新入生ゼロ、通知ミス4,574人……アジアの大学受験の話題から

マイスターです。

最近、国内のシリアスな話題が続きましたので、海外の話題からいくつか変わったものを、ニュースクリップ形式で3つほどご紹介したいと思います。

【合格者少なすぎ。】
■「パトゥムワン工科大学の一部学部に入試合格者がおらず新入生ゼロ」(タイ通)

パトゥムワン工科大学ソムギアト学長は、今年工学部と建築学部で第一期募集で300人、第2期募集で200人の合計500人を募集していたが、入学試験で合格者が1人もいなかったことから、今年の新入生はゼロとなったことを明らかにした。
同学長によると、試験の平均点数が1科目当たり50点以上を合格ラインとしたが、合格ラインに達したものがいなかったため、不合格とせざるを得なかったとしている。子供の学力低下が騒がれているのは、日本のみでなくタイでも問題化してきている一例となった。
(上記記事より)

まずはこちら。
タイの大学のびっくりニュースです。

「子供の学力低下が騒がれているのは、日本のみでなくタイでも問題化してきている一例となった」
……とありますが、その後の対処の仕方が違うようです。

タイの大学がすべてそうなのかマイスターは知らないのですが、この記事を読む限り、基準点に到達しない学生は入学させない、という合格ラインが厳守されているもよう。
その結果、入学者がゼロ、という驚くべき事態に陥ったそうです。

日本では(というか日本に限らず)こういう場合、そうは言っても、試験の上位者から順番に合格を出すことが多いと思います。
なにしろ学生を入学させないと、大学が成り立ちませんし。

タイでは、そういう選抜システムと定められているのでしょうか。

500人の定員に対してゼロですから、誤差どころの話ではありません。
関係者の方々は、一体どう思っていらっしゃるのでしょうか。
感想をお聞きしてみたいところです。

■Pathumwan Institute of Technology(タイ語)

パトゥムワン工科大学は、公的な補助金を支給されている「Public University」とされていますが、完全に国によって運営されているわけでもないようです。
そうだとしたらやはり、学生がいないといろいろ困るような気がするのですけど……うーむ。

(公式サイトは、タイ語オンリーなのでマイスターには一文字も読めず……海外の方が日本の大学のサイトを見て、英語版がなかったときに味わう悲しさがよくわかりました。
タイの大学にお詳しい方、仕組みの詳細をご存じでしたらぜひ教えてください)

あ、でも「2人だけ入学」といった事態の方が、コストばかりかかって逆に困ったでしょうか。

【合格者多すぎ。】
■「科学大で受験発表ミス、不合格4,574人に『合格』通知」(マレーシアナビ!)

マレーシア科学大学(USM)が、ウェブサイト上で4,574 人もの不合格者を合格者として誤って発表する騒ぎがあった。大学側はコンピューター処理上のミスを認め謝罪したが、ぬか喜びとなった受験生や保護者らが怒りを募らてせる。
同大学は5月29日、8,173人の合格者名を発表したが、これらは最低基準を満たしたすべての受験生であり、実際の合格者はさらに絞り込まれて3,599人だけだった。大学側は翌30日午後3時頃になってようやくミスに気付いたという。
大学は合格発表と共に31日の午後5時までに入学手続きを行うよう指示していたため、急ぎウエブサイトに発表ミスがあったことを掲載し、電話や携帯電話メール(SMS)で知らせるといった措置をとった。しかし発表ミスを知らない不合格生と保護者らが入学手続きをするために大学を訪れ、初めて自分の名前が正式の合格者名簿にないことを知らされるケースが相次ぎ、入学手続会場は大混乱になったという。
(上記記事より)

こちらは逆に、不合格者に対しても合格通知を送ってしまったというもの。
こう聞くと日本でもたまに起こっていそうですが、注目すべきはその規模。

本当の合格者は3,599人なのに、間違って4,574人ばかし、余計に多く合格者を出してしまったそうです。

郵送や掲示なら、準備をしている時点で「……なんか多くない?」などと気づきそうなものですが、webサイトで表示するシステムだったそうですから、自動化されている作業も多かったのだと思います。

でも、合格を祝った方々としては、うっかりと言われても納得できないでしょうね……。
皆様も、web発表の際は、どうぞお気を付けください。

【就職悪化で大学受験者が減少。】
■「就職状況悪化で大学受験者数が減少―中国」(レコードチャイナ)

2009年5月31日、中国のポータルサイト・TOMによると、オーストラリアメディアはこのほど、中国ではこれまで大卒の学歴は良い仕事と高い生活水準を手に入れる「切符」とされてきたが、大卒者の就職状況が悪化していることなどから、大学受験者が減少していると伝えた。
中国教育部の予測によれば、今年の大学受験者数は昨年と同水準の1000万人を維持すると見られているが、中国メディアによると、全国31省・直轄市・自治区の過半数で大学受験者が減っているという。とくに受験競争が激しいとされる山東省では、今年の大学受験者数は約70万人と、10%減。上海では8万3000人で20%も減っている。
大学受験者が減少している原因は、大卒生の就職難に加え、若年層の人口が減っていることにもあり、高校の卒業生が減っているためだと専門家は指摘する。学生は大学へ進学するか、それとも学歴を必要としない職業に就くかという選択に迫られ、その結果、教育が重視されなくなってきているのだという。
(上記記事より)

最後の話題はこちら。

大学進学率が上昇し、科学技術立国を目指して国家的に高等教育に力を入れている……という点が紹介されることも多い中国。
しかし昨今では、日本と同じく、不況などの影響もあって大学生の就職が厳しいようで、その影響もあってか、大学受験者が減少しているようです。

正確には、「減少したエリアがある」でしょうか。昨年と比べて20%減少した省があるとのことですから、大変な減り方。地域による減り方、増え方の差も、気になるところです。

日本では、就職が悪化すればするほど逆に、「こんな時代だからこそ、大学に行かないと仕事がない」……と考える方も多いように思えますが、中国ではどうなのでしょう。
日本でも昨今は、学費滞納者の増加が問題になり始めていますが、家庭の収入などにもよるでしょうか。

(過去の関連記事)
■文部科学省 大学の授業料滞納、中退者数を調査

「若年層の人口が減っている」というのは、1979年に始まった一人っ子政策による影響だと思われます。
考えてみたら理屈上、中国では10年以上前から、18歳人口が減少し続けているのですね……それも、わりと計画的に。
日本の大学とは、その運営システムも、置かれている状況もかなり異なりますし、「少子化」に対する受け止め方も全然違うのでしょうね……。

以上、日常の業務の参考に……なるような、ならないような話題をお届けしました。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

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