ニュースクリップ[-3/29] 「日本の大学12校が北京市内で合同説明会」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【空席アリ?】
■「日本の大学12校が北京市内で合同説明会」(nikkansports.com)

中国人留学生の確保を狙い、東京大や上智大など日本の有名大学12校が28日、北京市内で合同留学説明会を開いた。学生や家族ら約1000人が説明会への参加を希望した。
(略)参加した東京大の宮内雄史・北京代表所長は「大学間の国際競争に勝つためには、中国の優秀な学生を集める必要がある」と強調。大学3年の温■さん(21)は「米国と英国、日本で迷っている。専門を伸ばせる大学へ行きたい」と話し、入試手続きなどの説明に熱心に聞き入っていた。
(上記記事より)

12大学が合同で、北京にて留学説明会を行ったとのこと。
留学生30万人計画もありますし、また昨今では「留学生の多い学部」をウリにした国際系学部を新設する大学も増えています。優秀な学生をなるべく確保し、「看板に偽りなし」の状態にしたいという思惑もあるのかなと思います。
いずれにしても、このように現地で説明を行い、優秀な学生を獲得するというのは、大事だと思います。

米国、英国、日本で迷っているという、嬉しいコメントも紹介されていますが、一方で、

ホテルの会議場で開かれた説明会は、入場が規制されるほど盛況。中国の仲介会社「金吉列」の韓志軍マネジャーは「金融危機とはいえ、日本語を話せる人材はまだ一定の需要はある」と指摘。少子化などの影響で「日本の大学には中国人の留学できる『空席』があるのも人気の理由」という。
(上記記事より。強調部分はマイスターによる)

……なんていう率直なご意見も。
うーむ。

【移管? 存続? 廃止?】
■「立命館誘致、困難に 岐阜市議会、事務費削減案を可決」(Asahi.com)

学校法人立命館(本部・京都市)が岐阜市に対し、市立岐阜商業高校の移管を提案している問題で、市議会は27日、本会議を開き、市が新年度予算に盛り込んだ移管計画を進める事務費(97万円)を削る修正案を22対21の賛成多数で可決。「市岐阜商の廃止方針の撤回を求める決議」も可決した。細江茂光市長がめざしてきた移管は極めて厳しくなった。
(略)立命館は、08年度内に市議会が移管推進に同意することを移管の条件としているため、計画を取り下げる方針で、午後に立命館と細江市長が記者会見する。市岐阜商は当面、存続する見込みだが、市教育委員会は最短で13年度末廃止を検討しており、安藤征治・市教育長は「市議会の決議にかかわらず将来的廃止の方針は変わらないだろう」とする見通しを示している。
(上記記事より)

何度かご紹介してきた、市立岐阜商業高校を立命館に移管する話題です。

(過去の関連記事)
■ニュースで見かけた関西私大の動き
■ニュースクリップ[-5/11] 「立命館への直接移管困難 市岐阜商高問題で県教委が判断」ほか

途中から雲行きが怪しくなっていましたが、上記の通り、移管は難しそう。
この動き、他の学校法人や自治体も注目していると思います。

またこの結果、市立岐阜商業高校が廃止されるのか、存続されるのかという点も、気になります。
移管は実現せず、高校も廃止されるという結果になった場合と、高校が存続した場合とで、他に与える影響も違ってきそうです。

【共同学部第1号、計画延期。】
■「大阪3大学の共同学部、15年度に設置延期 」(読売オンライン)

関西大、大阪医科大、大阪薬科大は26日、2010年度に計画していた3大学共同の生命科学系学部の設置を、15年度に延期すると発表した。
共同学部に関する文部科学省の設置基準で必要とされた教員数などを巡り、計画の大幅な見直しが必要になった。
(上記記事より)

複数の大学が、共同で学部や大学院の研究科を設置することを認めると、文部科学省が発表したのが、2007年11月。
その第1号になると思われていた、大阪の3大学の計画が、延期を余儀なくされたそうです。

