マイスターです。
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
昔から、一年の計は元旦にあり、と言います。
今年一年の目標を決めた人も多いのではないでしょうか。
大学のような組織も同じ。
大学のwebサイトに掲載された、学長や総長の「新年の挨拶」には、今年の抱負、大学としての目標が宣言されていたりします。
というわけで、いくつかの大学から、トップによる新年の挨拶を拾ってみました。
【学長の新年挨拶メッセージ】
明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、中央大学に対する平素のご厚情とご支援に深く感謝申し上げますと共に、皆々様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
本学は、2010年には創立125周年を迎えることとなります。この機会に「實地応用ノ素ヲ養ウ」という建学の精神をもって、伝統的な学問領域から現代社会に即応した高度専門的・先端的な学問領域に至るまでの教育体系を再構築することを、考えております。
(「新年のご挨拶 -総長・学長 永井 和之-」(中央大学)より)
中央大学・永井和之総長・学長のご挨拶です。
建学の精神を引用しながら、今年の方針を語るというのが、学長によるご挨拶の基本形。
年の変わり目ということで、周年行事に触れる学長も、非常に多かったです。
「和気新年を成す」学生諸君ならびに父母の皆様、そして卒業生各位をはじめ日頃本学をご支援くださっている多くの皆様方には、お揃いで新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
(略)大学は、十八才人口の激減期に突入し、ますます拍車をかけられた形で競争と評価にさらされる状況にあります。本学においても、昨年来これらの問題に対する対応が真剣に語られており、今後、教育・研究の質を高めていくことは勿論のこと、同時に学生諸君の満足度を高める取り組みと明確な方向性を示し、建学の精神に基づく個性豊かな大学を目指して、本学の発展を期し責任ある学校運営に心がけていかなければならないと考えております。社会が複雑かつ急激な変化の中、大学には幅広い視野から物事を捉える力や的確な判断を下すことのできる人材の育成が一層期待され、大学の学部教育は教養教育と専門基礎教育を基本として、特に教養教育のあり方を見直し、再構築することが求められております。本学では、こうした社会の変化に対応でき得る人間としての在り方や、生き方など現実を正しく理解する力の涵養など、新しい時代に求められる教養教育に重点をおき、取り組んで参ります。そして本学に学ぶ学生諸君に対し、学ぶ意欲や目的意識を持たせ、質の高い教育を提供していきたいと考えます。
(「末岡学長ブログ:新年のご挨拶」(名古屋経済大学)より)
名古屋経済大学、末岡熙章学長です。
ちなみにマイスターは今回、たくさんの学長の新年ご挨拶を拝読しました。
大学の置かれている市場環境について触れている方は、非常にたくさんいらっしゃるのですが、「誰に対してのメッセージか」がわかりにくいケースが、案外多かったです。
自分もよくやってしまうのですが、そういう文章って読む方からすると、形式的・儀礼的に感じられてしまうのですよね。
その点、この末岡学長のメッセージは、学生、受験生および保護者といった方々への言葉なのだとすぐわかり、すっと読めました。
見ならいたいと思います。
昨年、本学は資産運用において大きな損失を出しました。学生からの納付金と国の補助金によって運営されている高等教育機関がこのような事態を起こしたことに対しまして、改めて皆さまに深くお詫び申し上げます。
大学はいま、真摯に反省し、二度と過ちを繰り返さないために、全学一体となって取り組んでおります。本年も新入生、在校生の入学金や学費を変更することなく、教育研究環境のさらなる向上を目指して邁進していく所存です。
(「学長 年頭挨拶」(駒澤大学)より)
駒澤大学・池田練太郎学長による年頭挨拶。
誰もが気にしているところにちゃんと触れてくださっているので、読んだ方は逆に安心できるのではないでしょうか。
社会に信用されるブランドをつくるって、こういうことだと思います。
本学が国立大学法人化し激動の年となった平成16年4月に総長に就任した平野眞一総長の任期が今年3月末で満了となります。対談では、次期総長候補者として選出された�髭口道成医学系研究科長を迎えて、平野総長の4年9ヶ月間について総括し、また、昨年1年間の出来事を振り返るとともに、今後の抱負を語り合いました。
(「平成21年 新年を迎えて 平野総長と�髭口次期総長候補者との年頭対談」(名古屋大学)より)
新年に合わせて、気合いの入った対談コンテンツを用意していたのは、名古屋大学。
ノーベル賞受賞の勢いを逃しません。
地味に思われるかも知れませんが、こういうコンテンツがメディア関係者の目に触れて、次の取材などにつながったりするものです。
