マイスターです。
今日は、ここ一週間ほどの教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【北京大学の人気者、聴講猫。】
■「大学の講義を聴く猫がネットで話題に、好きな学科は哲学と芸術?」(ナリナリドットコム)
中国の最高学府・北京大学でキャンパスライスを送る猫。この猫は尻尾が切れた1匹の年寄り猫で、2004年ごろに北京大学へ「入学」したらしい。よく学生と一緒に講義に出席することから、北京大学の「学術校猫」と愛称が付けられ、学生たちの間で人気となっている。
そもそも、この猫が注目されたのは、9月25日に中国のウェブサイトに投稿された「北京大学の尊敬に値すべき猫」というエントリーがきっかけだった。投稿された写真は、教室内を闊歩する姿、机の上でゴロンと横になる姿、教授の講義を聴講(?)している姿などなど、北京大学で“特別な存在”として、大切に扱われている様子が伝わってくるものばかり。また、北京大学のコミュニティ内の書き込みによると、この猫は学生たちと一緒に時間を過ごすことが大好きで、特に「哲学と芸術に関する講義を愛している(=出席率が高い)」。講義を聞くときには何かを感じ取っているのか、「うなずく」こともあるそうだ。
(上記記事より)
日本にも大学キャンパス内で暮らす猫はたくさんいますが、「講義を聴講する」というのは珍しいかもしれません。「学術校猫」という名前で、中国のネットの検索上位になっているそうです。
今では、教育関連機器や健康食品などの商品広告に起用しようという動きや、関連書籍が出版されるほどの人気となっている。
(上記記事より)
……とのこと。
北京大学という、中国トップクラスの大学であることなど、注目される要素が多いのでしょう。
大学のマスコットキャラクター的な位置づけで、すっかり有名になってしまいました。
(そういえば日本でも、駅の猫が話題になったりしましたね)
【そもそも電話がつながらない。】
■「日本学生支援機構:電話8割つながらず 奨学金問い合わせで」(毎日jp)
大学生向けの奨学金を巡り、貸与先住所のずさんな管理で約130億円の未回収金が生じている独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)で、返還猶予や住所変更を受け付ける相談電話へのダイヤル件数の約8割が、通話中のためつながらない状態であることが分かった。人員不足が原因。支援機構は逆にダイヤル数の8割がつながる態勢を目標に掲げ、1日から態勢を強化。民間委託で担当者数を倍にした。
相談電話は返還困難な奨学生への指導や住所変更の受け付けなどを行っている。支援機構の電話相談システムに記録された今年7月のダイヤル数は約19万4400件。しかし、実際につながったのは約3万5500件、約18%にとどまった。長時間待たされ、担当者とつながる前に切ってしまうケースが多いという。
(略)支援機構の職員でつくる労働組合「奨学金の会」などによると、相談電話の混雑ぶりは独立行政法人となった5年前から悪化。独法化に伴う国の補助金削減を受けて職員を減らし、奨学金担当の職員は今年1月現在で155人で、旧育英会時代の半分程度になった。その一方、不況により貸与者が増え、相談件数は増加傾向にあるという。
(上記記事より)
以前、奨学金の滞納についてメディアの方から取材された際、「貸し出しの件数は増えているのに、日本学生支援機構の予算やスタッフは減少していますから、処理するのは難しいんじゃないでしょうか」とコメントしたことがあります。
上記の記事を見ると、実際、処理が追いついていない様子が浮かんできます。
(過去の関連記事)
・滞納者が増加 「日本学生支援機構」の奨学金
↑以前書かせていただいた記事のコメント欄にも、電話が繋がらない、問い合わせの返事が来ないといった機構側の対応に関する書き込みが寄せられています。
引き落としまでに審査が間に合わなければ、引き落とし口座をカラにして引き落としができないようにすればいい、と機構側のスタッフに「指導」されたという例も。
民間委託で、この状況が緩和されると良いのですが。
日本学生支援機構については、↓こんな記事もありました。
■「奨学金:『返還猶予、周知を』 奨学生の親ら集団申請へ」(毎日jp)
【学びへの姿勢。】
■「お見事!高校の元校長が大学の博士号 退職後、学生として研究続け」(京都新聞)
滋賀県立高の校長から立命館大に入学し、若者に交じって9年間研究を続けてきた谷昇さん(69)=大津市本堅田=に3日、博士学位(文学)が授与された。博士論文は、宗教儀礼など独自の視点も入れて後鳥羽天皇(上皇)について体系的にまとめ、高く評価された。「わたしのような年齢からでも、大学で勉強し研究する道があることを知ってもらえれば」と喜びを語った。
谷さんは滋賀大卒業後、県立高で化学を教えてきた。堅田高、東大津高の校長を務めた後、かねて興味のあった日本史を学ぶために立命館大文学部に入学。退職翌日の2000年4月1日、教え子たちと一緒に入学式に出席した。
(略)谷さんはこの日、朱雀キャンパス(中京区)で川口清史学長から博士学位記を受け取った。「大学と杉橋先生、家族の応援に感謝します」と笑顔を見せた。
(上記記事より)
高校の校長先生が、退職翌日に大学に入学。
学士課程から学び始め、9年間で博士号にたどり着いたというニュースです。
退職翌日に、教え子達と一緒に大学の入学式に出席、というところがしびれます。
定年後の時間の過ごし方として、とてもかっこいい!
