クリスマスシーズンの、大学の取り組み

メリークリスマス。

たいていの大学は土曜日も授業をやっていますから、大学生の皆さんも、教職員の皆様も、今日はキャンパスにいらした方が多かったのではないでしょうか。

でも今日のような特別な日は、キャンパスもイルミネーションに飾られていたり、特別なイベントをされていたりしますから、楽しいですよね。いつもと少し違うキャンパスは、歩いているだけでも何だかウキウキします。

中でもキリスト教系の大学は、クリストマスツリーの点灯や礼拝などで、一般の方々が多数キャンパスにいらっしゃるというケースも多く、皆さん相当に気合いの入ったイベントを用意されています。

あるミッション系大学の職員の方が、
「準備などは大変ですが、ここで目立たなくてどうしますか
……と話していたのを思い出します。

大学が行うイベントは、「クリスマス」という冠がイベントに着いていても、実際にはその少し前に行われることも多いようですね。今年のクリスマスシーズンにはどんな取り組みがあったのかな、と思って、色々とWebで調べてみました。

やはり、キリスト教に関わりがある大学は、とても熱心です。
彼らにとってクリスマスは、ただのお祭りイベントではなく、アイデンティティーに関わる大事な日。
特設サイトをつくるなど、PRにも力を入れています。

■「立教大学 クリスマス実行委員会 公式ウェブサイト」(立教大学)
■「キリスト教文化センター:クリスマスイベント」(同志社大学)

↓立教大学は、なぜか楽天トラベルの「イルミネーション特集」でも紹介されていたりします。

■「立教大学 クリスマスイルミネーション」(楽天トラベル)

「地図・周辺の宿」などといった情報も併記され、ほとんど観光地のような紹介ぶり。
↓同志社大学も、京都に関する情報サイトで紹介されていました。やっぱり、多くの方々が楽しみにしているんですね。

■「イベントカレンダー:同志社大学 クリスマスイルミネーション(今出川校地)」(DiGi Style京都)

↓クリスマスツリー点灯祭の様子を、動画で紹介している大学もありました。

■「2011聖学院大学クリスマスツリー点火祭(11/30)」(YouTube)

↓明治学院大学では毎年、協働連携先である長野県小諸市の小学生を、キャンパス内のクリスマスツリー点灯式に招待しています。

■「2011明治学院大学「クリスマスツリー点灯式」に東小学校6年生が参加しました。 」(小諸市)

市内の小学校が、その年ごとに交代で招待されているようです。明治学院大学の学園祭「’08白金祭」で小諸市をPRする場があるなど、何かと密接に連携している様子。
『小諸なる古城のほとり』、『千曲川のスケッチ』など、小諸市にゆかりの深い島崎藤村が、明治学院の第1期卒業生だという縁からだそうです。

ミッション系以外の大学でも、クリスマスツリーやイルミネーションのライトアップをされている大学は、たくさんあるようです。あまりに多すぎて、さすがにご紹介しきれません。
なお、「まさか」と思い、一応、仏教系大学のサイトをいくつか見てみましたが、さすがにキャンパスにツリーはない様子でした。

クリスマスに関連したオープンキャンパス(!)を実施する大学もあるようです。

■「2011信州豊南短期大学-クリスマスオープンキャンパス12/17(土)開催」(信州豊南短期大学)

メリークリスマス!!
間もなくクリスマスがやってきます。街のあちらこちらにもイルミネーションが飾られ、クリスマスムードが盛り上がっています。

HONANでも今回クリスマスオープンキャンパスを開催することにしました。
もちろん 言語コミュニケーション学科、幼児教育学科のカリキュラム、資格取得、短大生活など、詳しくお知らせしていきます。
また受験生の皆さんには入試の説明相談をさせていただきます。
もちろんケーキも用意いたします。

ちょっと早いクリスマス会ですが、ぜひお出かけください!!
(上記ページより)

クリスマスケーキまで出るオープンキャンパスです。

最初、「なんでわざわざクリスマスに」と思いましたが、「クリスマスのイベント」と合同で行う事で、参加するきっかけを少しでも増やそうという取り組みなのでしょうね。

この仕掛け、ミッション系大学の皆様も導入されてみてはいかがでしょう?
宗教的な教義や、建学の精神に関する講演などを合わせて企画されれば、その大学の本質を知ってもらう良い機会になると思います。

東大も、クリスマスイブに女子高生向けの説明会を開催したようです。

■「東京大学:クリスマスイブに女子高生向けの説明会開催」(毎日jp)

