マイスターです。
不定期で、大学の動画活用事例をご紹介しています。
■大学の動画活用事例:日本大学 学生による番組アーカイブをYouTubeでも配信
↑以前の記事で、「学生さんがアナウンサーとして登場する映像は、他の大学はあまり流していないと思います」と書きましたが、他にもありました。
これまでにご紹介したものとは、またちょっと違った雰囲気の映像です。
【今日の大学関連ムービー】
というわけで、こちらは、九州国際大学の映像です。
YouTubeの映像ですが、↓こちらでも視聴することができます。
■「KIUブログ [動画News] 九国YaHo!! 本日よりスタート!『九州学生女子駅伝』」(九州国際大学)
なんだかほのぼのした感じのこの映像は、学生さんや大学スタッフの方の手作りによるもの。
番組の終わりで、スタッフロールがちょっとだけ流れますが、
監修:大学事務スタッフの方
メインキャスター:4年生の方、1年生の方
カメラ:4年生の方
レポーター:4年生の方
以上
……と、5人だけでつくっておられるようです。
プロではないので、カメラワークや説明、編集等々、色々と突っ込みどころはありますが、「自分達で番組をつくって情報を発信してみよう!」という姿勢が素敵です。
ちなみに番組の中で登場するコメンテーターは、監修もされている大学スタッフの方が務められています。
マイスターが、「大学の動画活用」をブログでご紹介させていただこう、と考えたときに最初にイメージしたのは、実はこういった映像でした。
大学の中には、実は色々な素材があります。
学術研究の成果や、学生の課外活動、授業の様子、スポーツの活動などなど、コンテンツのタネになるものを挙げていけば、キリがありません。大学の日常の中には、高校生の興味をひく要素がたくさんつまっているのです。
マイスターも、大学に勤めていたときにはあまりそういった認識がなかったのですが、離れてみてそれがよくわかりました。
ただ、そのタネを実際にコンテンツの形にすることと、それを流通させることが、大変なのだと思います。
以前から、大きくて資金力のある大学は、それをプロの力で立派なコンテンツにして、ビデオやDVDにして配ったり、学内で流したりしてきました。ただこれにはお金がかかりますから、どの大学でもできるわけではありません。
それに仮に立派なコンテンツを作ったとしても、視聴してもらうのが大変です。様々なところに置いておけるパンフレットと違い、映像は、それを流すメディアがないと力を発揮しないからです。
(パンフレットにDVDなどを挟み込む大学もありますが、どうも、あまり見られていないような)
そんな中、お金や手間をかけずに映像を配信できるようにしたのが、YouTubeなどの動画配信サイト。
これまでの常識で考えれば、タダみたいに安いコストで映像を配信できます。
映像を配るのにお金がかかっていた時代には、もったいないので、気合いを入れた映像をしっかりと作り込み、それをVHSテープやDVDに詰め込んで送り届けていましたが、映像の配信コストがほとんどタダなのなら、その必要もありません。
手作りの映像ですら、好きなときに好きな頻度で配信できてしまうのです。夢のような時代です。
大学には、様々なスキル・関心を持った学生がいますし、教職員には情報システムに通じた方も少なからずおられると思います。そんなマンパワーと、今の機材を持ってすれば、手作り番組だって簡単にできてしまうのですから、
「まずは配信してみよう。やりながら、理想的なあり方を考えよう」
……というくらいの姿勢でも良いのではないかと、九州国際大学の映像を見ていてマイスターは思うのです。
最初はぎこちない部分があっても、やっていくうちに映像制作にも慣れてくるでしょうし。
それに知識・情報と、熱い若者達が集まる大学が、業者にばかり頼るというのも、芸がないではないですか。
テレビ番組のように洗練されていなくても、視点の面白さや勢い、そして楽しんでつくっている感じが伝わってくれば、見ている方は楽しめると思います(そういった映像も好意的に受け取ってもらえるのが、企業にはない、大学という組織の特権です)。
それに大学の映像広報の場合、受験生に対するPRも意識されていると思います。であればなおのこと、「自分も一緒につくってみたい」と思えることの方が、編集の完成度よりも重要だという場面だって、あるかもしれませんよ。
そんな風に勢いとやる気だけで映像による情報発信ができるのが、動画投稿サイトのすごいところ。
大学の皆様には、そんな形で動画投稿サイトをどんどん活用してみてほしいと思います。
ところで話はかわりますが。
今回ご紹介した九州国際大学ですが、こちらの「KIUブログ」は、大学のブログ活用事例として、非常にうまくいっている取り組みだと、マイスターはいつも思っています。
■「KIUブログ」(九州国際大学)
大学が開設したブログには、「入試課ブログ」「○○学科ブログ」「図書館ブログ」のように、部署ごとに運営されているものが少なくありません。入試課のブログと広報課のブログが分かれていたりするケースもあります。で、やり方次第ではこれも良いのですが、ちょっと注意が必要です。
例えば入試課のスタッフの方が更新する「入試課ブログ」の中には、本当に入試の情報しか掲載されていないものが少なくありません。例えば入試や説明会の開催日程発表や、新しい入試方式の説明などです。
しかし、そんな重大情報はブログ形式ではなく、他の形で公表すればいいことです。それに受験生だって、いち大学の、それも入試のことだけしか載っていないブログを、そこまでチェックはしないでしょう。
第一、部署ごとにブログを運営するというのは、いかにも「情報を出す側」の都合という印象。関係者は、すべてのブログを毎日ぜんぶチェックしなければならなくなり、不便です。
それでなくても大学キャンパスには、色々なところに部署ごとの掲示板があったりします。しかも更新頻度もそれぞれで、どの貼り紙が新たに貼られたのかも、自分で目を皿のようにしてすみずみまでチェックしなければ気付けません。見落とした場合は、「見落とした方が悪い」ということになります。
九州国際大学の場合は、ずっと前から、大学全体の色々な部署の方が一つのブログに乗り合いしているスタイルをとっています。
「このブログ一つをチェックしておけば、大学内の色々な活動が日々感じられる。大学生活で必要な情報も一通りアタマに入る」という形式。
結果的に、多くの関係者が、自分に直接関係のある情報・ない情報も含めて、このブログに日々目を通すでしょう。
全部門乗り合いのブログなら、あらゆる部門の情報が一元化されます。定期的にチェックしていれば、学生や教職員も、学内の情報を漏らすことがありません。とても便利で、親切です。
こんなブログの基礎があった上で、前述の映像番組を配信するわけですから、少なくとも学生や教職員などの学内関係者には確実に視聴されるでしょう。
九州国際大学では、学内への情報共有文化が浸透しているのだと思います。
ちなみに、大学のトップページに掲載される新着情報も、全部ブログに一元化されたようです。
これは一番無駄がありません。
発信する方も、「これが大学の公式情報」という意識を持って臨むことになりますので、あらゆる情報をブログに入れるでしょう。
学内向けの情報共有にお悩みの大学の方、ぜひご参考に。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。