國屋書店のご担当者の方にお話しを伺ったところ、講座を受講されているのは、学生さんや若い女性の方、社会人の方などが多いとのこと。
食品メーカーの企画開発の方や、営業の方が勉強しに来られているケースもよく見かけるそうです。
確かに、プロの方にこそ、こういった講座はありがたいかもしれませんね。
近畿大学水産研究所のクロマグロ養殖を始め、今回の『大学は美味しい!!』フェアに関連する書籍が、紀伊國屋書店で特集されていました。
大学発食品を食べて、その開発過程に興味を持たれた方は立ち寄ってみてみると良いかもしれません。食べたものや、それを開発した研究者の方々に対する興味がより深まると思います。
こういった取り組みは、「学市学座」ならではですね。
さて。
ではいよいよ、マイスターも食べる方に……。
朝から何も食べず、ハラペコが極まった状態のマイスター。
野に放たれた野獣のごとく食べまくるぞ、という決意とともに、新宿高島屋11階の会場へ。
……。
……この混み具合は何事ですか?
↑会場の外にまで、行列……。
高島屋の店員さんに聞くと、「北里大学の商品を購入されるお客様の列です」。
タイミングによって、人気商品にはこうした列ができることもある模様。
どうやら、「大学」と「食べ物」が相乗効果を発揮すると、おそるべき集客力が生まれるようです。
このとき、土曜日の15:00頃。
とっくにお昼時は過ぎていますが、人が多くて、なかなか歩けません!
やるな大学!
このあたりで長くなってきたので、次回に続きたいと思います……が、このイベントに行こうと思っている方にひとつだけ注意事項を。
土曜日ということもあると思いますが、それにしても売り切れが多いです。
15:00の時点で、かなりの品目が、既に上記のような状態でした。
大学が開発した食品には、少量しか生産されていないものが少なくありません。
時間をかけ、手をかけて作っているものが多く、生産ペースがのんびりしているということもあるでしょう。
またメーカーなどが製造する食品と異なり、そもそも大量販売・消費を前提とせず、実験的に作っているようなものも結構あります。キャンパス内で収穫された量しか販売していない、なんて製品も多いです。
マイスターは様々な大学のブースで関係者の皆様からお話を伺ったのですが、「朝10時の開店後、30分もせずに売り切れた」……という商品も少なくなかったようです。
味や安全性は折り紙付きで、話題性も抜群なものですから、大学発食品は飛ぶように売れます。それは上記の混雑ぶりを見ていただければ、想像していただけることでしょう。
モノが売れない不況の時代ですが、高品質な大学発食品は、本物志向のお客様方から絶大な支持を集めているのですね。
しかし、もともとこのように限られた量しか生産されていないものですから、すぐに品切れになるわけです。
安全性を追求し、また最新の研究成果を取り入れることを重視しているからこその事情。
つまり、これもまた、大学発食品らしさなのです。
お目当ての食品を買えなかった方も多いかと思いますが、「そういうものなんだ」ということで、どうぞご了承ください。
逆に、どうしても食べたい、買いたいというお目当ての食品がある方は、ぜひ早い時間に会場に行かれることをオススメします。
会期の最終日まで商品を並べられるよう、その日の販売個数を決めている大学が多い様子。売り切れでも、翌日の朝に行けばまた並んでいる場合がほとんどだと思います。
晩ご飯を確保しようと夜に出かけても、手に入らないことがありますので、それだけご注意ください。
それでは、次回に続きます。
以上、マイスターでした。
今回、取材に快く協力してくださいました大学関係者の皆様、およびイベント主催者の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました!
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。