女子学生の増加策に力を入れている東京大はクリスマスイブの24日、女子高生向けの説明会を開く。8月に開催予定だったオープンキャンパスが夏の節電対策の影響で12月にずれ込んだのに伴って設定された。集まり具合が懸念されたが、募集定員800人は申し込みの受け付け開始から1日で埋まる盛況ぶり。東大は「クリスマスデートは説明会に出た後に」と話している。
(上記記事より)

こちらは、「予定がずれ込んだ結果」の本日開催のようですね。
(どうでもいいんですが、最後の一言は余計な気がします。対象が男子高校生だったら、こんなことは絶対に言わないでしょうから)

クリスマスに関連して、地域のイベントなどに参加される学生さんも多いようです。

■「段ボールで大クリスマスツリー 福井工大生がアオッサに」(福井新聞)

福井工業大学デザイン学科の「クリスマスツリープロジェト」が17日、福井市のアオッサで行われた。絵やメッセージが描かれた色とりどりの25センチ四方の段ボール紙約300枚が組み合わされた、高さ約3メートルのツリーがお目見えした。
同学科のギャラリーが11日、アオッサ2階にオープンしたことに合わせて行った。事前にアオッサの来場者や保育園児らに段ボール紙を配り、絵やメッセージを書いてもらった。
(上記記事より)

上記は、デザイン学科という専門を活かした取り組みですね。
一般の方々にも参加してもらうアートの取り組み、学生さんにとっても良い経験になりそうです。

■「学生サンタがプレゼント クリスマス電車…滋賀」(読売オンライン)

信楽高原鉄道の信楽―貴生川(いずれも滋賀県甲賀市)駅間で10日、サンタ列車の運行が始まり、乗客の子どもらがひと足早くクリスマスの雰囲気を楽しんだ。
14年目で、滋賀大教育学部(大津市)とびわこ学院大(東近江市)の学生たちが、サンタ役を務める。初日は同大学の山本文菜さん(20)と相原怜奈さん(20)がサンタクロースの衣装を着て、子どもたちにプレゼントのマグカップを手渡したり、乗客と一緒にクリスマス曲を歌ったりした。
(上記記事より)

14年目という継続的な取り組み。
ここまで来ると地域に溶け込み、もはやこの時期の風物詩のように、市民の皆さんも楽しみにされているのではないでしょうか。
びわこ学院大学も、教育福祉学部子ども学科を持つ単科大学。教育を学ぶ学生さんにとっては、実習を兼ねた地域貢献になりますね。

■「絢子さまも寸劇で交流 園児招きクリスマス会 東金・城国大」(ちばとぴ)

 東金市求名の城西国際大学は21日、市立東金幼稚園の園児約40人を東金キャンパスに招き「子どもクリスマスパーティー2011」を開いた。中国からの留学生らが踊りを披露した他、同大福祉総合学部子ども福祉コース3年で、高円宮家三女の絢子さま(21)も寸劇に参加され、子どもたちと交流した。
同パーティーは、同大福祉総合学部子ども福祉コースの学生が中心となって毎年開催しており3回目。
(上記記事より)

こちらは、福祉を学んでいる皆様の活動。
子ども達が喜ぶ様子が目に浮かぶようです。

■「こども医療センターで39年、芸大生のクリスマス音楽会開催/横浜」(カナロコ)

横浜市南区六ツ川2丁目の県立こども医療センターで20日、東京芸大の学生やOBらによるクリスマス20+ 件演奏会が開かれた。学生有志で受け継いできたもので、今年で39回目。約50人の学生らが、病気や障害で入院・通院している子ども約50人を前に演奏を披露した。
(上記記事より)

なんと39年。こちらも長い取り組みです。
過去には、この演奏会がきっかけで音楽が好きになり、退院後に音大に入った女の子もいたのだそうです。

子ども達のために音楽を運ぶ、この取り組み。
医師にだってできないことでしょう。
こうした活動に関わることで、芸術が持っている力を、実感された学生さんも多いのではないかと思います。

被災地を始め、東北地方の震災被害に絡めた取り組みをされている学生さんも、多かったようです。

■「避難の子どもたちにクリスマス 福島大生がパーティー」(asahi.com)

東京電力福島第一原発事故で仮設住宅に避難中の小中学生を訪ね、勉強の手助けや遊び相手をするボランティア活動を福島大学の学生が続けている。17日はキャンパスに子どもたち60人を招待してクリスマスパーティーを開いた。ゲームやごちそうで盛り上がった子どもたちは、サンタのプレゼントに歓声をあげた。
(上記記事より)

