マイスターです。
今日は、こんな話題をご紹介したいと思います。
【今日の大学関連ニュース】
■「学生死亡現場に信号機、同志社大が横断歩道と増設へ…京都 」(読売オンライン)
同志社大京田辺キャンパス(京都府京田辺市)東側の府道で昨年12月、自転車に乗っていた同大学の女子学生(当時21歳)がダンプカーにはねられ死亡した事故を受け、同大学は現場に横断歩道と歩行者用信号機を増設する工事を始めた。4日にも終わる予定で、8日からの新学期に間に合わせる。同大学は「行政任せでは時間がかかるので、大学で整備することにした。悲惨な事故が二度と起きないよう啓発にも努めたい」としている。
(略)現場の府道は自転車に乗る学生の通学路で、車の通行量も多い。交差点の北側には横断歩道と歩行者用信号機があるのに、南側には何も設置されていなかった。
同大学は府公安委員会の許可を得て3月下旬、百数十万円をかけて信号機の設置工事に着手した。施設課の担当者は「信号機は車の運転手に注意を促す視覚的な効果もある。学生には横断歩道を利用するよう指導を徹底したい」と言う。
(上記記事より)
信号機の設置は、本来は行政の仕事ですが、行政組織の場合、どうしても対応には時間がかかるもの。
おそらく実際には、この前に、行政に対して大学から要望を出したのだと思います。
その結果、残念ながら、すぐには対応できない、という回答だったのでしょう。
決まった予算の中で優先順位を定めて物事を進めているわけですから、仕方のない部分もあると思います。
ただ、現実問題として危険であり、重大な事故が起きた場所を、大学として放置してわけにはいかなかったのでしょう。
そんなわけで異例かもしれませんが、大学の費用負担により、信号機が設置されたという事例です。
色々と意見はあると思いますが、個人的には、早急な問題の解決を優先させた大学の判断に一票。
ところでこの信号機、今後のメンテナンス費用はさすがに行政が持つのでしょうか……?
ちょっと気になります。
ちなみに、以前、こんなニュースが流れたこともあります。
■「大学設置標識で静岡県警が誤摘発 処分取り消し、謝罪」(47NEWS)
静岡県警は18日、浜松医科大(浜松市東区)が構内の私道に私的に設置していた一時停止の標識に基づき、昨年11月からことし10月にかけ、誤って同大学生ら16人を摘発していたと発表した。県警は処分を取り消し、反則金の還付手続きを取って謝罪した。
県警によると、標識は大学構内の私道から市道に出る丁字路に設置されていた。標識の外観は本物そっくりで、私道の路上には停止線と「止まれ」という文字も書かれており、最寄りの交番に勤務する4人の警察官が摘発していた。
(上記記事より)
大学によっては、キャンパスを寸断するような形で公道が通っているケースもありますから、ややこしいです。大学の周辺およびキャンパス内の交通安全対策は、とても複雑です。
ちなみに冒頭の同志社大学は、合わせて↓こんな対応もされていました。
■「自転車通学の学生に交通安全呼びかけ…同志社大京田辺キャンパス 」(読売オンライン)
田辺署や京田辺市、同志社大などは9日、同大学京田辺キャンパス(京都府京田辺市)で、自転車で通学する学生らに交通安全と盗難防止を呼びかけた。
春の全国交通安全運動(6~15日)に合わせた催しで、同署員らは、自転車を駐輪場に止めた学生らに自転車の交通違反の罰則が書かれたチラシなどを配り、「道路の左端を一列で走ろう」「鍵は必ずかけて」と声を掛けた。
(上記記事より)
さて、上記の例とは逆に、大学生にもなると運転免許を持っている人も増えますから、逆に「事故を起こす側」にならないようにする注意も必要になってきます。
例えば大阪大学では、学生がキャンパス内で起こす事故が増えたのをきっかけに、全学生に「交通安全」の講義を必修で課しています。
■「阪大、交通安全講義“必修”に・・・キャンパス事故急増で」(読売新聞 2007/12/06)
大阪大(本部・大阪府吹田市)は吹田、豊中両キャンパス敷地内の道路で交通事故が多発しているとして、2008年度から「交通安全」の講義を始める。1時間半の1回のみだが、全新入生約3200人に履修を義務付ける“必修講義”。「大学生に何もそこまで」との声も聞こえそうだが、阪大は「社会に出る前に大人のルールを教えるのも大学の使命」としている。
(略)吹田キャンパスでは05年5月、男子学生がバイクを運転中に自損事故を起こして死亡。今年4月には、女子学生が男子学生運転の乗用車にはねられて2か月の大けがを負ったほか、10月には男子学生3人乗りのミニバイクが乗用車と接触、1人が足を骨折する事故も起きた。
豊中キャンパス(豊中市)では、自転車事故が多く、スピードが出やすい通称「阪大坂」での自転車の通行を禁止しているが、ルールを守る学生は少ない。
大学側は、事故の起きやすい交差点の改良や、安全運転を呼びかける看板の設置、ルールを指導する警備員の配置などの対策を進めてきた。さらに学生の交通安全教育も必要と判断し、前期に複数回の講義を開いて、うち1回の受講を義務付けることを決定。安全衛生管理部の担当者が事故例を説明し、注意を呼びかけるという。
(上記記事より)
必修というのは、かなり思い切った対応です。
しかしキャンパス内の安全確保が課題であるだけに、自分達で解決すべきという考えもあったのでしょう。
大学キャンパス内の事故というのは、確かに侮れません。
特に国立大学などでは、キャンパス自体が広大なため、構内を自転車で移動することを認めているケースも多いでしょう。
その上、自動車やバイクで通学する学生も出てくると、交通事情は複雑になります。
学内ということで、安全に対する気もゆるみがち。
あと、夜間遅くまで残って研究やレポート作成などをする学生もいるでしょうが、その割に公道ほど街灯が十分に整備されていない、なんて大学もあるかもしれません。
あと、自動車通学を禁止している大学の場合、キャンパス周りの公道などに違法駐車する学生が出てきて、近隣の迷惑になったりすることもあります。
これもある意味、事故などの原因に繋がりかねません。
そんなこんなで、キャンパス内の交通安全維持というのは、とても大事なのです。
独自の交通安全規則を作成したり、交通安全についてのキャンペーンを行ったりと、大学側も色々と対策を打ち出されています。
大学の取り組みとして、あまり派手に注目をされることはありませんが、こうした業務は非常に重要。
関連部局の皆様、いつもありがとうございます。
皆さんも、学内・学外に関わらず、交通安全には気をつけましょう。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。