マイスターです。
■「アオリイカ専攻が完封=東海大海洋学部-全日本大学野球」(時事ドットコム)
↑最近見つけた記事の中から。
「研究とスポーツを両立させた」ということを記者の方は強調したかったのかと思いますが、それにしても、不思議なタイトルです。
逆に、研究とスポーツを両立させている選手が珍しい、ということを強調する結果になっているような。
さて、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【中小企業の就職説明会、大学から関心集める。】
■「中小企業が大学ごとに就職説明会 約200校が関心示す」(47NEWS)
就職活動中の大学生向けに、地域の中小企業が大学ごとの会社説明会を本格的に実施することが12日分かった。説明会は各大学向けに行われるため、学生は効率的に就職活動ができる。この事業を支援する中小企業庁は、若手人材を確保したい中小企業と大学生の橋渡しをする。
同庁によると、一般的な会社説明会の就職内定率は1割程度。だが、明星大学(東京都日野市)が昨年地元の信用金庫と連携し、キャンパス内に地域の中小企業を集めて行った会社説明会では、内定率が約3割と高かったという。
(略)説明会の参加企業は、新社会人となる大学生が安心して就職できるように、地域の金融機関や商工会議所、商工会の推薦を受けた企業に限定する。
(上記記事より)
就職が厳しいと言われますが、隠れた優良企業は少なからず存在しているはず。
一般生活者にも知名度の高いBtoCの企業や、大企業に学生は集中しがちですが、色々な企業を知るのは双方にとって悪くないことと思います。
企業にとって一番参加したくないのは、「超有名大企業も含め、膨大な数の企業が参加し、お金も時間も手間もかかる割に、自社の採用につながらない説明会」。
内定率が高い説明会になるのなら、企業の側も参加しやすいのではないでしょうか。
【狙われるキャンパス。】
■「早大キャンパスで覚せい剤売買容疑 密売グループ逮捕」(Asahi.com)
週末の早稲田大学(東京都新宿区)のキャンパスやネットで覚せい剤を売買したとして、警視庁と鳥取県警は、密売グループの男女8人と、客の男女17人を覚せい剤取締法違反容疑で逮捕したと10日発表した。同庁は、密売グループが摘発を逃れるため、人通りが少ない週末の早大キャンパスを受け渡し場所に選んだとみている。密売グループの取引相手に早大の学生や教職員はいなかったという。
(略)容疑者は昨年2月ごろから、土日に一般開放されている早大キャンパスを覚せい剤の受け渡し場所に指定して密売していた疑いがある。
(上記記事より)
様々な場所で覚醒剤を受け渡していたようですが、そのひとつが早稲田大学のキャンパスだったとのこと。開かれたキャンパスをこのように使うとは、許しがたい犯罪グループです。
ただ、自治を重んじ、警察が入り込みにくい伝統校のキャンパスが、こうしたグループにとって「便利で安全な活動場所」になってしまっている面もあるのでしょう。
(過去の関連記事)
■セキュリティと「自治」の間で揺れる京都大学
難しい問題ですが……。
【学内からも利息とります。】
■「東大、学内融資でも利息とります 「真の経営体目指す」」(Asahi.com)
東京大学は今年度から、大学本部が学内の学部や研究所などに貸している資金について利息をとることを決めた。国立大学の法人化から6年目を迎え、「真の経営体を目指して、内部であっても頂くものはしっかり頂く」(本部財務戦略グループ)ことにした。徴収1年目となる10年度には1800万円程度の「収入」を見込んでいる。
東大には企業や個人から教育や研究など目的を限定された寄付金が年に50億~60億円程度あり、翌年度以降に繰り越した分の累計は約300億円。年度ごとの通常の予算とは別に、これを学内資金として国債などで運用していて、学部などから施設の建築費や改修費などで借り入れ要請があった場合には、ここから貸している。これまでは無利子だったが、貸さずに運用していれば運用益が出ていたとして、それに相当する額を利息としてとることにした。
(略)田畑磨・本部財務戦略グループ長は「銀行などから借り入れれば2%以上の利息になる。今回の制度なら、大学全体にも借り入れた部局にも、メリットがある」と言う。これに対し、利息を払うことになる部局の幹部は「払うべきものは払うが、大学からはその分、十分な支援をお願いしたい」と注文をつけている。
