◆大学がどんなによい教育の取り組みをしても、残念ながら学生募集にはほとんど影響がない。
◆学部名称変更のような、表面的な部分を変えることでしか、受験生は動かない(→670種類の学位という、ガラパゴスな大学教育に)。
◆そもそも、進路を選ぶには何を見て、何を考えれば良いか、と考えさせる機会が、高校までにほとんどない。
◆高校生はいまだに「偏差値」や「聞こえの良い大学、学部学科」で進路を選ぶことが合理的と考えている(→大量のミスマッチも)。
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◆大学がやっている教育の本質を、高校生のリアルな「進路選び」「志望校選び」に繋げる取り組みが必要だ。
自分は、上記のような問題意識を持っています。
その問題意識の詳細は、『看板学部と看板倒れ学部』などの著書でも、あるいは様々な方の前でお話しさせていただく機会でも繰り返し、自分なりに訴えてまいりました。
でもこれは、自分だけではなく多くの方が同様に感じておられることなんじゃないかと私は思います。
大学の真摯な取り組みを、学生募集に繋げたい。
大学と高校生との相互理解を、広報や入試の中で深める仕組みを作りたい。
それが、学生と大学とのミスマッチを減らすことにもなり、結果的に双方のメリットに繋がるはず。
……といったことを考えている人は少なくないと思うのです。
でも、論じるのは容易く、実践は大変です。
そこで先日、Facebook上に「これからの大学広報・高大接続実践研究会」というグループを立ち上げました。
■「Facebooグループ:これからの大学広報・高大接続実践研究会」
(「非公開グループ」の設定にしてありますので、投稿される内容は、グループメンバーしか見られません)
この会の趣旨を、グループページから引用します。
【こんな動機でつくられた場です】
高校生の二人に一人が四年制大学に進学する、大学ユニバーサル化時代。
これまでなら進学しなかった層も、当たり前に大学教育にアクセスする社会となりました。大学が大きな転換期を迎える中、高校生が大学や学部・学科を選ぶプロセスも少しずつ変わり始めています。
高校在学中から、大学教員の模擬授業を受ける機会を得る高校生は増えました。
オープンキャンパスなど、大学に触れるチャンスも、10年前とは比較にならないほど増加しています。
定員充足率や退学率、標準年限卒業率などの情報公開も進んでいます。一方で、進学について十分な目的意識を持たないまま大学を選び、ミスマッチを起こす学生はまだまだ少なくありません。
むしろ、より深刻になっているという声も聞かれます。高校には「難関」と言われる有名大学への進学実績を向上させるというミッションがありますし、大学には志願者「数」を少しでも上げ、偏差値に代表される受験難易度を維持・向上させるというプレッシャーがあります。
高校生と大学との相互理解を深めるプロセスの構築、理想的なマッチングを行う入試。
これらについて理想論・べき論を語ったり、高所から分析を行ったり、政府や文科省など他の誰かのせいにしたりするのは簡単です。
でも、地道な実践を積み重ねるのは、大変です。この研究会は、こうした「これからの大学広報や、高校生と大学の接続」について、「自分」を主語に、実践を通じて試行錯誤する方のための場としてつくりました。
小さなことでもかまいません、実践のために役立つ情報、素朴な疑問や質問、報告、アイディアの提案など、実践者の立場で情報交換をしましょう。
このような趣旨の研究会グループです。
Facebookの「友達」を中心に告知をしたところ、立ち上げたその日に、メンバーは100人を突破。現在、158人の登録者がいます。
大学職員、大学教員。
高校教員。
新聞や雑誌などのメディア関係者。
ジャーナリストの方。
教育情報サービスを提供したり、大学のパンフレットやウェブサイトの制作に関わったりしている民間企業の関係者。
人材育成に携わるNPOの関係者。
中央省庁の方。
実に多様なメンバーが、様々なトピックに関して、情報や意見の交換を行っています。
この研究会は、オープンな交流・議論・提案の場です。
ただし「実践」の2文字を大事にしたいと思います。議論のための議論は、他のところでも行われています。
他の誰かのせいにしたり、他の誰かをアテにしたりする場ではありません。
自分にできることを探しているメンバーのための場です。
研究会への参加は、承認制になっています。
この実践研究会にご興味をお持ちで、かつこのような趣旨にご賛同いただける方は、Facebookにて、以下2名のいずれかに、直接メッセージをお送りください。
本研究会では、Facebook上での交流のほか、議論の盛り上がりに合わせてセミナーやシンポジウムなども行っていきたいと思います。そのために、事務局も設けました。
ここでのやりとりの中で、新しい実践がひとつでも生まれたら素敵だと思っています。
その一歩一歩が、結果的には周囲の人を変え、教育を変えていくのだと思いませんか。
ご参加、お待ちしております。