マイスターです。
高島屋で行われた、第2回『大学は美味しい』フェアのレポートを、3回に渡ってお届けしてきました。
■第2回 『大学は美味しい!!』 フェア(1):「学市学座」+「大学は美味しい!!」連動企画
■第2回 『大学は美味しい!!』 フェア(2):各大学のブースをレポート!
■第2回 『大学は美味しい!!』 フェア(3):食を通じて社会の問題に向き合う取り組みが集合
ちなみに過去には、第1回目の『大学は美味しい!!』 フェア、および「学市学座」の様子も、取材させていただきました。
(過去の関連記事)
■『大学は美味しい!!』 フェア(1) 「味」を通じて大学を知ろう!
■『大学は美味しい!!』 フェア(2) 大学はやっぱり美味しかった!
■『大学は美味しい!!』 フェア(3) 大学の情報をイベントで発信
■「学市学座」(1):大学発オリジナルグッズが、紀伊國屋書店に大集合!
■「学市学座」(2):個性的すぎる大学オリジナルグッズの数々をご紹介!
■「学市学座」(3)キャラクターによる大学ブランディング戦略の最前線?
この第1回目と第2回目では、違うところが色々とありました。
最後に、そのあたりについてお伝えしたいと思います。
【イベント自体の知名度が上がった。】
前回の『大学は美味しい!!』、『学市学座』も、様々なメディアで取り上げられていましたが、今回はより力が入れられていたようです。
■「大学発うまいもの会…新宿高島屋で」(読売オンライン)
■「「大学発」グルメずらり 東京・新宿で食品フェア」(MSN産経ニュース)
■「米粉パン、海洋酵母ワイン…「大学発」グルメずらり 新宿・高島屋」(MSN産経ニュース)
■「大学ブランド食品:おいしく学ぼう 講座や販売などフェアで多角的に紹介」(毎日jp)
↑この通り、こぞって新聞で紹介。
さらに、普段はあまり大学と接点がないようなメディアも。
■「百貨店で物産展も!注目集める“大学発”ブランド食品」(ウォーカープラス)
■「完全養殖の“近大マグロ”を3種類のどんぶりで提供」(日経レストラン)
「日経レストラン」、マイスターは読んだことありませんでした……。
今回はイートインがあったので、こんなメディアも取り上げたのですね。
↓地域のローカル新聞が、地元の大学の食品を紹介する、という動きも加速。
■「山形大“米粉パン”が大人気 東京・大学開発の食品集めフェア」(山形新聞)
■「大学発うまいもの東京に集合 鹿児島大学ブランド人気」(南日本新聞)
■「タウンTOWN:佐賀大「バラフアイス」商品化--佐賀 /佐賀」(毎日jp)
■「佐賀生まれの「バラフアイス」 東京デビューへ 」(佐賀新聞)
どの記事も、ちょっと誇らしげ。
大学の研究活動というのは、なかなかマイスターのような一般生活者には接点がありません。
どういった分野に強みを持っているとか、どういった研究成果を生み出しているかということは、よほど注目度が高いものでもない限り、論文でも読まないと知ることはないのです。
一般生活者にとってわかりにくい話題は、読者からの反響が読みにくく、メディアも取り上げにくいです。
その点、「食品」は身近で、具体的にイメージしやすく、メディアも取り上げやすいのでしょう。
今回のように、具体的なイベント情報もあると、なおさら紹介しやすいと思います。
「へぇ、地元の○○大学がこんなことをやっていたのか」
……と、初めて知った方も多いのでは。
ちなみに、圧倒的に目立っていたのは、↓こちら。
■「リンゴ発泡酒で健康に 弘大教授ら開発、がん予防効果にも期待」(陸奥新報)
■「リンゴの酒で「免疫アップ」 弘前大准教授ら開発」(河北新報社)
■「リンゴの未熟果実で発泡酒/弘大 」(東奥日報)
■「青森県産リンゴ利用しジュースや発泡酒 JR東・弘前大」(NIKKEI NET)
第1回でもご紹介した、弘前大学農学生命科学部、城田安幸准教授の取り組み。