福島大学では教師をめざす学生を中心に、160人が仮設住宅や避難所を訪問。子ども達の勉強を教えるなどの支援を行っているそうです。
国や自治体が支援できることは限られています。こうした取り組みが果たしている役割は、大変に大きいものでしょう。

関係者のご努力には頭が下がるばかりですが、同時に、この活動に取り組まれた学生の皆さんが卒業後、教育の現場に立つのだということを、いち市民として非常に頼もしく感じます。

■「九州産業大の学生たち「希望のあかり」活動 手作りねぶたで激励」(東海新報社)

福岡県福岡市の九州産業大学による「希望のあかりプロジェクト」は20日から4日間、陸前高田市内で展開された。学生らが被災地を励まそうと手作りしたねぶたが披露され、昔話「さるかに合戦」を上演。復興を願うあかりを通じて、地域住民らと交流を深めた。
(上記記事より)

■「クリスマス礼拝、被災地復興願い 北九州市」(asahi.com)

西南女学院大学・短期大学部(北九州市小倉北区)のクリスマス礼拝が15日、同区の北九州ソレイユホールであった。東日本大震災被災地の復興を願い、聖歌隊が賛美歌を歌い上げたり、ハンドベル隊が美しい音色を響かせたりした。
(略)ハンドベル隊はチェルノブイリ原発事故を経験したウクライナの民謡を演奏した。4年の山口綾さん(21)は「被災地のことは忘れないという思いで演奏しました」と話した。
(上記記事より)

遠く離れた場所であっても、「何かできないか」と行動する学生達です。

学生の活動というのは、たぶん本人達が思っている以上に、大きな影響力を持っています。
彼らが支援しようとしている方々だけでなく、学生の周りにいる大人達の心も動かすからです。

こうして色々と調べてみた自分もその一人ですが、上でご紹介した様々な取り組みの中で、学生の活動に触れ、「彼らを見習おう」と勇気づけられた人は、たくさんいると思います。

最後に、明治大学の、こんな取り組みをご紹介します。

■「【震災復興支援センター】岩手県大船渡市でクリスマスツリー点灯式を開催しました」(明治大学)

明治大学は12月5日(月)、岩手県大船渡市の津波の被災地域にクリスマスツリーを設置しました。

毎年、明治大学では地域連携先の群馬県嬬恋村のモミの木を使ったクリスマスツリーを駿河台キャンパス・リバティータワー内に設置していましたが、今年は被災地の一日も早い復興と、被災された方々の平常な生活を願って、大学内ではなく学生が大船渡で復興支援活動を行う拠点「つむぎルーム」からほど近い大船渡駅前の被災地跡に、嬬恋村から到着した高さ約9メートルのモミの木を設置、クリスマスツリーを提供しました。

点灯式に向け、朝からつむぎプロジェクトのメンバーを始め、多くのボランティア団体、前日から支援活動を続けていた明治大学の阪井ゼミの学生も加わり準備を進めていました。
(上記記事より)

被災地支援のプロジェクトの一環で仮設住宅を訪問していたところ、「仮設住宅の中は狭くクリスマスツリーが飾れない…」との声が聞かれた。そこで、3年前からキャンパス内に飾っているクリスマスツリーを本年度は中止し、代わりに被災地復興の“灯火”として、大船渡市にツリーを設置することにした……とのことです。

これは、とても良い取り組みだなと思いました。
特に、新しいツリーを寄贈するのではなく、自校のツリーを贈るという点が、素敵です。

キャンパスのツリーを見ても、私達は普段通り「キレイだな」と感じるだけです。
でも、飾られるはずのツリーがないと、そのことから、被災地について思いを巡らせることができます。

被災地の方も、
「これは、明治大学のキャンパスに飾られるはずだったものですが、今年はここに飾らせてください」
……というメッセージから、色々な想いを受け取られるのではないでしょうか。
群馬県嬬恋村と、被災地の繋がりも生まれますし。

「あなたたちのためのツリーを、今年は被災地の方々に贈りました」というのは、
大学から学生への、何よりのクリスマスプレゼントになると思います。

↓このツリーの様子は現在、ustreamで中継されています。とても素敵です。

以上、クリスマスに関する大学の話題を、いくつかご紹介しました。
皆様が、素敵なクリスマスを過ごされますように。