マイスターです。
お正月はいかがでしたでしょうか。
さて、日曜日になりましたので、2009年最初のニュースクリップをお届けしたいと思います。
【「義務年限」明けの自治医科大卒医師に期待。】
■「県職員に期限採用へ 『県内勤務』終了の自治医大出身者」(徳島新聞Web)
医師不足で地域医療の存続が危ぶまれる中、徳島県が二〇〇九年度から新たに取り組む医師確保対策がほぼ固まった。県内勤務の義務年限を終えた自治医科大学(栃木県)出身の医師を三年の期限付きで県職員に採用、うち一年を国内外での研修に充てることができる制度を新設する。産婦人科・小児科の後期研修医に月十万円の研修資金を貸与し、将来、県内で勤務すれば返済を免除する制度もスタートさせる方針だ。
県出身の自治医大卒の医師は毎年二、三人。卒業後は県職員として原則九年間、県立病院やへき地診療所などでの勤務を義務付けられている。ただ、十年目以降の勤務先は自由に選択できるため、四人に一人は県外へ流出している。新制度は、義務年限後も県内にとどまる医師を増やすのが目的。
新制度では任期三年のうち二年は県立海部、三好両病院やへき地診療所で勤務するのが条件。残りの一年は症例数の多い大規模病院などでの研修が可能で、専門医としてのスキルアップに役立ててもらう。
(上記記事より)
<原則として学生全員が卒業後は一定の「義務年限」期間、へき地医療に従事。その代わり学費はほとんど無料>
……という仕組みをずっと前から続けている、ちょっと特殊な位置づけの大学。
それが自治医科大学です。
(過去の関連記事)
■医師不足を解決せよ(1): 医学部卒業生を地域に定着させるには?
この一定期間の「義務年限」を終了した自治医科大学卒業生に着目したのが、徳島県。
医師不足解消のため、徳島県で義務年限を終えた医師達を完全に定着させようというわけです。
確かに、もともと何年も勤務していた土地ですし、定着を考える医師もいるでしょう。
双方にとって、メリットを生む制度になるかも知れません。
【学生が大学CMを制作。】
■「『出演』『撮影』『編集』も…学生活躍 立命大CM」(西日本新聞)
立命館大は29日から1月1日までの4日間、同大学をアピールするテレビCMをKBS京都で放映する。学生らが出演し、音楽編集や撮影なども手がけた。同大学は「全国から様々な学生が集まる立命館の魅力が伝わる作品になった」としている。
(略)授業で協力関係がある東京の広告会社のディレクターらから集中講義を受けるなどして、学生らは製作に臨んだ。衣笠キャンパス(北区)を舞台とし、教室や食堂なども画面に登場する。
(上記記事より)
大学のテレビCMを学生が制作するという取り組み。
キャンパスを舞台に、出演から編集、撮影までを学生が担当するというのは、なかなか画期的です。
立命館大学には映像学部がありますので、そのPRにもなりそうです。
完成したらぜひ、ネットで見られるようにしていただきたいところです。
【教員が基準の半数?】
■「福岡医療福祉大、専任教員が基準の半数…07年春から1年半」(読売オンライン)
福岡医療福祉大(福岡県太宰府市)で2007年4月から1年半にわたり、通信教育部の専任教員が大幅に不足していたことが分かり、文部科学省が調査に乗り出した。
(略)同大を経営しているのは、全国に大学や高校などを展開している都築学園グループの学校法人都築俊英学園(世良敏明理事長)。同大には人間社会福祉学部(通学制)と通信教育部(通信制)がある。
同大の説明によると、06年度までは双方に社会福祉学科があり、カリキュラムが共通していたため、設置基準では通信教育部の専任教員は8人の配置でよかった。同大は11人を置き、基準をクリアしていたが、07年度に人間社会福祉学部の学科を再編した際、社会福祉学科が総合臨床福祉学科に変わり、カリキュラムが共通ではなくなった。
このため、通信教育部に21人を配置しなければならなくなったにもかかわらず、増員しなかったという。
(上記記事より)
ずさんな経営が指摘された福岡医療福祉大学。
色々と支障があったのではないかと思いますが、
同大によると、通信教育部は毎年、1000人の募集に対し、1~2割程度しか集まっておらず、教員不足でも学生の指導に特段の支障はなかったという。人間社会福祉学部の専任教員も基準より4人少ないが、同様に定員割れが続いており、09年度から600人の募集を半数に減らすため現状で足りるとしている。
(上記記事より)
……というわけで、入学者が定員を大幅に下回っていたため、支障はなかったとのこと。
とんでもない話ではありますが、逆に言うと、「どんなにひどい定員割れを起こしていても、たとえ指導する学生がいなかったとしても、絶対『専任』の教員を設置基準通りに維持しなければならない」というのが、現在の大学制度なのですよね。
