マイスターです。
■受験生応援グッズが熱い(1):大手食品メーカーがこぞって応援商品を発売
■受験生応援グッズが熱い(2):地域活性化の期待もかかっている? ローカル食品の数々
↑2回に渡ってご紹介してきた、受験生応援グッズ。
食べ物以外にも、ユニークな事例がたくさんありました。
残りをいっきにご紹介していきます。
【受験生応援グッズあれこれ・ファイナル】
著書「学問のすゝめ」で知られる福沢諭吉が少年期を過ごした大分県中津市で、JR中津駅が受験シーズンを前に、列車の滑り止め用の砂を入れた合格祈願のお守りを無料で配っている。偉大な教育者にあやかろうと、受験生たちに人気だ。
お守りは、列車の車輪がぬれた落ち葉などで空転しないようレールにまく「珪砂」2グラムを千代紙に包んだもの。同駅の女性社員8人が888個作成、昨年12月8日から配り始めるなど、八の字の「末広がり」にこだわった。「1つずつ、合格しますようにと心を込めて作っています」と受験生にエールを送る。
(「滑り止めの砂を受験生に JR中津駅、お守り配布」(47NEWS)記事より)
受験生を応援しようと、JR四国グループは入試に縁起のよい駅名のキーホルダーなどを管内主要駅構内で販売している。1個500円、絵馬風セット2500円。
例えば「善通寺」(香川県)は善(よ)く通る、「入明(いりあけ)」(高知県)は入るのが明らか、「吉成(よしなり)」(徳島県)は吉と成りなど。社員が発売前に合格祈願の参拝もした。
学(がく)駅(徳島県)では「入・学」と読める入場券セットに、車輪とレールの滑り止めにする「鉄道すべらない砂」を付けて販売。受験も安全第一?
(「合格祈願:縁起のよい駅名キーホルダー販売」(毎日jp)記事より)
ここ数年、急激に受験生応援市場(?)で頭角を現してきているのが、鉄道会社。
パターンは基本的に
<すべらない砂>
<縁起の良い駅名>
……の2つです。
↓一部で始まったこの取り組みですが、柳の下のどじょうを狙う各鉄道会社の間で、すっかり大流行中。
■「受験生に滑らない砂 JR新花巻駅で限定配布」(岩手日報)
■「「滑らないように」とJR長崎駅長ら合格祈願 車輪の滑り止め用砂でお守り作る」(西日本新聞)
■「『合格行き』のお守り砂=路面電車滑り止め用-岡山」(時事ドットコム)
■「受験のお守り『学文路駅入場券』=南海電鉄」(時事ドットコム)
■「上り“銚子”で合格切符が大人気 銚子電鉄」(MSN産経ニュース)
■「京急と叶神社、絵馬付き合格祈願切符を発売」(MSN産経ニュース)
■「福岡市営地下鉄:『合格ちかまる2日券』発売へ /福岡」(毎日jp)
■「合格への片道切符 JR熊本駅、駅長の祈願スタンプ」(Asahi.com)
■「相模鉄道:「大願成就」絵馬とカイロ、硬券切符購入者にプレゼント /神奈川」(毎日jp)
相模鉄道に至っては、なんと↓こんな合格祈願サイトまでオープンさせてしまいました。
■相鉄グループ合格祈願サイト
もはや何が本業なのかわかりません。
↓こうしたアイディアに、遊園地内の鉄道アトラクションまでもが便乗しています。
■「来場者に受験のお守り配布 愛知こどもの国で2日から」(中日新聞)
そして極めつけは、↓こちら。
千葉市の千葉モノレールが受験シーズンを前に、レールから車両をつり下げるワイヤ「安全鋼索」をカプセルに封入し、主要駅の窓口で「落ちないお守り」として販売している。
引退した車両に使われていた鉄製ワイヤを約1センチずつに切断し、千葉県内の寺で合格祈願を済ませた。1個400円で、限定2000個。通信販売分は既に完売しており、駅窓口の在庫もわずか。
(「雑記帳:合格願う「落ちないお守り」販売 千葉モノレール」(毎日jp)記事より)
モノレールが落ちたらえらいことですよね……。
このお守りは大人気らしく、既に売り切れたとのこと。
どうやら「落ちない」「すべらない」の部分さえあっていれば、関連グッズが出せる模様。
来年はエレベーター会社やタイヤメーカー、松本人志氏などもこの市場に参入するかもしれません。
理美容室や一般の方向けの美容用品を開発・販売している「株式会社ワイマック」が、受験生向けにリフレッシュ・ローション『爽洗潔(そうせんけつ) 受験生応援パッケージ』を発売した。
このローションが普通と違うところは、“受験の神さま”菅原道真公が誕生した地の「菅原梅ノ木天神(菅原天神)」で祈祷していただいているのだ。
祈祷してもらったローションなんて聞いたことがない!