社会の一線で活躍されている50代の方々にぜひ知って欲しい話題です。
【大学の災害対策に「ゾンビ襲撃」の項目。】
■「対応策バッチリ!『ゾンビが襲撃してきたら』」(Sponichi Annex ニュース)
米フロリダ大学は、ハリケーンや流行病だけでなく、ゾンビ襲撃の際の対応策をウェブサイトに載せている。
大学当局者のゾンビ対処法などを説明。ゾンビが出現すると奇妙なうめき声が多発することもあるとの注意書きもある。
(上記記事より)
ええっ!? と思う内容。
記事によれば、大学のスタッフが、ジョークのひとつとして書いたもののようです。
■「UF site has emergency plan for zombie attack」(Gainesville Sun)
↑英文のニュースでも、話題になっています。
話題になったのは、University of Floridaの、「e-Learning Support Services」のWebサイト。
元のサイトを見ても該当の文章は見つけられなかったので、既に削除されてしまったのかもしれませんが、上記の「Gainesville Sun」の記事に、バックアップが掲載されていました。
↓それが、こちら。
■「ZOMBIE ATTACK Disaster Preparedness Simulation Exercise #5 (DR5)(PDF)」(Gainesville Sun)
手の込んだジョークで、きっちり正式なフォーマットに載せて丁寧に書かれています。
後半の「INFECTED CO-WORKER DISPATCH FORM」の記入欄まで、手抜きがありません。
ご興味のある方はどうぞ。
【難しい問題。】
■「男女共学反対の聖職者を解任 サウジ、新設の大学巡り」(NIKKEI NET)
サウジアラビアのアブドラ国王は4日、西部ジッダ北方で9月に開校したアブドラ国王科学技術大学(KAUST)が特別に男女共学を採用していることに反対を表明したイスラム聖職者サード・シスリ師を高位聖職者委員会メンバーから解任する勅令を出した。国営サウジ通信が伝えた。
サウジはイスラム教の中でも最も戒律が厳しいワッハーブ派を国教とし、体全体を覆う衣服アバヤの着用を女性に義務付けているが、9月23日に開校したKAUSTはこれらの規制をサウジの教育機関として初めて免除した。
(上記記事より)
アブドラ国王科学技術大学(KAUST)は、サウジアラビア初の「共学国立大学」。
同国の科学技術に関する教育・研究力向上のための最先端科学の拠点であり、石油だけに頼らない、産業の多様化をはかる上でも熱い視線が集まっている大学です。
開校時約730人の教職員は米、独、カナダ、中国など45カ国から集まり、日本からは東京大学大学院工学系研究科の伊藤伸泰准教授が参加する。日本からの3人を含む約400人の学生は61カ国の出身で、サウジ人は約15%。全体の4分の1が女性といい、学生数は最終的に約2000人になる予定だ。
(「サウジアラビア:科学技術大学の開校式典 共学国立大は初」(毎日jp)より)
……と、これまでの同国の伝統的な教育観を覆す存在。
国王が今回、素早い対応を取ったのは、それだけ高位聖職者の影響力が大きく、国の命運をかけたKAUSTを脅かすリスクになりかねないと判断したからでしょうか。
以上、ここしばらくのニュースクリップでした。
それでは今週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。