マイスターです。
国公立大学の合格発表が始まり、各地の地元メディアが、地元の大学の合格発表を一斉に報じる時期となりました。
合格掲示板の前で取材をしているケースが多いようですが、以前の記事でもご紹介したとおり、こうして掲示で発表をする大学は年々、減少していますから、取材も大変になってきそうです。
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■吉報の届け方
また、niftyの「瞬!ワード」ランキングにも、国公立大学の名前が登場しています。
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■nifty「瞬!ワード」からわかる、受験生の動き
雑誌も、「合格したらどちらの大学に進学するか」みたいな特集を組んだりしますし、大学は年で一番、マーケティングデータの収集ができる時期かもしれませんね。
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【借りっぱなしには渡さない。】
■「福岡県立大:本返却しない学生の卒業証書保留」(毎日jp)
福岡県立大学(福岡県田川市)は、付属図書館の本を借りたまま返さずに卒業する学生に対し、卒業証書の授与を保留する強硬策を打ち出している。4日現在、卒業予定者21人が計51冊を返していないため、卒業式(17日)前日までの返却を求めている。不心得者に業を煮やした窮余の策だ。
(略)卒業証書授与を保留する方針を決めたのは08年3月。卒業自体は取り消されないが、心理的効果は大きいとみられ、その年の卒業生に未返却者はいなかった。
(略)未返却の本は、看護師や社会福祉士など国家試験の対策本から専門書や小説までさまざま。保護者からは「ペナルティーとして重過ぎる」との反応もあるというが、大学事務局は「図書館の本は重要な公有財産で、借りた本を返すのは社会人として守るべき基本的なルール。(授与保留は)最後の手段だが教育的配慮でもある。見直す考えはない」と話している。
(上記記事より)
学費を滞納している生徒に卒業証書を出さない高校の対応が議論になったりしていますが、こちらは「図書館の本の滞納」。
学費と違って、こちらは明らかに本人の問題でしかありませんから、あまり批判もないのでは。
借りたものを返すのは、社会人としてのルール。
この大学の対応に賛同する人は多いと思います。
【書かれていることと違う?】
■「募集要項と矛盾 看護科学大」(大分合同新聞)
県立看護科学大学(大分市)の二〇〇九年度入試を受けた県内の女性の成績開示請求に対し、大学が学生募集要項に記されている開示内容の「総合得点と順位」を伝えなかったことが七日、分かった。大学は女性の抗議を受けて筆記試験の得点を明らかにしたが、面接を理由に不合格としたため「順位はない」としている。
(略)女性は「選抜方法は総合的に評価するとあり、得点と順位を開示することになっている。面接だけで判断して順位がないのは納得できない」と言う。
一方、大学は「面接が理由で不合格だったため、点数を言うと誤解を招くと思った。当初の対応に誤りはあったが、指摘を受けてから採点したわけではない」と説明。入試委員長の甲斐倫明・大学院研究学科長は「面接試験をどう扱うかは大学の方針。パーフェクトではないかもしれないが、一定のシステムでやっている」と話している。
(上記記事より)
大学側の考えはわかりますが、「開示する」と要項に明記していたのであれば、開示しないのはルール違反。
開示するという説明の元に受験を実施していたのですから、大学側の判断がどうであろうと、後からその説明を覆すのはおかしいです。「大学の方針」があるのなら、最初からそれに沿った要項をつくるべきでした。
要項を作成する担当者と、試験に関わる教員との間で、こういった確認がとれていなかったのかもしれません。危ういです。
【高校の重大ミス。】
■「教師、大学へ指定校推薦の出願忘れ 第1志望受験できず」(Asahi.com)
東京都立小松川高校で、都内の有名私立大学を指定校推薦で受験するはずだった3年の女子生徒の出願を進路担当の教師が忘れたため、受験できなかったことが7日、分かった。江見悦子校長は「取り返しがつかないことで、おわびのしようがない」と話している。
同校の説明では、生徒は昨年11月末、私立大学の指定校推薦試験を受ける予定だった。しかし、受験日が迫っているのに受験票が届かないことを不審に思い、教師の1人に問い合わせた。
学校で調べたところ、生徒から願書を受け取っていた学年の進路担当の教師が、書類棚に立てたまま郵送を忘れていたことが判明。気づいた時には締め切りを3週間過ぎており、出願は認められず、生徒は受験できなくなったという。都教委へも先月、経緯を説明した。