学内でも利息をとる制度は一部の国立大ではすでに導入しているが、リーダー格の東大が導入したことで、今後、他大学にも波及しそうだ。
(上記記事より)
利息によって大学が得られる利益に加え、貸す方にも借りる方にも緊張感が生まれる、という点がメリットでしょうか。当初の利率は年0.8%ということで、確かに銀行から借りるよりは得です。
ただ、研究の抑制にならないか、という疑問も。
既に導入している大学では、どのような結果になっているのでしょう。
【大学同士の連携、こんな事例も。】
■「米テンプル大と連携協力の協定 東北公益文科大 山形」(Asahi.com)
酒田市の東北公益文科大学(黒田昌裕学長)は、東京都内にある米国テンプル大学日本校(ブルース・ストロナク学長)と連携協力の協定を結んだ。テンプル大のプログラムによる「英語のサマースクール」を公益大で実施する。
公益大で5月29日に行われた調印式で、ストロナク学長は「日本の高等教育を支援していきたい」。黒田学長は「国際的な大学になることを願っている。将来的には単位の互換や交換留学なども実現させたい」と話した。両学長は30年来の友人だという。
(上記記事より)
昨今では、国内でも様々な大学間連携が行われています。
また、海外の大学と提携し、短期留学のプログラムを設ける例も、昔からあります。
上記は、その中間にあるような事例。
国内でありながら、海外大学のカリキュラムによるサマースクールを受けられるということで、東北公益文科大学にはメリットがありそう。
将来的には単位互換や交換留学なども視野に入れているということで、興味深い連携になりそうです。
【I speak English.】
■「『英語話せるバッジ』 秋葉原の学生、街に活気を」(Asahi.com)
東京・秋葉原の大学で学ぶ学生が、英語が話せる人が一目で分かるバッジをつくり、電器店などの店員に着用をお願いしている。昨年6月の無差別殺傷事件をきっかけに、「秋葉原の街のために何かしたい」と考え、外国人観光客を手助けしようと思いついたという。
活動しているのは、05年に開学したデジタルハリウッド大学でコンピューターやデザインを学ぶ学生たちだ。(略)森さんは、デザインの授業で同じグループになった5人とデザイナー集団「ぴゅーりふぁいず」を結成。昨年11月に街頭で外国人観光客にアンケートしたところ、「道に迷っても地図に頼るしかない」「電化製品やアニメ関連商品についての詳しい話を英語でできる人がいるといい」などの意見が寄せられた。
そこで、リンゴの形の中に「I speak English(私は英語を話します)」の文字をデザインした缶バッジを作製。電器店やアニメ商品店、メードカフェなど約20店に150個を配った。費用は、秋葉原の情報を外国人に向けてインターネットで発信している会社が出してくれた。
家電量販店のラオックス本店はバッジ50個を受け取り、店員がつけている。西脇伸一店長は「誰が英語を話せるか、パッと見て分かるようになったのはありがたい」と好意的だ。
(上記記事より)
秋葉原の活性化につなげたい。
そんな意図で、「I speak English.」という缶バッジをデジタルハリウッド大学の学生達がデザインし、企業の協力によって制作。それを秋葉原の店舗に配布しているそうです。
秋葉原は、日本でも有数の、「外国人観光客が多い街」。
英語で安心して買い物ができるという評価が広まれば、より多くの観光客が訪れるようになるかもしれませんね。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。
■「東大、学内融資でも利息とります 「真の経営体目指す」」の記事中でびっくりしたのは「翌年度以降に繰り越した分の累計は約300億円」という箇所です。
先日ご紹介いただいた■「国立大学に『埋蔵金』3000億円 07年度段階」には「04年度から毎年700億~1100億円の予算が未使用のまま余り、4年間の総額は3001億円」とあわせて考えると、国立大学全体の10分の1が東大の寄付金余剰分です(東大はそれ以外の余剰金もあるでしょう)。そもそも、「総額3001億円」のほとんどが、真の意味での「金剰金」ではないですが。