nifty「瞬!ワード」からわかる、受験生の動き

マイスターです。

ちょうど今頃が、一般入試の真っ最中。
と同時に、合格発表もどんどん行われている時期です。

昨今では、合格者の受験番号を掲示する大学が減ってきている……という話題は↓以前の記事でご紹介しました。

■吉報の届け方

最近では、webサイト、および郵送での合否通知だけにしている大学が少なくないのだそうです。
個人情報の扱いもありますし、またセンター利用入試やサテライト入試など、キャンパスから遠く離れた場所で受験される方も増えていますから、掲示板の意味が以前より薄れているのは確か。
これも時代の流れでしょうか。

上記の記事で、マイスターは「合格発表の掲示板は一人で見に行く」ことをお勧めしましたが、webだとそうもいきませんね。

(その場合でも、できれば保護者の方は、お子様の合否をwebで知ったとしても、本人が見る前に伝えるのはお控えください。仮に職場のPCでいち早く我が子の合格を知ったとしても、そこははやる気持ちを抑えつつ、本人からの直接の報告をやきもきしながら待っていてあげてくださいね。)

さて、そんなわけでwebサイトでの発表が多い昨今では、ちょっと興味深い動きをオンラインで確認することができます。

■「瞬!ワード」(@nifty)

↑こちらのサイト、ご存じの方も多いかも知れません。

これはniftyの「瞬!ワード」というサービス。
おおよそ1時間おきに更新され、「その前の1時間に、どんな言葉が多く検索されていたか」をランキング表示するものです。

元になっているのはniftyでの検索結果ですので、母数は限られているのですが、それでもその瞬間瞬間の検索動向をざっくりとつかめるという点では、非常に便利なツール。
検索ワードをランキング表示するサービスは他にも色々ありますが、「1時間」という短いスパンの流行をわかりやすく表示してくれるものは非常に珍しいです。

この「瞬!ワード」は以前から、マーケティング関係の方などの間で重宝されています。
例えば、この「瞬!ワード」の上位に来るワードはたいてい、テレビ番組の中で出てきた人名や商品名です。これを見れば、テレビを見ながらネットをしているユーザーの動向が、たやすくつかめてしまうのですね。
非常に興味深い使い方ができるツールです。

さて、ここしばらく、この「瞬!ワード」に大学名が頻繁に登場しています。

例えばあるときは、↓こんな感じ。

【2009年2月9日 15:00~2009年2月9日 16:00 の 瞬!ワード】
1:武蔵大学 ↑
2:しまむら  ↑
3:ギャートルズ肉 ↓
4:共立女子大学 ↑
5:河津桜 ↑
6:中央大学 ↓
7:確定申告 ↑
8:成蹊大学 偏差値 ↑
9:バレンタイン ↑
10:永澤俊矢 ↑
「瞬!ワード」(@nifty)検索結果より。矢印は検索順位の動きを示す。強調部分はマイスターによる)

この通り、トップ10の中に大学名が4つもランクイン。
バレンタインや確定申告と並び、この1時間の間に検索する人が多かったワードに名を連ねています。

「しまむら」や「ギャートルズ肉」に何があったかは知りませんが、大学名が多い理由は明らか。
2月9日(月)は、

・武蔵大学[全学部日程] ・共立女子大学[一般入試受験スケジュール【A日程】] (学部によっては8日から発表)
・中央大学[大学入試センター試験単独方式] ・成蹊大学[全学部統一入試E方式]、 [センター試験利用3教科型入試C方式]、 [センター試験利用5科目型奨学金入試S方式]

の、合格発表日なのでした。

「全学部日程」や「センター試験利用入試」など、受験者の多そうな入試方式。
これらの受験者(および関係者?)がこの日、合否を確認しようと、一斉に大学名での検索を行った結果なのですね。

他の場合もだいたいそうです。
例えば「2009年2月9日 10:00~2009年2月9日 11:00 の 瞬!ワード 」3位に「東京理科大学」がランクインしていましたが、まさにこの日の10:00が、[A方式入学試験(大学入試センター試験利用)]の合格発表開始時刻でした。

「瞬!ワード」の動きから、全国の受験生達の動向がちょっとだけかいま見える、というわけです。

ところで、上記の結果にもありますが、この「瞬!ワード」の結果の中に、

■「成蹊大学 偏差値」
 (2009年2月9日 15:00~2009年2月9日 16:00 の 瞬!ワード 8位 ほか)
■「共立女子大学 偏差値 」
 (2009年2月10日 2:00~2009年2月10日 3:00 の 瞬!ワード 1位 ほか)

……など、<大学名 + 「偏差値」>という検索ワードの組み合わせが散見されるのです。

合格発表後に、こうした検索を行っている方々は一体どなたで、何が目的なのでしょうか。

色々な可能性が考えられます。

(1)受験生、もしくはその保護者が、合格した大学の世間的評価を改めて確認している。
(2)予備校や出版社、メディア関係者など、大学受験のデータを扱う方々が、データ収集&整理のために調査を行っている。

一般の方々が興味本位で検索しているという可能性ももちろんありますが、「瞬!ワード」にランクインしているということは、「ある程度まとまった人数のユーザーが」「一斉に同じタイミングで」検索した結果。
合格発表日にわざわざ同じ動きをする以上は、やはり関係者による検索だと考えるのが自然です。

上記の(2)については、説明する必要はないでしょう。
ちなみに(1)ですが、これについては興味深い話があります。

以前、ある自動車メーカーの広報担当者に聞いた話ですが、車の商品ページにアクセスしてくるユーザーには、その車のオーナーが少なくないのだそうです。

つまり自動車など、高価な買い物をしたユーザーは、
「自分のした買い物は正しかった!」
……ということを自分で納得するために、買った後で、商品ページを訪問し、スペックや特徴などをじっくりと確認するのですね。

商品ページを見るのは、買う前だけではないのです。

こうした動きは、高価な買い物であればあるほど顕著だという話も聞きます。

仮説に過ぎませんが、大学でもそれと同じように、受験生や保護者が、合格した後にもう一度、その大学の世間的な評価を確かめようとして「偏差値」なんて言葉で検索をしている可能性は考えられます。

皆様は、どう思われますか?
ご意見いただければと思います。

ちなみに、もし上記の(1)の仮説が正しいとしたら、大学としてはどうすればいいでしょうか。
偏差値で大学を選ぶのではなく、内容で選んで欲しいということであれば、例えば合格発表のページから、「大学のウリ・特徴」をまとめたページにリンクを張り、入学への決意を固めさせるように誘導するといったことも考えられますね。

昨今では、合格者に入学手続きをしてもらうためにはどうすればいいか、なんて議論を良く聞きますが、
例えば上記のようなデータにも、そのためのヒントが隠れているのかも知れません。

ネットでは、データから、他のメディアでは知り得ないユーザーの動きを測ることが可能。
「瞬!ワード」も、そんなユニークなサービスの一つです。

■「@niftyツールバー」(@nifty)

@niftyツールバーをダウンロードすれば、ブラウザのツールバー上で、最新の「瞬!ワード」を閲覧することも可能。この2~3月は、常駐させておいても良いかもしれません。
大学の合格発表が重なる日などには、面白い動きが見られるかも知れませんよ。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。