あのときも、ブースを訪れたおばさま達に対する、み○もんた級の見事なトークが光っていましたが、メディアに対するPRもバッチリの様子。こういうのって、大事です。
テレビの取材も多かったです。
■「都内百貨店で大学で研究開発された食品を販売する「大学は美味(おい)しい」フェア開催」(FNNニュース)
■「大学発の物産展が人気」(テレビ東京)
↓マイスターが見に行った日も、テレビの取材が入っていました。
【ディスプレイがパワーアップした。】
各大学とも、ブースのしつらえや、販売スタッフ(多くの場合、学生や教職員の方々)の服装などに気合いが入っていました。
特に、今回が2回目の出展となる大学は、明らかに前回の経験を元にしたパワーアップを図っていたようです。
↑こちらは、奈良女子大学の「奈良漬けサブレ」。
後ろに並んでいるキャラクターの飾りなどは、すべて学生さんの手によるものだそうです。
↑ブース右側に注目。
近畿大学は、理工学部による栄養ドリンクを販売しているのですが、箱が積み上がっています。
これ、大きな薬局などでも見かける手法ですね。
↑天地人……?
と思って見てみると、
↑「愛」!
そう、大河ドラマの題材として注目されている、直江兼続を意識しているここは、山形大学です。
↑オリジナルの衣装を作って大学をPR。
この気合いの入り方、すごいです。
↑今回、試飲・試食ができるブースも多かったです。
↑各大学とも、商品の見せ方が洗練されてきています。
↑弘前大学の城田先生。
前回に引き続き、今回も映像を見せながら、トークが絶好調です。
↑新作のリンゴ発泡酒。
横には、取材を受けたメディアの切り抜きをディスプレイすることも忘れません。
このイベントでは、否応なしに、他と比較されます。
店員さんの振る舞いや、購買意欲をそそるディスプレイかどうかで売り上げが大きく変わってきます。
嫌でも広報力がつきそう。
【より総合的なイベントになった。】
今回は「学市学座」との連携企画ということで、食べるだけではなく、学ぶ要素も増えました。
研究者の皆様による講演のほか、各種のトークショーや上映会なども開催。
「大学は美味しい!!」は、「食の学園祭」をコンセプトとして打ち出していますが、まさに総合的に「食」について考えるイベントになりました。
この辺りについて、今回のイベントの中心となって企画に当たられた、小学館情報誌編集局、『美味サライ』ディレクターの松元浩一さんにお話を伺いました。
この「大学は美味しい!!」はもともと、『DIME』誌で行われた連載企画が元になっています。
『DIME』自体、最新の電子機器などを扱うことが多く、「理系」の読者が多め。
理系の大学生モニターなども関わっていました。
ただ、そんな理系大学生であっても、「自分の大学で何が研究されているか」を語れる人は、ほとんどいなかったのだそうです。
一方、世の中を見渡せば、安全性やグルメ、食育など、これまでにないほど「食」に人々の関心が集まっています。
にも関わらず、最前線でその「食」に関わる研究者達については、ほとんど知られていないという現状がありました。
同じ理系でも、ロボットや情報技術など、成果がイメージしやすく、研究者が注目されやすい分野もありますが、農学はそうでもありません。
そんな問題意識から始まったのが、『DIME』の連載だったというわけです。
「大学は美味しい!!」フェアのキャッチコピーは「食の学園祭」ですが、
「論文ではなく、生み出した食べ物で研究成果を発表する」
というのが、そのテーマ。
これまでは、「食」か、「学」かのどちらかしかありませんでしたが、総合的にそれらを、お祭りのように楽しめるイベントにしたかったとのこと。
研究の様々な面を、「いっぺんに見てもらう」ことがポイントなのです。
今回から始まった公開講座の取り組みも、その一環なのですね。
色々な大学の取り組みや考え方を知り、比較する機会にもなっています。
