マイスターです。
■立命館アジア太平洋大学(APU)×早稲田塾 プレ・カレッジの取り組み(1)
■立命館アジア太平洋大学(APU)×早稲田塾 プレ・カレッジの取り組み(2)
↑続きです。
↑こちらは、オランダからの交換留学生。
↑寮のラウンジにいれば大抵の国籍の人と会えてしまう環境は、国内はもちろん国外でもそうはないでしょう。
プレカレッジの間中、マイスターもキャンパス内で生活させていただきましたが、この大学に4年いたら、人生観や世界観は相当変わるでしょうね……。
ところでよく聞く話ですが、アメリカの大学などでアドミッションズオフィスが重視するのは「学生の多様性」だそうです。
例えば「白人のアメリカ人男性で、プロテスタントで、進学校を出たばかりの若者」なんて人で、優秀な方は、アメリカにはたくさんいると思います。
ただ、そんな学生ばかりを入学させると、大学は非常に単一的な、変化のない環境になってしますでしょう。
授業でディスカッションをするにも、友人と過ごすにも、「まったく違った価値観」にもとづく意見は出てきにくくなります。それでは、学生は成長しません。
そこで、意図的に様々なバックグラウンドを持った学生を入れるというわけです。
例えばアメリカのアイビーリーグには、日本人学生は比較的入学しやすいといいますが、それは日本人がもともとアイビーリーグに少ないからです。
あるいは、アメリカで暮らしていてはなかなか接点がない、アフリカやアジアなどで生まれ育った学生や、アメリカの中でも社会的にマイノリティとされるような方々をなるべく入れるようにしているそうです。
アメリカの名門大学、とくにリベラルアーツカレッジと呼ばれる学士課程の段階では、社会的にリーダーシップを発揮できる人材の養成をコンセプトにしているところが少なくありません。
そこでは、全く違う考え方に触れたり、ときに価値観が衝突したりしながら、多様な方々とコミュニケーションをしていく環境が望ましいとされているわけです。
APUの発想も、まさにこの「多様性」だと思います。
現在、APUで学んでいる国際学生で最も多いのは中国・韓国の出身者ですが、この両国からの学生に偏ってしまうと多様性が失われるため、敢えて「今の割合以上には増やさない」方針を打ち出しているそうです。
そのため両国の学生のレベルは上がり続け、例えば韓国の学生では、TOEIC900点以上持っているような学生でも奨学金が出せないという事態も出ているとか。
他の国々から来ている学生達も、かなり優秀な方々。
マイスターが今回会った学生にも、母国の医科大学で学んだ後、APUに来たという方などがいました。
ここまでの多様性を持った環境を日本国内に、それも別府に作り出した大学関係者の方々には、敬服します。
何しろ、開学前は誰もこんな大学が本当にできると思っていませんでしたし、業界の方々も絶対に失敗すると想像していたのですから。
↑学食で見た風景ですが、この環境に一度来ただけで、「おおっ」と思う受験生や、高校関係者は少なくないのでは。
ただ「別府だから……」ということで、足が遠のいているという面はあると思います。
実際には、東京などの大都市圏でないからこそ実現できた大学だと思うのですが、大学関係者にとっては、なかなか相手に理解してもらうのが大変なところでしょう。
(この点、同じように悩んでいる大学は、少なからずあると思います)
「どうして日本の高校関係者は、もっとこの大学に注目しないのだろう」
と個人的に思う大学は、いくつかありますが、このAPUもそのひとつです。
ヘタに留学するよりも、APUで学ぶ方が良いというケースだってたくさんあると思うのですが。
高校生の調査も、そんな多様な環境の中で進められました。
↓各国からの国際学生に対して、自分がこれまで受けた教育はどんなものだったか、ということを、アンケートやヒアリングで調査している様子です。
みなさん、真剣に回答してくださいました。
本当に、ありがとうございます!
最初の記事でお伝えしたように、今回のプレ・カレッジ講座は、別にAPU入学者のためのものではありません。
他の大学に入学を決めている高校生も参加しています。
個人的には、むしろ他大学に進学する人に、このプレ・カレッジ講座を受けて欲しいと思います。
講座のラインナップの方も、APUだけでなく、国内外の様々な大学に拡げていきたいです。
(現時点では3月、アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校で、プレ・カレッジ講座を行うことが確定しています)
現在、日本の大学・短大への進学率は、5割を超えました。
大学で学ぶということの意味は、一昔前と比べても、大きく変わってきています。
大学に行ったからといって、就職が約束されている時代でもありません。難易度が高い大学に入れたら、大企業に入れるなんて保証もありません。まして、有名な会社に入れたら、その後もずっと安泰なんていう時代でもありません。
そんな時代にあって、大学に進学するというのはどういうことかということを、感じ、考えて欲しいのです。
それぞれの大学に進学すれば、それぞれの環境が待っています。大学にはみんな、違った環境があり、それぞれに魅力があるでしょう。
ただ、そんな大学の環境の持つ力に、大学生の多くは、気づいていません。気づいたとしても、3年生、4年生になってからだったりします。
それに、自分がどこまでやれるか、ということにも、多くの高校生はまだまだ気づいていないと思います。
例えば、まったくバックグラウンドの異なる人と英語でコミュニケーションをとる。自らテーマを設定し、研究を進める。アカデミックなディスカッションをする。
これらのいずれも、高校生なら、「自分には無理だ」と思ってしまう人が多いのではないでしょうか。
でも実際には、飛び込んでやってみたら、四苦八苦しながらも、案外できてしまうものなのです。
もちろん、逆に「楽勝だと思っていたけれど、やってみたらその大変さに気づいた」とか、「思っていた以上に何もできない自分に直面し、悔しくなった」なんてことも多々あります。
それはそれで、得難い経験。今後の成長のタネになるはずです。
そんな様々な気づきを持って、自分の大学に進学し、今後の4年間を過ごして欲しい。
それが、私達が考える、プレ・カレッジ講座です。
合格してから入学までの期間。
資格を取ったり、TOEFLやTOEICなどの勉強をするのに時間を使うのも良いでしょう。
(早稲田塾のプレ・カレッジ講座にも、そういったカリキュラムはあります)
ただ、こんな風に、学びそのものを見直す刺激を受けるのも、悪くないと思いませんか?
まだまだ始動したばかりで手探りの状態ですが、これから学術の海に飛び込む高校生達のために、色々な大学と連携しながら充実したカリキュラムを作っていければと思います。
最後に。
↓プレゼンテーション後、APUの授業を聴講させていただきました。
アジア太平洋マネジメント学部の「国際貿易論」で、すべて英語で行われる授業です。
さながら、アメリカの大学のような風景。
貴重な体験ができました。
APUの皆さん、ありがとうございました!
以上、マイスターでした。
※プレ・カレッジ講座にご興味のある方、詳しいことをお知りになりたいという方は、本ブログ右の欄に掲載されているメールアドレスにご連絡ください。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。