『週刊ダイヤモンド』が9月29日号で、「大学全比較」という特集を組んでいます。
<仁義なき生き残りバトル>
<第一志望の学生獲得ツール 「AO入試=バカ」の誤解>
……という2つの項で、倉部のコメントを載せていただいています。
<仁義なき生き残りバトル>
……では、立教大学経営学部の取り組みをご紹介しています。
『看板学部と看板倒れ学部』でも書かせていただいたのですが、日本の大学ではいま、「国際○○学部」や「グローバル○○学部」といった組織を立ち上げることが流行しています。
そこでは、英語「で」様々な教育を受ける体制が用意され、留学も積極的に勧められています。
これは、日本の大学が世界を意識し始めたという点では、素晴らしい一歩です。
その一方で、こうした国際系学部の台頭は、日本の大学の限界も示しています。
グローバル社会の到来が避けられないものなのであれば、国際系学部を設け、キャンパスの限定された範囲だけを国際社会にするのではなく、工学部などの理系も含めた大学全体を国際化して然るべきだからです。
まして、世界から見た日本の強みは、「ものづくり」や「企業のマネジメント」です。
日本式のマネジメントには色々と見直すべき部分もあるのでしょうが、それでもやはり世界中の、特に開発途上国の人々にとっては、今でも学ぶべき価値のあるものと評価されています。
しかし実際には、英語で専門の授業を行ってくださいと言われ、対応できる大学教員は、そう多くありません。
英語が使えた上で世界の学生をうならせる授業ができる教員となると、全体のごくわずかでしょう。
国際化という点と、教育環境の水準という二点において、まだ日本の大学は、アメリカのそれに遠く及びません。
特区としての「国際系学部」を立ち上げなければならない背景には、そんな現実もあるわけです。
そんな中、立教大学経営学部は、世界で活躍できるビジネスリーダーの育成をミッションに掲げている点で注目すべき事例だと私は思います。
<第一志望の学生獲得ツール 「AO入試=バカ」の誤解>
……では、東京工業大学や東北大学、慶應義塾大学など、日本を代表する難関大学のAO入試での取り組みを紹介しています。
未だにAO入試=「学力がなくても入れる入試」という前提で書かれた文章や議論を、しばしば見かけます。
ただ、そのように考えている方々の中で、上で挙げたような大学が実際にAO入試でどのような問題を受験生に課しているのか、自分の目で確かめた人はほとんどいないでしょう。
もしも試験の内容を見ていたら、AO入試=「学力がなくても入れる入試」とは考えないんじゃないかな……と私は思うからです。少なくとも、「AO入試にも色々ある」「一概に学力が低いとは言えない」とは感じるはずです。
実際の試験問題や選抜プロセスを知れば、そこにむしろ、リーダー獲得のための戦略を感じ取る人もいるでしょう。
志願者が殺到するような、一般入試での難関大学はAO入試でも難関でしょうし、AO入試を安易な学生募集の手段として使うような定員割れの大学は、一般入試でもまず落ちることはありません(センター試験利用入試を例に取ると、センター試験の得点が2割台でも合格させるような大学だって世の中にはあります)。
これは考えてみれば当たり前のことです。
でも「AO入試はとりあえず批判すべきもの」という思い込みが広がりすぎた結果、一種の思考停止状態を招いているケースもあるように感じています。
「これからの社会に求められる学力って何だろう」と考える上で、難関大学のAO入試は格好のテーマ。
今回の誌面では、東京工業大学、および慶應義塾大学法学部のAO入試の試験問題も掲載されています。
また東北大学や慶應義塾大学法学部など、AO入試に積極的な大学の、関係者へのインタビューも多くの方にとって参考になると思います。
よろしければ、ご覧ください。