大学の広報活動を、いつもウォッチしています。
電車の中吊り、パンフレット、Webサイト。
最近なら、twitterやfacebookといったソーシャルメディアも、各大学がこぞって導入しています。
高校訪問やオープンキャンパスなどのリアルな接点づくりも、大学広報には欠かせません。
効率良く、効果的に目的を達成するためにはどうすれば良いか。
大学に限らず、広報・PR担当者の、永遠の課題ですね。
そんな中、大学の広報活動に映像を使う取り組みも、かなり前から進められてきました。
激化する学生獲得競争の中、少しでも相手に自校を強く印象づけたいという事情によるものでしょう。
ただ残念ながら、大学がyoutubeにアップしている公式映像は大抵、面白くありません。
せっかく映像を使うなら、センスの良さだとか、インパクトの大きさだとか、あるいは動画でなければ伝わらない情報を伝えるとか工夫が欲しいところですが、それもありません。単調なナレーションとともに、大学パンフレットと同じような説明が流れるだけのものばかりです。
これは、もったいない。
これまで個人的に見てきた中では、以前の記事でもご紹介しましたが、イェール大学の大学紹介映像が、出色の出来です。
■That’s Why I Chose Yale
ハーバード大学と並ぶアメリカの名門、イェール大学のアドミッションズ・オフィスが制作したもの。同大の魅力を、受験生達に知ってもらうための映像なのですが、まさかの全編ミュージカル調という演出が、業界で話題になりました。
しかも脚本、作曲、総合プロデュースを行ったのは、イェール大学を卒業し、実際に同大のアドミッションズ・オフィスで働いているスタッフ。劇中の俳優や歌い手など、制作に関わったスタッフも、ほとんどイェール大学の卒業生で構成されているというこだわりようです。
ほか、これまでにブログでご紹介してきた過去の大学ムービーについては、↓こちらでご確認ください。
■「動画を活用する大学の事例」
上記の「That’s Why I Chose Yale」を上回るインパクトの大学広報映像を、ずっと探しています。
探している間に、上の「That’s Why I Chose Yale」によく似た、「Why Did I Choose Yale?」というタイトルの映像を見つけましたが、
■Why Did I Choose Yale?
……こちらは、「On Harvard Time」という、コメディニュースを制作しているハーバード大学の学生団体がつくったものでした。
「なんでイェール大学に入っちゃったの?」というタイトルの通り、イェール大学をおちょくるパロディ映像です。上の元ネタを見た後で見ると、これはこれで確かにちょっと面白い。
このように、学生がアップしているバカで面白い映像はたくさんありますが、大学の公式映像で、ユニークなものはなかなかないのです。
そんな中、インパクトがある事例をようやくひとつ見つけましたので、ご紹介します。
既にfacebookやtwitterなど、一部で話題になっているようですが、まだご覧になっていない方は、ぜひ、まず見てみてください。音声が出ますので、職場でご覧になる方は、ご注意を。
■「MEDIA PRACTICE 2011-2012 東京藝術大学大学院映像研究科|メディア映像専攻|年次成果発表会」(東京藝術大学大学院映像研究科)
……イェール大学とは、また違ったベクトルのインパクトがあります。
東京藝術大学大学院 映像研究科は、2005年に芸大が設置した、学部を持たない独立大学院です。
映画専攻の開設当初、映画監督の黒沢 清氏や北野 武氏が教鞭を執るということもあり、話題になりました。
■東京藝術大学大学院映像研究科
2006年に設置された「メディア映像専攻」では、「外部との接点をつくる」という主旨で、各年度末に総合的な展示イベントを実施しています。それが、上記の年次成果発表会です。
公式なイベントの告知として、大学サイトに掲載されているものですから、公式なコンテンツと呼んで差し支えないかと思います。企業のキャンペーンサイトなどでは、こういうインパクト重視のコンテンツもつくられますが、大学の公式ページでは珍しいです。
少なくとも、たった数日の学生の成果発表会の告知のために、わざわざオリジナル曲の作曲までするというのは、前代未聞だと思います。
このイベントの性質上、上記のサイトで使われている映像も、学生さんが制作された映像だろうと思うのですが、さすがメディア映像専攻。facebookやtwitterで話題になっているあたりも、当然、狙ってのことでしょう。
この独特の、脱力系な歌と映像は、つい誰かに伝えたくなるインパクトにあふれています。
流れる歌を聞いていると、行かなきゃいけないような気になります。
ふとメディア映像専攻の教員リストを見たら、佐藤 雅彦氏が在籍しているんですね。
なんとなく納得しました。
「映画専攻」の学生だったら、たぶんこういう映像はつくらないでしょう。
結果的に、それぞれの専攻の違いもなんとなくわかりました。
この映像ひとつで、この専攻に興味を持つ人、上記の発表会に行きたくなる人は、大勢いると思います。
その点では、効果的な映像の使い方だと思います。
このようなユニークな大学関連の映像を、常に探しています。
ご存じの方は、自薦他薦問わず、ぜひ倉部までお知らせください。
このブログで紹介させていただきます。
東京芸大大学院の映画関係の学科での、卒業制作の上映会に行ったことがあります。
本当にプロ並みの作品ばかりでした…。