『爽洗潔』は元々、通常のリフレッシュ・ローションとして販売されていた。
肌につけると肩や足のコリに効果が。頭につけると集中力が高まったり、眠気が覚めたり、気分転換になったり、リフレッシュ効果のある商品。
(「受験生にうってつけのローションがある」(エキサイトニュース)記事より)
↑商品自体、受験勉強中によさそうですが、天神様の祈祷をつけることでさらなるパワーアップをはかっています。
アース製薬は、室内用芳香・消臭剤の「お部屋の消臭たまご」シリーズから、さくらの香りがする「お部屋の消臭たまご さくら咲く」を、季節限定品として2009年1月9日から発売する。
万葉の頃から日本人に親しまれてきたさわやかな「さくら」の花の香りと、かわいい花びらのさくらシートが室内を爛漫な気分に演出する。受験シーズンを迎えて、「さくらの香りが願いを咲かせる」と、吉報を運ぶ意味合いもある。
(「室内に吉報運ぶ「さくら咲く」の香り 」(J-CAST ニュース)記事より)
↑「さくら」にひもづけることで、意外な商品も受験生応援グッズに化けます。
13日より、全国畳産業振興会が販売する「合格の畳におい袋」は、天然イグサの香りを封じこめたにおい袋。天然イグサ100%の畳表と縁起の良い金の縁でつくられた巾着型の袋の中に、さらに天然イグサ100%を干して刻んだカットイグサを入れた。このカットイグサは最もイグサが香りを放つ形態であり、この匂い袋を少し開いてひと嗅ぎすれば、不思議なほどリラックスし、頭もさえて集中力が高まる……のだとか!?
(略)価格は「いざ、合格」の願いを込め、1,350円。
(「畳で受験に勝つ!? – リラックス&集中力アップの「合格の畳におい袋」」(マイコミジャーナル)記事より)
↑こちらも香り関連。
「1,350円」=「いざ、合格」という語呂合わせは、他で応用できそう。
「合格かなう」「夢かなう」などと祈りを込める下呂温泉名物の縁起物「かなう○(わ)バット」が、本格的受験シーズンを前に飛ぶような売れ行きだ。
約30センチ大のヒノキ製で握り部分に削り出した輪が「落ちない」ことがみそ。元下呂町助役河原良昭さん(63)=下呂市野尻=が8年前、近隣の木地師の工房で見いだし、合格や健康、夫婦円満など6種を商品化している。
(「受験シーズン控え「かなう○バット」飛ぶ売れ行き」(岐阜新聞)記事より)
↑元助役の方が開発・商品化されたということ。
地域活性化に果たしている役割は、小さくなさそうです。
受験シーズンを前に紋別市の彫刻工房「ひだまり」が実際に漁で使われていた直径十センチのガラスの浮き球に文字を彫り込んだ「合格 受喜珠(うきだま)」を売り出した。
地元漁業者から譲り受けた定置網用の浮き球を「沈まなくて縁起がいい」と再利用。昨年一月、受験生三人に贈ると全員が第一志望の高校に合格し、今冬、販売を始めた。
(「沈まなくて縁起がいい!『合格 受喜珠(うきだま)』」(北海道新聞)記事より)