出願予定だった大学は生徒の第1志望だった。指定校推薦は合格率が高く、もし生徒が受ければ合格の可能性が高かったという。
(上記記事より)
指定校推薦を受けていたにもかかわらず、教員が出願書類の郵送を忘れたため、出願ができなくなったとのこと。その後、一般入試に向けて学校が個別に時間割りを組み、この生徒は他大学を受験中だそうです。
指定校推薦は、言ってしまえば、在学中に本人が積み上げた努力で選抜される入試。
本人が、非常に気の毒です。
【大学もミス。】
■「受験生の答案紛失」(読売オンライン)
弘前大学は6日、2月25日に実施した2次試験の前期日程で、教育学部を受験した受験生の答案用紙1枚を採点前に紛失したと発表した。「合否に影響はなかった」としたが、同大は記者会見を開いて謝罪。さらにこの会見で、職員が大学の公金などを横領する不祥事があったことも明かした。
発表によると、試験終了後に答案用紙を回収した際には、受験者数と一致していたといい、この日、答案用紙を束ねる作業中に紛失したとみられる。答案用紙に書かれた受験番号を紙でふせて束ね、採点者に受験者が分からないようにする作業だった。
教育学部の採点は2月26日~3月2日に行われ、同2日、採点結果をコンピューターに入力する作業中に紛失に気づいた。紛失した答案用紙は見つからず、誤って破棄された可能性が高い。このため、紛失した受験生の該当する科目の得点を満点とし、この受験者が合格した場合は、合格者を1人増とする措置を取った。ただ、該当科目を満点にしてもほかの科目との合計点が合格点に達しなかったため、合否には影響がなかった。同大は「受験生が特定される」とし、学科や受験生の性別なども明らかにしなかった。
また、同様の理由で、この受験生に対して通知や直接謝罪はせず、須藤新一副学長は記者会見で、「受験者、保護者、関係者に深くおわびしたい」と謝罪するにとどまった。
(上記記事より)
大学も不祥事を起こしています。
入試の答案処理については、各大学とも、最大限のチェック体制をとって臨んでいますが、その隙を突くように、ミスが出てしまいました。
ただ、学内で調査をし、本人に不利益が生じないような対応策をとり、かつ、その経緯を外部に公表したという大学の対応は、評価されて良いと思います。
ちなみに、入試答案のチェック体制が一番すごいのはおそらく、大学入試センター試験。
マイスターも大学職員時代、そのチェックに関わったことがありますが、「これでどうして漏れが出ようか」というくらい、徹底したチェック体制を試験会場に課していて、驚きました。
各大学とも、たいていセンター試験の運営会場になっていますから、センター試験のチェック体制で参考になる部分は、自校の入試運営に反映させているのではないでしょうか。
【大学を選んでプレイ。】
■「アメフトゲームの新作,「Black College Football Xperience」」(4Gamer.net)
Aspyr Mediaは,アメリカンフットボールゲーム「Black College Football Xperience – The Doug Williams Edition」を,2009年春に発売すると発表した。
本作は,NFLで活躍したDoug Williams(ダグ・ウイリアムス)選手をフィーチャーした,Unreal Engine 3.0採用のアメフトゲームだ。プレイヤーは,Historically Black College and University(HBCU)に所属する36大学から一つを選択し,チャンピオンを目指して戦っていく。
(上記記事より)
最後に、ちょっとした海外の話題を。
アメリカで発売された、アメフトのゲームなのですが、実在する36大学の中から、好きなチームを選んでプレイするという内容になっています。
日本でも、全国の高校から好きなチームを選んで甲子園に挑む野球ゲームがあったような気がしますが、そう言えば「大学」というのはあまり聞きませんね。
六大学野球など、企画くらいは既に出ていそうですが、大学スポーツの運営方針などもあるでしょうし、実現は難しいのでしょうか。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。
「付属図書館の本を借りたまま返さずに卒業する学生に対し、卒業証書の授与を保留する強硬策を打ち出している。」は、自己責任の原則から言えば当然の対応だと思います。
例えば、早稲田大学・大学院に於いても、学費未納・図書未返却の場合は、学位紀を受け取ることが出来ません。
日本を代表する他の大学も、多分同じ措置をとっている例が多いと思います。
個人が当然しなければことに対してのけじめが明確でないことのほうが、問題だと思います。