大学の名をつけておいて、中途半端なものや、問題のあるものはつくれません。「○○大学」という看板を背負うことで、研究開発に関わる人達には良い緊張感も生まれていると思う、とのことです。
なるほど。
松元さんからは、さらに興味深いお話も伺えました。
今回、大学ごとの、対応力の差が目立ったということです。
例えば今回のようなイベントでは、大学のロゴや校章を全体の告知のために使ったりしますね。
そのときに、「ロゴを出せない」とか、「データがない」とかいった大学が、未だにあるのだそうです。
また学内の調整がなかなか取れず、決定すべきことがなかなか決まらなかったりする大学がある一方、スムーズにコンセンサスを取り、職員がプロジェクトを主導して見事なブースをつくる大学もあったとか。
調整に手間取る大学と、スムーズに進める大学とでは、ブースの出来にも差が出てくると感じたそうです。
これは教員というよりも、「職員の差」が大きいのではないか、とのことでした。
今回は、
研究開発(教員)
PR、販売(学生)
プロジェクト進行管理、広報(職員)
……という、大学の総合力の差が大きく出るイベントだったのですね。
教員だけがんばってもダメで、総合力になっている大学と、そうでない大学との違いが出るわけです。
松元さんは、「三方一両損」という言葉を使われていました。
教員、学生、職員の三者が、イベント成功のためにそれぞれ労力や時間をかけ、時にはボランティアのように持ち出しをしながら、同じように力を出し合って協力するような大学は、物事が上手く進むのでは、ということだそうです。
ユニークなたとえですが、確かにその通りかもしれません。
ここから学べることは、大きそうです。
……というわけで、全4回にわたって、『大学は美味しい』フェアのレポートをお届けしました。
前回に続き、様々な方々の協力により、大成功した(と思われる)今回のフェア。
研究室の研究成果に、学生の力や大学のPR力、そして企業の企画・運営力&情報発信力が加われば広く多くの方に届く、ということがわかりました。
学会とはひと味違った、研究成果の発表の場。
ホームカミングデーとはひと味違った、卒業生と在学生の交流の場。
そんな、色々な可能性を感じさせるイベントだったと思います。
で。
本当は、
「オープンキャンパスとはひと味違った、高校生へのアピールの場」
……という効果もあったらいいのに、とマイスターは思っていたのですが、来場者の年齢層が広いもので、そんなに高校生は目立っていませんでした。
……というわけでマイスターが代わりに、大学発食品を、高校生達に届けて回りました。
早稲田塾・秋葉原校で学ぶ塾生達に、日本大学国際関係学部の「みしまんじゅう」を配ってまわりました。
もちろん、学生が企画開発した商品であること、売り上げによってカンボジアに給水塔が建てられることを解説しながら。
みんな、「おいしい!」という反応でした。
大学生がこういった商品をつくってしまうということも、新鮮に感じられたようです。
論文ではなく「食品」で研究を語ることで、より立体的に研究のあり方が伝えられる。
フェアでも大学の皆様は、その手応えを感じられたと思いますが、高校生にとってもそれは同じみたいですね。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。
先日は私たちのブースにお越しいただきありがとうございました。みしまんじゅうと写っている皆さんの写真を拝見しました。私たちの活動や想いを知っていただき大変嬉しく思います。ありがとうございます。
皆さん食べていただいたのですね。良い評価をありがとう。このまんじゅう、国際的な支援に使われているだけでなく、アフリカに日本が支援しようとしている手法としても使われています。先日、アフリカにある日本大使館に持って行ったときに大使から、大分県の一村一品運動を推進していることをお聞きし、まさにこれだねとお褒めをいただきました。受験生の皆さん「大学は美味しい!」そして「大学は楽しい!」