マイスターです。
大学に入学すると、学生便覧や時間割、カリキュラム表など、大学から様々な資料が配付されます。
これから始まる4年間に想いを馳せ、わくわくする瞬間です。
このとき、教学系の資料に加え、入学生の意表を突く感じで配付されるのが、「校歌のCD」。
正確には、校歌を含む、「カレッジソング」が入ったCDです。
マイスターも、大学に入学したとき、もらいました。
学部がいくつもある、規模の大きい総合大学に進学したのですが、カレッジソングも多かったようで、校歌の他に「○○学部の歌」とか、「○○応援歌」みたいな曲が十数曲も入った、アルバムになっていました。応援歌も、陸上競技の場合、水上競技の場合と、複数のバージョンが入っていました。
一方、単科大学に行った友人は、2曲くらいが入ったシングルCDだったそうです。
大学の規模や、歴史の長さによって、この辺りは変わってくるようです。
昨今では、入学式以降、あまりこうしたカレッジソングのCDを聞いていない学生さんもいると思います。
でもマイスターは、これが結構うれしくて、ちょくちょく家で聞いていました。
残念なのは、4年間を通じて、歌う機会がほとんどなかったということでしょうか。
愛校心をくすぐるアイデンティティの象徴として。
公式・非公式な大学イベントの盛り上げツールとして。
スポーツの応援歌として。
大学の長い歴史の中で生まれ、歌い継がれる、カレッジソング。
今も歌われている曲もあれば、既に忘れられつつある曲もあるでしょう。
「カレッジソングが学生によって歌われる大学は、活気がある大学」という印象もあるような。
さて、今日はこんな話題をご紹介します。
【今日の大学関連ニュース】
■「山形大ソング♪リリース 学生有志3人組制作」(河北新報)
キャンパスを歌でにぎやかにしようと、山形大の学生有志が大学のイメージソングをつくり、18日、発表した。「未来への希望」や「学ぶ喜び」をアコースティックギターにのせた学生賛歌で、新入生歓迎行事などでPRする。同大によると、学生による大学のイメージソングは全国でも珍しいという。
制作したのは、ともに人文学部4年の柴田和敬さん(24)=ボーカル=と熊谷悟さん(22)=ギター=、それに工学部1年の佐賀亮介さん(19)=ギター=によるトリオ「コンソメ」。
イメージソング制作は、大学活性化のアイデアを学生に募り、経費を支給する山形大の「元気プロジェクト」の一環。
(略)結城学長は「学生らしい若々しい曲に仕上がっている」と感想を述べた。柴田さんは「山形大の歴史とともに、キャンパスで永遠に歌い継がれてほしい」と話した。
(上記記事より)
山形大学は、学生による大学活性化のアイディアに対して経費を支給する「元気プロジェクト」を実施しています。
この、学生によるイメージソングの作成も、そんな取り組みのひとつ。
■「平成20年度山形大学・元気プロジェクト表彰式が行われました」(山形大学)
↑このように、プロジェクトのアイディアとして応募した結果、正式に採択され、
■「【☆元気プロジェクトニュース☆】 皆さんの一票が山形大学イメージソングを決定します!!」(山形大学)
↑その後、このように3曲の中から1曲に投票する形で、選ばれました。
歴史ある大学のカレッジソングも、その成り立ちは様々。
誰かがつくった歌が、学生の間で自然に歌い継がれてきたというケースもあります。
また、周年行事などに合わせて作曲家に公式に制作を依頼し、生まれた曲もあります。
ちなみに実は、カレッジソングの歌詞などを公募で決める企画は、昨今ではしばしば見かけます。
(例)
■「カレッジソングの歌詞を募集します」(目白大学)
■「慶應義塾創立150年記念 ニュー・カレッジソング 歌詞募集」(慶應義塾大学)
ただ、「カレッジソングをつくる」という企画そのものが学生から発案されたという点や、曲も歌詞も学生が制作し、曲の選定に学生全員が関われるという点など、山形大学の取り組みには、他ではあまり見かけないポイントがたくさんあります。
何かの記念としてつくることに決めた、というのではなく、「大学を活性化させよう!」という目的で生まれたというのも今では結構、珍しいかもしれません。
ということは。
つくるだけではなく、学生の皆さんは、これからちゃんと、歌わないといけませんね。
正確に言うと、「他の学生に歌われるような曲にする」というところまで含めて、元気プロジェクトのミッションなんだという感じでしょうか。
ちなみに山形大学のこのイメージソングは、大学のカレッジソングでありつつ、一方で学生によるバンドの持ち歌でもあるので、彼らのライブでも歌われます。
■「愛情のカタチ」(コンソメ☆ブログ)
大学のwebサイトにも、
〈今後のイメージソング広報活動〉
・学外のイベントへの出演
10月4日(土) 山形市文翔館にてアーツラウンドLIVE
10月5日(日)10:00~10:50
七日町一番街にて山形ジャズフェスティバルLIVE
・山形大学イメージソングツアー(予定)
10月11日(土)13:45~14:15
山形大学米沢キャンパス「吾妻祭」イメージソングLIVE
10月25日(土)14:55~15:25
山形大学小白川キャンパス「八峰祭」イメージソングLIVE
・小白川キャンパス内での,イメージソング候補曲演奏
演奏団体:山形大学イメージソング制作プロデュース『Voice』
場 所:小白川キャンパス中庭
日 時:10月1日(水)~11月28日(金)のうち,火・木曜日
昼休み 12:15~12:30
(雨天時翌日順延)
(お問い合せ先)
小白川事務部 学生・就職支援ユニット
学生企画担当 tel :023-628-4133
(「【☆元気プロジェクトニュース☆】 皆さんの一票が山形大学イメージソングを決定します!!」(山形大学)記事より)
……という形で、イメージソング・ライブの公演情報が掲載されているのです。
こ、これは新しい。
それこそ、「CDを作成して、配って終わり」というカレッジソング企画が多いであろう中、この展開方法は極めて珍しいのでは。
彼らがバンドとして頑張れば頑張るほど、カレッジソングも定着するということでしょうか。
このバンド「コンソメ」が学生を卒業した後も、大学の様々なバンドが「持ち歌」のように歌い継いでいったら、面白いですね。
そうなったら自然と、他の学生も口ずさむようになるかもしれません。
これまでの伝統的なカレッジソングのあり方とは、ちょっと有り様が異なるかもしれませんが、これはこれで、学生に愛される歌の、ひとつのあり方かもしれません。
非常に興味深い試みで、ぜひ、長く愛される曲になって欲しいと思います。
ちなみに最近、山形大学の取り組みをよくメディアで見かけます。
それも、単なる話題性だけでなく、学生を元気にし、大学を良くしていくための取り組みが多くて、いつも感心します(……ということも、以前の記事で既に書いたような)。
大学は「人」ですから、きっと学長をはじめ、教員や職員の皆様が、良い動きをされているのだろうと思います。
それが、そこで学ぶ学生や、地域の方々にも伝播しているのではないでしょうか。
現在、勢いのある大学だと思います。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。