歯科衛生士の養成を組み込んだ「口腔保健学科」 今後広がるか?

マイスターです。

↓今日は、こんな話題をご紹介します。

■「卒業後も通信教育でフォロー…九州歯科大が『口腔保健学科』開設 」(読売オンライン)

北九州市の公立大学法人九州歯科大は来年度から、歯科衛生士を養成する「口腔(こうくう)保健学科」を開設する。実習に力を入れて先進医療に対応できる人材を育て、現場に出た後も新しい技術を学べるよう通信教育も導入する。
同大によると、県内の人口10万人あたりの歯科衛生士数は89人で、全国平均の68人を上回っている。一方で、人工的な歯を埋め込むインプラントなど最先端の治療に対応できる人材は不足しているという。
同学科は4年制で、専門学校より1年長い。1学年は25人。同大の歯科と連携し、3年生の後期から実習に入り、技術力を身につけさせる。肺炎の原因となる誤嚥(ごえん)を専門的に学ぶなど、重要性が増す高齢者の口腔管理に対応した授業も導入する。
医療技術は日々新しくなるため、現場に出た後も最新の技術を取得できるよう、インターネットを使った通信教育も導入する。
(上記記事より)

日本では長い間、歯科衛生士は、専門学校などで養成されるコースが一般的でした。
実際、「専門学校 歯科衛生士」でGoogle検索をしてみると、山ほど学校がヒットします。

そして一方、日本の大学の歯学部には、歯科医師を養成する「歯学科」しかない場合が大半でした。
医学部が、看護や保健といった「コメディカル」系学科を備えているのとは対照的かもしれません。

そんな中、歯学部で、歯科衛生士などを養成するという取り組みが生まれつつあります。

2004年に東京医科歯科大学歯学部が「口腔保健学科」、新潟大学が「口腔生命福祉学科」を開設したのを皮切りに、徳島大学、広島大学で相次いで同様の学科が誕生。
来年度は、上記の記事にある九州歯科大学、および九州看護福祉大学が、口腔保健学科を開設します。

全体的に見て、日本の大学の歯学部はいま、受験生の現象、国家試験の合格率低下など、楽観視できない状況に置かれています。

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・岐路に立たされる歯学部

そんな中、人気の「医療系」学科であり、国家資格も得られる口腔保健学科は、学生募集という点で歯科大学の窮地を救うことが期待される存在になるかもしれません。
全国の歯科大学が、こぞって同様の学科を開設する可能生があります。

九州看護福祉大学のケースも興味深いです。
こちらは、広く看護・医療系の学部学科を備える大学が、「新たな医療職」として歯科衛生士に着目したパターンになるでしょう。
現在、受験生が集まるということで、看護や保健などの学部学科が開設ラッシュを迎えていますが、口腔保健学科はそうした大学の間で、次の「開設候補」に挙がるかもしれませんね。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。