↑「浮き球」=沈まない、ということで、昨日のタコに続き、漁師シリーズ第二弾。
「受喜珠(うきだま)」という当て字には、「夜露死苦」に通ずるものを感じますが、縁起は良さそうです。
宇都宮市の宇都宮動物園が、アジアゾウ「宮子」の糞(ふん)で作った合格祈願のお守りを無料配布している。赤い字で「合格」と書かれたお守りは、「これでウンがつくなら縁起がいい」と、受験や就職試験を控えた人に人気だ。
(「「ウンがつく」→「受かるゾウ」…人気のお守り、原料は糞!」(読売オンライン)記事より)
決して“落ちない”コアラから“ウン”を授かって-。名古屋市千種区の東山動物園は、受験生のために、コアラのふんを混ぜたペーパーしおりを500枚製作した。来年1月4日午前10時から同園コアラ舎の前で、受験生やその保護者へ配る。
樹上で20時間近く寝ていても、転げ落ちないコアラにちなんで受験生を応援しようと、昨シーズンに続いて企画。煮沸消毒して乾燥させたコアラのふんを、牛乳パックと一緒にミキサーでかくはんし、職員が一枚一枚紙すき器で作った。
(略)好評だった昨シーズンよりも今回は200枚多く作り、混ぜたふんも増量。同園は「“ウン気”も増しているはずなので、しおりを持って頑張ってもらいたい」としている。
(「コアラのフンで合格しおり 東山動物園で4日、受験生に配布」(中日新聞)記事より)
広島市安佐動物公園(安佐北区)が、木から〈落ちない〉レッサーパンダのフンを使った〈ウン〉がつく「合格祈願しおり」やヘビの抜け殻を利用した「金運カード」を販売している。
しおりは縦約10センチ、横約5センチ。竹の葉を主食とするレッサーパンダのフンを滅菌し、消化されずに残った竹の繊維とティッシュペーパーを調合して作った。フンは茶葉のようなにおいで、しおりは無臭という。
(「フンで“ウン”つく合格祈願しおり…広島・安佐動物公園で販売」(読売オンライン)記事より)
↑動物園もこぞって攻勢を掛けています。
「ウンがつく」ということで、ズバリそのもの。
木から落ちない動物のものが良いとされているようです。
昨年よりウンを増量したところもあるようですが……これは吉と出るのか凶と出るのか。
■「受験の神はオランウータン、『落ちない』人気…多摩動物園」(読売オンライン)
↑オランウータンの前に短冊を結ぶ特設ブース。
なにがなんでも木から落ちるわけにはいかなくなったオランウータンの心境はいかに。
受験シーズンを迎え、北海道池田町の勝井勝丸町長(58)の名前が「縁起がいい」と、ひそかな評判になっている。
勝井町長は「受験のお守りに名刺を差し上げます」とPRしている。
名前には、勝利を意味する「勝」が二つと合格を連想させる「丸」が入っている。父親が「字画がいい」と名付けたが、詳しい由来は不明だ。公務などで名刺交換すると「記念になる」と、ありがたがられることも多いという。
しかも、池田町があるのは「十勝」地方。十戦全勝にあやかりたい!?
