いろいろな動画活用事例:チャンネルを盛り上げるのは大変

大学の動画活用事例を探しているマイスターです。

今日は、こんなサイトをご紹介します。

【今日の大学ムービー】

■日経進学Naviムービーチャンネル

■「日経進学Naviムービーチャンネル」(YouTube)

このチャンネルでは、全国の大学・短大・専門学校等の学校紹介映像を掲載しています。
※現在、順次映像をアップ中です。
(上記ページより)

その名の通り、日経進学Navi」が開設した、YouTubeの公式チャンネル。
大学の紹介映像がずらりと並んでいます。

おそらく「日経進学Navi」に広告料を支払った大学でしょう。
詳しくは存じ上げませんが、他のメディアの企画とセットかもしれません。

2009.2.12現在、413本の映像がアップされています。
複数のムービーがアップされている大学もありますが、それにしてもかなりの大学がこの企画に参加しているものと思われます。

ただ、数が多い分、1本あたりの内容は浅いです。
なにしろ、どの映像も大体20~40秒程度。
この秒数では、インパクトを与えるのは至難の業でしょう。

アップされて間もないものも多いのだとは思いますが、視聴回数ゼロとか、1回とかいった大学が少なくないのも、ちょっと寂しい感じ。
学生が撮影したのか、スタッフが撮影したのかわかりませんが、「無言のままキャンパスの様子を15秒間撮影」みたいな、動画じゃなくても良い気がするコンテンツも結構、混じっています。

もちろん、中にはキャンパスのイメージを掴む上で参考になりそうなものもあるのですが。

動画はやっぱり、大勢向けのPR映像でも、あるいはマニアックな情報でも、「とにかく深く詳細に」がいいのかなぁと、見ていて感じました。

ちなみに、本日現在の、このチャンネルの視聴回数ベスト3は以下。

■帝京大学

動画の説明文:帝京大学に興味を持っている皆さん、一緒にキャンパスライフを楽 しみましょう

■東京理科大学

動画の説明文: レシェプショニストシステム「受付嬢SAYA」

■芝浦工業大学

動画の説明文: 芝浦工業大学 豊洲キャンパス案内・・・のはずが・・・。

以上です。
これらは、結構工夫されている映像です。

でも全体的にはやはり、もうちょっと盛り上がって欲しい感じが。
今後、ドカンと話題になるような映像が出てくることを期待したいです。

ところで、盛り上がっていないと言えば、↓こんな話題もありました。

■「厚労省がユーチューブに配信 公式チャンネル開設の狙いは」(MSN産経ニュース)

厚生労働省は今月、インターネット上の動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に公式チャンネルを開設する。政策を分かりやすく伝えるのが狙い。年金、医療などの問題で批判にさらされがちな厚労省が、動画で国民に理解を得ようという試みだが、ユーチューブで政策などのPRを既に始めている他省庁では、閲覧者数の伸び悩みが課題になっている。果たして、もくろみ通りの効果は得られるか…。
(略)ユーチューブは、文部科学省、防衛省、農林水産省などが利用を始めているが、アクセス数が低調なケースも少なくない。
最も早く取り組みを始めた文科省は大臣あいさつなどを配信中。ただ予算説明といった「硬い」動画はアクセス数が1000~5000件台にとどまっている。「利用者に若い世代が多いからなのか内容によってアクセス数に差が出る」と担当者。当初の目的だった政策紹介の動画も数えるほどしか掲載できていないという。
(上記記事より)

日本の中央省庁で、常設の公式チャンネルをいちはやくYouTubeに開設したのが、皆様にとってはすっかりおなじみ、文部科学省。

■「文部科学省動画チャンネル 」(YouTube)

開設しただけでもエライ、と個人的には思います。

ただ、大臣の就任挨拶とか、芸能人や学者からのメッセージだとか、やっぱり「カタイ」コンテンツばかりで、いまひとつ、話題になる要素がない模様。
なんていうか、「先生達が職員室で考えた、学校行事のシナリオ」みたいな、寒々しい雰囲気が全体的に漂ってしまっています。
ターゲットが子供なのか大人なのか、そのあたりもいまひとつ不明確なような。

そんなわけで、上記の記事にあるように、盛り上がっていないようなのです。

ネットで映像を活用する場合、

「どうしたら見てもらえるか」
「見てもらったうえで、どんな変化を起こすのが狙いか」

…といったことを考えることが大事。
文部科学省の映像には、まだそのあたりに改善の余地があるのかもしれません。

もっとも中央省庁の場合、相手が「国民」という集団になりますし、立場上、あんまりはっちゃけたことができないという制限もあるでしょうから、民間の組織に比べて展開が難しいのは確かでしょう。
その点では、きっと大変だろうと思います。ご担当の方々の苦労をお察しします。

ちなみに、個人的に結構がんばっていると思ったのは、農林水産省がYouTubeで公開している映像。

■Ensuring the Future of Food

このように英語版が存在していたり、アニメーションを駆使していたりします。
これなら日本の学校教材としてはもちろん、海外の子供達が世界の「食」について学ぶ上でも、参考資料のひとつになるでしょう。

大臣や事務次官の会見映像も、やまほどアップされています。
「いかにもこのために用意した挨拶」というのではなく、日々、記者などに対して行っている会見の様子をそのままアップしていますので、何しろ数が豊富。
食品の偽装問題や、調査捕鯨の妨害問題など、社会的に注目されているトピックに関する公式見解を映像で見ることができます。
メディア関係者や研究者が情報を整理したりするときにも役立ちそう。

やるな農林水産省。
他の省庁にとっても、参考になる部分があるのではないかと思います。

ちなみに個人的には、中央省庁には、各種の問題について論議が進められてる「○○委員会」の様子、例えば教育審議会の個別ワーキンググループなどの様子を、ネットで配信して欲しいです。
その日の議論の要約などがネットで公開されるようになり、随分便利にはなりましたが、それでも非常に遅いです。
新聞報道から何日も経ってようやくアップされた公式サマリーを読んでみたら、報道が随分偏っていることに気づく、みたいなことがありますし。

いかがでしょうか。
ご検討いただければ幸いです。>中央省庁の皆様

ところで、ネットで映像を使う場合の良い点は、最初は盛り上がらなくても、後で少しずつチャンネル全体を盛り上げていくよう工夫ができる、というところ。

説明書きやタイトルを変えてみたり、補足の映像をガンガンアップしてみたり。
短い映像と長い映像を、試しに織り交ぜてみたり。
一度放映されたらそれで終わりのテレビなどとは異なり、ちょっとずつ改善していけばいいのです。

ぜひぜひ、細かく手を入れてみてください。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。