リクルート社の「進学ブランド力調査2008」では、知名度・志願度の高いいわゆるブランド大学郡と、知名度・志願度が共に低いものとの二極化が激しくなり、イメージ調査の項目の上位には特定の大学が固まっている傾向が浮き彫りとなった調査結果が発表されておりますが、このような受験生の動向をしっかりと把握しながら、本学の特色ある教育、研究を社会に継続的に発信していくことが、長期的な発展につながると考えております。
(「平成21年・創立118年 年頭賀詞」(東京農業大学)より)
武庫川女子大学は、全国の国公私立大学を対象に、教育力、就職力、財務力を総合的に評価した「日本の大学トップ100」の2008年ランキングによると、第50位です(「週間東洋経済」2008年10月18日発行号)。このトップ100校の中に、国立私立合わせて女子大学が計8校入っています。本学は、これら著名な8つの国立女子大学、私立女子大学の中で、総合ランキング第1位です。
大学ランキングは、大学を評価する一つの目安にすぎません。私たちは本学のランキングに対し、決して自己満足に陥ってはなりません。創立70周年という記念すべきこの年、私たちは「立学の精神」を下に、学生・生徒・園児一人ひとりを大切にする質の高い教育と研究を行い、本学を一層発展させましょう。
(「明けましておめでとうございます。武庫川女子大学の学長と学生代表が新年のご挨拶を申し上げます。」(武庫川女子大学)より)
上は東京農業大学・大澤貫寿学長。
そして下は、武庫川女子大学・糸魚川直祐学長です。
民間企業が発表しているランキングを、大学のトップは結構気にされているのだなぁ、とわかります。
新年の挨拶は、基本的に学内関係者を対象にしたものですから、こういったランキングを引き合いにして、学内にハッパをかけたり、結束を固めたりしやすいのかも知れません。
(というか、新年の挨拶って、そもそもそういうものですよね)
ちなみに武庫川女子大学は、学長と並んで、学生の代表による挨拶も一緒に掲載されているのが目を引きました。学友会の総務委員長の方だそうです。
ちょっとしたことなのですが、学内が一丸となっている印象を与えると思います。
謹賀新年。 2009 年の元日は晴天のもと、新たな時を刻み始めた。関東地方は年末年始と天候に恵まれているが、北風が肌身を突き刺さし、寒さを身につのらせる。東北・北陸地方に「雪」を降らせ、その寒風が「激しい突風」となって、関東地方に吹き下ろしているのだろう。ふっと、弟子たちが主イエスにうながされてカペナウムからゲラサの地へと、カリラヤ湖を渡る聖書の場面を思い起こす(マルコ4:35-41)。その途中、カリラヤ湖は「大暴風」に襲われ、彼らの舟は波をかぶって行く手を阻まれ、舟は水でいっぱいとなっておぼれ死ぬ危機に弟子たちが遭遇する出来事である。 彼らのパニックが伝わってくる。彼らの幾人かは漁師たちで、この湖をかつて生計の場としていたにもかかわらずである。
(「2009年1月1日 「大暴風の中にも」」(東京基督教大学)より)
東京基督教大学・倉沢正則学長のメッセージ。
天候に触れていらっしゃいますから、本当に昨日・今日のうちに書かれたのでしょう。
元日からブログを更新している大学人なんて他にいるのだろうか、と心が折れそうになったマイスターも勇気づけられました(なんだそりゃ)。
天候から、聖書の中の描写と今の社会状況に話が展開されていきます。
宣教学をご専門とされている学長らしい文章です。
そして今、樟蔭は更に一歩を踏み込み、時代や社会の変化に柔軟に対応できる「総合的人間力(ジェネリックスキル)」を身につける教育プログラムに取り組んでいます。
「課題解決能力」や「知識を活用する能力」を鍛え、時代が変わっても柔軟に自分自身を進化させ、どんな環境の下でも活躍できる女性の育成を目指しています。
昨年には、本学の卒業生である田辺聖子さんが文化勲章を受章されました。
まさに、樟蔭が目指す女性像のお手本ともいうべき偉大な先輩のご活躍を胸に、女性が持つ可能性を切り拓く教育の大切さを改めて感じました。
(「学長 新年のご挨拶:『更なる大学改革の1年に』」(大阪樟蔭女子大学)より)
大阪樟蔭女子大学・森田洋司学長のご挨拶。
卒業生のご活躍を紹介されています。
そういえば元日というのは、「昨年はこんなに良いことがありましたね」と確認・共有する日でもありますよね。
明けましておめでとうございます。
日本女子大学理事長・学長 後藤祥子より、動画による新年のご挨拶を申し上げます。
(「日本女子大学理事長・学長 後藤祥子より新年のご挨拶」(日本女子大学)より)
日本女子大学・後藤祥子理事長・学長のご挨拶。
なんと、動画です。
上記のリンク先からご覧ください。
企業でもそうですが、お正月って、「トップの顔を見る」機会でもありますね。
というわけで、学長の新年ご挨拶からいくつかをご紹介させていただきました。
(こんなマニアックな特集をしているのは、たぶん日本中でマイスターくらいです……)
↓以前ご紹介した、入学式のメッセージと比べてみてください。
■入学式の式辞 学長からの様々なメッセージ(1)
■入学式の式辞 学長からの様々なメッセージ(2)
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。