(過去の関連記事)
■「共同学部」第一号? 大阪の3大学、生命科学系の学部設置へ

大学間での調整など、通常の学部新設よりも大変な部分が多そうですが、計画の大幅な見直しというのは、色々と課題が生じてきたのでしょうか。

【日本の名前を冠した大学、エジプトに。】

『日本』冠した大学の署名式=経済発展へ教育支援-エジプト」(時事ドットコム)

大学名に日本を冠した「エジプト・日本科学技術大学(E-JUST)」の9月初旬開学に向け、エジプト、日本両政府の協定署名式が26日、カイロ郊外の首相執務室で行われた。
日本政府は、経済発展の基礎となった日本式教育を中東やアラブ世界の発展に役立てたいとしており、エジプト政府や産業界の期待も大きい。アレクサンドリア郊外にキャンパスを設置、電気系や機械系などの大学院を手始めに、2011年に大学コースが本格始動する。
(上記記事より)

以前から少しずつ報じられていたエジプト・日本科学技術大学のニュースが、署名式を迎え、一般のニュースでも大きく取り上げられていました。
今回、初めて知ったという方も、多いかもしれませんね。

(過去の関連記事)
■ニュースクリップ[-11/30] 「法科大学院、77%が『将来、教員不足も』」ほか

開発援助の一環として、人材育成に貢献するというのは素敵です。
それには海外青年協力隊や企業の技術者による指導など、様々な形があると思いますが、大学を設立するというのもひとつの手段として、悪くないと思います。

【隠れた大学都市。】
■「『大学コンソーシアム八王子』設立へ-行政、大学、経済・市民団体などが連携」(八王子経済新聞)

八王子市は4月1日、周辺地域の大学や学生団体、商工会、市民団体などと連携して、「大学コンソーシアム八王子」を設立する。
大学コンソーシアムは大学、短期大学、専門学校などの高等教育機関と行政、市民団体などが研究や交流、情報発信などの面で手を結ぶことを目的に結成する共同事業組織。1994年に「京都・大学センター」(現在の「大学コンソーシアム京都」)が結成されて以降、これまでに大阪、埼玉、秋田など全国に40を超える組織が誕生している。
八王子周辺には20を超える大学や専門学校があり、学生の数だけでも11万人を超えるなど、一大「学園都市」を形成している。これを受け、八王子には「八王子市学園都市推進会議」「八王子市学園都市連絡会」「八王子市学園都市文化ふれあい財団」「八王子学生委員会」などの組織が誕生。これまでそれぞれが独自の活動を行ってきた。
市はこれら関連する組織と事業を集約することで効率よく運営し、かつ、大学などとのこれまで以上の密接な連携を目指して、大学コンソーシアムの設立を計画。昨年、設立準備委員会を立ち上げ、設立に向けた準備を進めていた。
結成する団体には市に加えて工学院大学、明星大学、帝京大学、東京造形大学、多摩美術大学、デジタルハリウッド大学など計23の大学が参加。ここに八王子商工会議所などの経済団体や八王子学生委員会などの学生組織、八王子市学園都市推進会議などの関連団体が加わり、計29団体が手を結ぶ。
(上記記事より)

かつて都心から郊外に大学が移転していく流れの中で、八王子市は移転先として多くの大学を迎え入れてきました。現在も、上記のように非常に多くの大学が立地しています。
そんな八王子で、大学コンソーシアムがいよいよ始動。どんな動きが生まれるか、期待が集まるところです。

おそらくコンソーシアムはつくっただけではなく、つくってから何をするかが重要なのでしょう。
例えば「大学コンソーシアム京都」は、様々な企画を立ち上げたり、学生や教職員が相互に結びつく仕組みを作ったり、かなり活発に活動されています。
コンソーシアムを使って面白い動きを起こす人がどれだけいるか、が大事なのかなと思います。
八王子のコンソーシアムも、京都のように活性化されるといいですね。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。