定員の設定には、くれぐれもご注意を。
【疑惑の大学ランキング。】
■「ランキングの秘密、金で不当操作された順位―香港紙」(レコードチャイナ)
2008年12月28日、香港紙・文匯報は記事「大学ランキングに隠された“ルール”、金で操作された順位」を掲載した。近年中国で流行している大学ランキングのほとんどは、順位が不当に操作されたものだという。
近年、中国では大学ランキングが大流行。数十種類もの大学ランキングが発表されている。その結果によって受験生の動向が変わるとあって、大学にとってはきわめて重要なものとなっている。しかし、大学関係者ならば誰でも知っていることだが、そのランキングは不正に操作されたものだという。
一例を挙げれば、ランキング作成企業からのコンサルタント業務提供の打診を拒否した大学が、翌年順位が2ランクも低下したとある大学関係者は話している。コンサルタント業務以外でも、専門家の講演や研究リポートなどを売りつけようとするなどの行為が蔓延している。ある教育専門家は中国には1500 以上の大学が存在しており、そのランキング作成は巨大なビジネスチャンスになっていると批判している。
また、ランキング作成手法自体にも問題が多い。たんに教師数、学生数、外部研究費取得額などで機械的に順位づけていることが多く、実際に生み出した成果を組み込んでいるランキングは少ない。そのため各ランキングごとの順位差は激しく、客観的な指標となり得ないことは明らかだ。こうしたランキング手法に従えば、実際の成果を評価することは難しく、例えノーベル賞受賞者を20人以上も生み出しているカリフォルニア工科大学が中国にあったとしても、その順位はトップ3にすら入らないだろうと文匯報は指摘した。
(上記記事より)
うひゃーと思う記事ですが、日本で同じ事が起きていないとも限らない、というのもまた怖いところです。
日本のビジネス誌もしょっちゅう大学ランキング特集を組んでいますが、雑誌によって、どんな大学が上位に来るかがバラバラだったりします。
(過去の関連記事)
■大学のランキングと、どう付き合うか?
↑以前の記事でご紹介しましたが、『週刊朝日 大学ランキング』の編集に関わっている小林哲夫氏は著書『ニッポンの大学』で、「The Times Higher Education」や上海交通大学などが作成している、世界的に著名な大学ランキングですら、その妥当性にはかなり疑いがあるということを述べられています。
【トンデモ研究か、あるいは注目のサイエンスか。】
■「香港大学、UFO研究コース開設を中止 研究機関は反発」(AFPBB News)
香港(Hong Kong)のUFO研究機関が、UFO研究コース開設を中止したとして香港大学(University of Hong Kong)を強く批判している。
地元紙の蘋果日報(Apple Daily)が29日伝えたところによると、香港大学を批判しているのは、地元のUFO研究機関「Hong Kong Institute of Ufology」。同機関と香港大学は今年9月、共同プロジェクトとして、同大学の選択科目としてUFO研究コースを開設することになっていた。
同機関のMoon Fong氏によると、UFO研究コースは、一部の教職員がその内容に難色を示したため、開設が延期され、後日開設することで協議が行われていたという。
同氏はAFPに対し、「大学の一部の理学部教授陣が、同コースがUFO専門家の意見しか反映されないものになる可能性があるとして懸念を示したが、彼らはUFO研究が香港大学の看板学部になる可能性について懸念しているだけだと、われわれはみている」と語った。
(上記記事より)
香港大学は、孫文などを輩出した、アジアの中でも高い評価を受ける大学の一つ。
英語で教育を行っていることもあってか、昨今では中国各地の優秀な学生が、北京大学や清華大学ではなく香港大学に進学するという例も増えてきていると聞きます。
そんな香港大学で、上記のような一風変わったニュースが。
こうした研究を行っている研究者は、世界中の大学にいると思いますが、専門の研究コース開設というのは珍しいのではないでしょうか。
ただ、やはり学内で賛否両論がある様子。
議論を尽くしてから開設した方が良さそうです。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今年もこれから、お互いがんばっていきましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。