(「『勝井勝丸、本名です。受験お守りに名刺を』北海道の町長」(読売オンライン)記事より)
↑人間も負けていません。
世にも縁起の良いお名前の町長が、名刺を配布されています。
(しかし、政治家として活動されていくにあたっても、かなり縁起の良いお名前ですね)
特産品の開発に取り組んでいる白岡町商工会が、町特産のナシの枝を活用した「合格間違いなしえんぴつ」を開発した。鉛筆は同商工会が運営しているJR白岡駅西口の「白岡特産館」で販売している。
(略)これまで焼却処分にされていたナシの枝を活用しようと、枝を農家から提供してもらい、粉末にして鉛筆に塗る塗料に混ぜた。先端にはナシの形をした消しゴムが付いているほか、ナシの形のだるまと「合格」の文字が印刷されている。
(「『合格鉛筆』で間違いなし 白岡町商工会 特産館で販売 名産ナシの枝を活用」(Web埼玉)記事より)
↑「合格なし」と読んでしまいそうなところを、「合格間違いなし」にするあたり、技ありです。
ダイイチが運営するオンラインショップ「ダイイチ・コム」は2009年1月1日、合格祈願のための「合格お守りそろばんストラップ」を発売した。
「5玉」は数えた状態で枠に、また、下の4つの玉は固定されていないもののひとかたまりでくっついており、結果として「5か9(合格)」しかはじき出せないようになっているストラップだ。これからの受験シーズンはもちろんのこと、資格試験や車の免許試験など、さまざまな試験時に「お守り」として活用できる。
(「『5』か『9』で『合格』 そんな『そろばんお守り』 」(J-CASTニュース)記事より)
↑これもアイディア商品。
生徒・学生が肌身離さず持っている「ケータイストラップ」に目を付けるあたり、企画力を感じます。
これは売れそうですね。
問題は、そろばんにあまり親しみがないであろう多くの高校生に贈るには、まずそろばんの目の読み方を説明する必要がある、という点くらいです。
クリーニング業の白洋舎(高松市)は16日、来年2月に迎える創業80周年記念キャンペーンとして、初めて「合格祈願クリーニング」サービスを始めた。
学生服(上下)の料金が2割引きになる上、滝宮天満宮(綾川町)で祈祷(きとう)を受けた紙製の開運絵馬が付く。フランチャイズの一部店舗を除く約100店舗で、来年3月末まで取り扱う。鵜川俊英社長は「身も心もリフレッシュして、ぜひ福(服)を呼び込んでほしい」と話している。
(「受験シーズン控え合格商品が次々登場/県内企業」(四国新聞社)記事より)
↑絵馬がついてくる合格祈願クリーニング。
クリーニング業まで目をつけるとは……おそるべし、受験生応援市場。
「福(服)を呼び込む」という打ち出しは少し苦しいような気もしますけれど。
このたび大宮アルディージャでは、 1月6日(火)よりクラブショップ「オレンジスクウェア」にて、新商品を発売いたします。皆様是非オレンジスクウェアまでお立ち寄りくださいますようお願い申し上げます。
4年連続で残留争いを経験し、勝ち残ってきた粘りのアルディージャの勝負強さ、残留力をお守りに込めました。受験や資格などの合格祈願や、勝負事の際に、きっと力になってくれるはずです。
お守りの中身は毎年用意するけど使われることのない、入れ替え戦のチケット入りです。
(「新商品『落ちない!お守り』発売のお知らせ [ 大宮 ]」(J’s GOAL)記事より)
↑ついにサッカーチームまでもが参戦!
「4年連続で残留争いを経験し、勝ち残ってきた粘りのアルディージャの勝負強さ、残留力をお守りに込めました」
……という打ち出しのあたり、確かに、ピンチを転じてチャンスに変えるチームの粘り強さを感じます。
こうなりゃ、絶対に落ちるわけにはいきません。
今後もぜひ、がんばってください。
以上、マイスターが見つけた受験生応援グッズをご紹介させていただきました。
こうした商品は、この数年で急激に増えました。
生き残りを賭ける企業のたくましさを感じます。
御菓子などはコンビニなどでも買えたりしますので、学校や塾・予備校の帰りに買ってしまう受験生や、お子様のために買い求める保護者の方なども多いことでしょう。
しかし残念ながら、このようにコアラから政治家、プロサッカーチームまでが受験生の皆さんを応援してくれているにも関わらず、合格を保証してくれるグッズはひとつもありません。
結局、一番大事なのは、本人のこれまでの努力。
ボロボロになった参考書やノート、勉強で使い切ったボールペンの束などに勝るお守りはないと思います。
応援商品は、学力を上げてくれませんし、受験への不安を解消してくれることもありません。
(というか、そういう形で解消してはいけません)
こうしたグッズは、ちょっとした気晴らし程度でお楽しみいただくのがいいのかなと思います。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。